87
無言の部屋の中最初に言葉を発したのは椿だった。
「さて!夕飯作らなきゃ!」
と意気込んでいたら急に椿はモジモジしだした。
「そ、それでね、あの……」
「なんだよ?」
「私また春人の家で食べていっていいかな?」
なんだそんなことか。好きにすればいい、どうせ俺が断っても春香が食べてけって言いそうだしな。
「別にいいけどよ」
「本当!?」
椿の顔が明らかに嬉しそうだ。
「やったぁ!本当にいいの!?」
「あんまりしつこいと俺の気変わるぞ?」
「ご、ごめん、すぐ準備するね!」
そして慌ただしく階段を降りキッチンへと椿のは向かった。
俺は鏡で自分の顔を確認してみる。この分だと明後日には学校へ行けそうだ。下からは春香と椿の話し声が聞こえる。今日は会話が弾んでいるようだ。
そして出来たのか椿が部屋へきた。
「春人、ご飯できたよ?」
「そう」
俺は素っ気なく返事をしてリビングに向かった。
「お兄ちゃん、今日はジェノベーゼだよ!私と椿ちゃんが一緒に作ったから召し上がれ!」
「お前らどんどん仲良くなってくな」
「だって椿ちゃんよく話してみるとお兄ちゃんの事ばっかでなんか可愛いんだもん。 愛ですなぁ」
春香がニヤケて言う。
「何言ってんだか」
椿がチラチラとらこちらを見ている。俺が視線を合わせると逸らす。なんなんだ?
「ごちそうさま」
「って早ッ!お兄ちゃんもう食べちゃったの?もっと味わって食べなよぉ〜」
「足りなかった?私のあげようか?」
椿がそう尋ねた。
「いいから食えよ」
食べ終わった俺はしばらくリビングでテレビを観ていた。そしてその間に椿たちも食べ終わったようだ。
椿はその後また冷蔵庫に明日のお昼を入れといたから食べてねと俺に伝えた。
「じゃあ私そろそろ帰るね?」
「今日もお勤めご苦労様でした、椿ちゃん」
「あはは、ありがとう春香ちゃん」
「お兄ちゃん、学校サボってるんだから椿ちゃんを家まで送って行きなさい」
「いいんだよ、春人怪我してるし」
「大丈夫大丈夫!私が保証します」
「何勝手に話進めてんだよ?」
「あ、お兄ちゃん、椿ちゃんをよろしくー!」
強引に春香に外に出て締め出され椿を家に送っていくことになった




