82
部屋に入り俺がドライヤーで髪を乾かし終わると椿が咲い口を開いた。
「あのさ、春人。この間の事なんだけど…」
「ああ、俺に黙って他の男といた事か」
椿が言い終わる前に被せて言う。
「違うの!春人に黙ってたのは悪いって思ってる!だから…」
「だからこうして言い訳に来てるんだろ?」
「え?」
「むしろ良かったんじゃね?あんな怖そうな人なら俺とは違って椿にちょっかい出す奴も減るだろ」
「ち、違う!」
「まぁ風邪引いてる間に何してたかもわかんねぇしな」
「酷い、酷いよ、春人…私は…私は春人を裏切る事なんてしてないよ」
自分でも不思議なくらい椿を罵倒していた。俺ってこんなにガキだったんだ……
椿の言った通りなんだろう。だけどそれを受け入れるには俺は余りにもガキ過ぎた。
「口では何とでも言えるよな」
「…う、うぅ…」
「今度は泣くのかよ?泣きたいのはこっちだ。風邪引いてる間に奪られるなんて
情けないわ」
「ご、ごめんなさい…ごめんなさい春人。黙っててごめんなさい。でも私…」
部屋に椿のすすり泣く声だけがしばらく続いた。そんな状況に耐えかねた俺が口を開く。
「はぁ、もういいだろ?帰れ」
「………の…か」
「は?」
「春人のバカ!春人なんて大っ嫌い!」
「そうか、まぁ所詮俺らはその程度だったって事だ」
椿は泣きながら部屋を出ていった。
俺は自分でも信じられないくらい椿に冷たく当たっていた。こんなんじゃこうなって当然だ…
ふと気が付き充電中のスマホを開いた。
椿のメッセージを見る。
一昨日から見てないからな…
『春人ごめんなさい、でも誤解なの』
『先輩から告白されたの、でも私春人の事が1番だから信じて欲しい』
『言いたかったけど言えなかったの。だけど私が悪かったの。許して欲しい』
『電話していい?』
等のメッセージが入っていた。
昨日にも目を通す。
『おはよう春人、今から家に行っていい?』
『どこにいるの?』
『お願いだからメッセージ見て』
『私の事嫌いにならないで』
『探したけど見つからない。ごめんなさい、今日は帰ります』
他にもメッセージや着信が来ている。
…今更どうしろっていうんだよ……




