File103 首都惑星ヴォルダルでのアルバイト③ 忍びよる厄介事
お待たせいたしました。
少なくはなってきたもの、まだまだ誤字が見つかるのが残念です
船の廃棄手続きの描写を追加します
2件目の配達先が、ケビンの会社の支社なのは、伝票を見てわかっていたが、まさかケビンの奴がいるとは思わなかった。
1件目も、まさかキャシーの奴がいるとは思わなかった。
世間は意外に狭いもんだ。
そんなことを考えながら、次の配達に向かうべく店に帰ってくると、昼食時なのもあり、注文が次々とまいこんでいた。
配達員達は、伝票と品物を受け取り、慌ただしく配達に出かけていく。
「レナンクタウン78街区方面、No.173よろしく!」
俺は、目の前で新しく出された伝票を手に取り、
「ライアット。レナンクタウン78街区方面、No.173でまーす!」
と、報告した。
伝票には、レナンクタウン78街区、サンサルテックスコーポレーションの8階・第3会議室、スファーラ・ミスクス様とあり、その注文の品は、
特製ミートソースパスタ×8・カレーライス×5・グラタン×5・スパニッシュオムレツ×5・生野菜サラダ×7・ミックスフライ×5・唐揚げ(6個入り)×7・フライドポテト×6・フライドオニオン×6
という、大量注文だった。
それを見た瞬間ちょっと後悔したが、受けたからには行かないといけない。
なにより注文された品物は、誰かが確実に届けないといけないものだ。
伝票の内容から察するに、前日から注文されていたらしいので、おそらく会議だか会食だかの席にだされるのだろう。
「車出しまーす!」
普段はエア・バイクだが、こういった大量注文の時は、複数で向かったり、エア・カーを使ったりする。
もちろん店のカラーリングに、店のマークの入ったウォークスルーバンのやつだ。
その車に、注文の商品と必要な物を積み込み、配達先へむかった。
配達先のサンサルテックスコーポレーションは、それなりに大手の商事会社で、その本社ビルの8階・第3会議室が注文先だ。
大量注文の際に使用するホバーワゴンに載せた商品をを持ち、8階に向かう。
セキュリティのためか社内案内図がなく、受付で第3会議室の場所を聞き、なんとか会議室にたどり着いた。
扉をノックすると、
「どうぞー」
と、返事が返ってきたので、ゆっくりと扉を開ける。
すると、室内には女性が5人座っているだけだった。
会議だか会食だかはこれからなのだろう。
「お待たせいたしました。『フライングテーブルクロス』です。ご注文の品をお届けにまりました。
注文主のスファーラ・ミスクス様はどちらに?」
「はいっ!」
手を上げて此方に近付いてきたのは、黒い髪と瞳に赤い鱗のドラコニアル人の女性だった。
なるほど。
どうやら会議ではなく、普通に昼食として注文したらしい。
女性4人に加えて、ドラコニアル人がいるなら、大量なのも納得だ。
だとしてもなかなか大量だ。
そうして、注文の品をホバーワゴンから下ろしていると、
「あれ?もしかしてショウン・ライアット?」
と、声をかけられた。
その声の主を見つめると、
「チョコ撒きのエイシャ・デランダ!」
「なによそれ!」
「毎年撒いてたじゃないか」
「たしかにそうだけどさあ!」
中学の時のクラスメイトのエイシャ・デランダがいた。
身長も伸び、髪型や化粧なんかは洗練されていたが、明るくかしましい雰囲気は変わっていなかった。
「それより、あんた貨物輸送業者になったんじゃなかったの?」
「ちゃんと貨物輸送業者だよ。今は短期バイト中。スターフライト社の事件で船が壊されたんでな」
「ああ…なるほどね」
スターフライト社の事件は大々的に取り上げられたので、知っていて当然だろう。
そのうちに注文の品を全て出し終わった。
「ご注文の、特製ミートソースパスタ×8・カレーライス×5・グラタン×5・スパニッシュオムレツ×5・生野菜サラダ×7・ミックスフライ×5・唐揚げ(6個入り)×7・フライドポテト×6・フライドオニオン×6。以上でお間違いありませんか?」
「はい!じゃあお会計は情報でお願いします」
注文主であるスファーラ・ミスクスさんは、自分の汎用端末を取り出し、情報で支払った。
そこに、エイシャ・デランダが声をかけてきた。
「ねえショウン。ひょっとしてこれってあんたが作ったりしたの?」
「俺は配達が仕事だよ」
というか、厨房で仕事をしてたら配達にはこれないだろう。
「なんだあ。学祭の時のカレーとかパスタとかプリンとか美味しかったのに。あんた絶対料理人になればよかったのよ」
「よく言われるよ。お前はてっきりキャバ嬢やってると思ってたけどな」
「大きなお世話よ!」
イヤミっぽく言って来たので、同じようにイヤミで返してやったところ、おあいこと思ったのか、反撃はこなかった。
「では、ありがとうごさいました。またのご利用を」
そうして直ぐ様その場から退散してやった。
まあ、配達がまだまだあるから、急いで帰らないといけないわけだが。
視点変換 ◇エイシャ・デランダ◇
「知り合いだったの?さっきの配達員」
同僚の1人・ライラが、フライドポテトをかじりながら訪ねてきた。
「中学の時のクラスメイト。中学出てすぐに貨物輸送業者になった奴。今は短期バイトだって」
「あのふぃとおりょふりじょふずなんでふか?(あの人お料理上手なんですか?)」
スファーラも、特製ミートソースパスタを頬張りながら訪ねてきた。
「ええ。特にプリンなんか大人気で、私らが卒業した次の年にも目当ての人が来てて、幻のプリンになってたわよ」
「んぐっ…幻ですかあ…。ドラコニアル人にもあるんですよーそういうの」
スファーラはパスタを飲み込むと、幻の部分に食いついてきた。
「へー。どんなの?」
「ドラコニアル人の故郷の主星の惑星リーシオでは、毎年新華祭っていうお祭りがあるんですけど、その行事の1つに、『持ち寄り』っていうのがあって、親戚や職場・趣味の仲間なんかで集まるときに色んな食べ物を持ち寄って宴会をするんです。
そのなかで、政治と経済に関わる人達だけの集まった会場だけで出回った『宝珠煮卵』っていうのがあるんだそうです。1回でいいから食べてみたいですねー」
食にうるさいドラコニアル人が食べてみたいと言うなら、相当なものなのだろう。
だが今は、目の前のご飯を堪能する方が大切だ。
「んー!このやっぱりここの特製ミートソース美味しいわねー♪」
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
知り合いに三連発で出くわした翌日から、色々トラブルが起き始めた。
誤配や破損や欠品などのトラブルではなく、
ケビンの会社の先輩とやらに、男の姿なのにナンパされたり。
キャシーの友人の漫画家に、コスプレを頼まれたり。まあ当然断ったが。
休日に『ホワイトカーゴⅡ』の廃棄手続きに行った帰りに、エイシャ・デランダに出くわして、人数が足りないから、女の姿で合コンに無理矢理参加させられたり。
あの女の子の配達員に配達させろとわめき倒す奴など、客関係のトラブルが増えた。
それでもなんとか仕事をこなし、知り合いに三連発で出くわした日から2週間たっていた。
その日も配達の1つを終えて帰ってくると、社長から声をかけられた。
「ライアットくん、ちょっといいかな?」
「はい。何でしょうか?」
なにかミスをしたか、それとも客からクレームでもあっただろうか?
丁寧に対応したはずだったんだが…
「うちに、ケータリングの部門があるのは知ってるよね?」
「はい」
どうやらミスやクレームではないらしい。
が、その表情は真剣だった。
「実は、明日予約が入ってるんだけど、そこに行くメンバーの1人が急病で入院しちゃってね。他の人も予定が入っててカバーできないんだ。たしか料理できるって言ってたよね?」
「まあ、友人や船の客に振る舞うくらいなら…」
「明日急で悪いんだけど、ヘルプに入ってくれないかな?」
確かに料理ができるかと言われればできるが、ケータリングの仕事をしているシェフの代わりは流石にむりだろう。
なので断ろうとしたが、
「頼むよ!この通りだ!大事な依頼なんだよ!人数が少ないだけでもいちゃもんをつけられかねないんだ!」
土下座をしそうな勢いで頼み込まれてしまっては、一時的とは言え、雇われでいる身としてはなかなか断りづらい。
「わかりました。明日の何時ですか?」
「依頼のパーティーが6時からで、その30分前から準備だから…。店には午後3時までには戻ってきてね。1~2時までに店に戻って来たら、そのまま3時まで待機でいいから」
どうやら明日は慌ただしくなりそうだ。
ドラコニアル人ですが、関わりはほぼ無いです
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