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「ハァッ、ハァッ…春人!」
「椿どうした?そんな慌てて」
私は春人を抱きしめた。先輩の気持ちをかき消すかのように…
先輩は春人のことを知ってもなお私に告白してきた。今までだってそんな告白はあった。でも私が春人を好きなのと言うとやっぱりダメかとかそうは思ってたとかどこか当たって砕けろみたいな。
だけど先輩はそんな人たちと違う、うまく言えないけど自分が傷付いても私を想ってくれる優しい人。
なんて事ない……たまにあるよこんな事。そう思った、だけど重なったんだ。
私がお母さんに嫌われてても好きになってもらいたくて頑張ってた自分に。
こうすれば喜んでもらえるかな?こうやれば褒めてもらえるかな?
そんなの幻想だった。私が何をしてもお母さんは私を認めない、そんな強い意志を感じた。
私は春人が好き。どうしようもなく好き。だから先輩が私に好きになってもらいたくても私には受け入れられない。
そんな所は似ちゃったんだね…
私にガッカリとかしてくれれば良かった、幻滅してくれれば良かった。
「何かあったのか?」
春人に言う?どうしよう……言ったら心配するよね?
無理にでも学校に来てくれる?
私は春人に無理をして学校に来て欲しいの?
春人に自分を好きだって証明して欲しいの?
そんなに自分を好きだって思ってもらえる優越感に浸りたいの?
何を期待しているの?
打算的な女なの?
私の好きって気持ちはただ春人と付き合っている自分を満足させたいだけなの?
私は……自分自身に嫌悪した。
「う、ううん。なんでもないの、春人の顔が見たくて走ってきちゃった」
「それだけ?」
「うん、学校休みすぎだよ春人!いい加減私寂しいよ。でも無理したらダメだよ」
「なんか来て欲しいのか来て欲しくないのかわかんねぇな」
「あはは、春人が良くなってくれるのが1番だよ」
「図書委員も椿に任せて悪いな、まぁあんなの暇だからなんて事ないだろうけど」
チクリと私の心に針が刺さった気がした。
「うん、春人がいないと寂しいし暇だよ」
なんで私今先輩の事言わなかったの?
今私は自分の気持ちを隠した。
春人にも隠した。春人の顔をまともに見れなかった。
もし自分が春人だったら言って欲しいと思う、裏でコソコソしてるみたいな後味の悪い感覚に襲われる。
「春人の顔見たら安心した。お粥作って帰るから食べてね」
「毎回悪いな、後で椿にお礼しなきゃな」
「うん、楽しみに待ってるね!」
春人の家を出た後外はまだ明るいのに私の心の中はすっかり夜のように暗闇が支配していた。




