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魔毒喰らいのミト~「ゴミ箱」と呼ばれた魔毒処理師、実は最強の知識とスキルを溜め込んでいました~  作者: いおにあ


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第15話 ハーレム学園生活!?


 明日から始まる王立学院での生活。それは、僕の人生にとって第二の幕開けとなる。


 これまでの数日間、エマやクレアと一緒に準備を進めてきた。新しい制服に袖を通し、筆記用具や魔導書、そして毒霧の谷から持ち帰った財宝で工面くめんした資金で整えた最高級の装備品をカバンに詰め込む。


「・・・・・・よし。忘れ物はないはずだ」


 自分の部屋で荷物を確認していると、窓の外には王都の夜景が広がっていた。かつて、あの宮殿の隅で泥を啜るように生きていた僕が、明日からは国のエリートが集まる最高学府に通う。


 感慨に浸っていると、部屋の扉が遠慮なく開き、エマとクレアが入ってきた。


「ミト、準備は終わった? 明日はいよいよ入学式よ。遅刻なんてしたら、スプレンディアス家の名にも傷がつくんだから!」


 エマは自分のことのように緊張しているのか、少し頬を昂揚こうようさせていた。


 その後ろから、クレアが退屈そうにあくびをしながらついてくる。


「まあ、あんたなら実力不足で落第することはないでしょう・・・・・・ミト、ちょっとじっとしてなさい。学院に入る前に、あんたのステータスを最終確認しておきたいのよ」


 クレアの瞳が黄金色に輝く。【万能鑑定眼】の発動だ。


 彼女は僕を頭の先からつま先までスキャンするように眺め、ふむふむと頷いていたが、不意にその表情が驚愕に変わった。


「・・・・・・ちょっと、これ。あんた、面白いことになってるわね」

「何が? 何か不具合でもあった?」


 僕の問いに、クレアは髪をかき上げて、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「不具合どころか、とんでもないボーナスが追加されているわよ。ミト・・・・・・いい、よく聞きなさい。エマと親密な身体的接触をすればしただけ、スキルや能力値が爆発的に上昇する、というのは説明したわよね?」


 うなずく僕とエマ。


「その効果がね、随分と拡大しているのよ」

「どういうことかな、それは?」


 クレアは、どうしようもなく楽しげに、瞳の奥を輝かせて、言葉をつむぐ。


「つまりね・・・・・・エマだけじゃないってことよ。より多くの魅力的な異性と接触すれば、ミトのスキル・能力値はそれに比例して上昇する、というわけ」 

「な・・・・・・っ!? 何よそれ、どういうこと!?」


 エマが素っ頓狂な声を上げた。


「言葉通りの意味よ。簡潔に言えば、複数人の可愛い女の子とイチャイチャした方が強くなるってわけ・・・・・・ねえ、ミト。実験台になってあげるから、早速私に抱きついてみなさいよ」


 クレアがニヤニヤしながら、小さな両手を広げて僕に飛びかかろうとした。


 だが、その動きは光の速さで割り込んできたエマの腕によって阻止された。


「ダメに決まってるでしょ、この不届き鑑定士!!」


 エマはクレアを片手でつまみ上げて、憤怒ふんたの顔で僕を振り返った。


「・・・・・・ミト。今、クレアが言ったこと、本当なの?」

「え、あ、うん・・・・・・。彼女の鑑定眼がそう言うなら、間違いはないんだろうけど・・・・・・」


 僕の返答を聞くと、エマは急に大人しくなり、うつむいてしまった。


 そして、そのまま小さな声でブツブツと独り言を言い始めた。


「より多くの女の子と親密な接触・・・・・・イチャイチャすれば強くなる・・・・・・ミトがこれから強くなるためには、沢山の女の子と仲良くしなきゃいけないってこと?学院には、私の知らない可愛い子が山ほどいるし・・・・・・私だけじゃ足りないってことなの・・・・・・?」


 彼女の周りに、目に見えるほどの重苦しい空気が漂い始める。


 エマは僕のことを誰よりも愛してくれている。だからこそ、僕が強くなるための手段が「他の女性との接触」であるという事実に、彼女の騎士としての理性と、一人の少女としての独占欲が激しくぶつかり合っているようだった。


「ミトのバカ・・・・・・。強くなるためなら、誰でもいいの・・・・・・?学院に行ったら、きっとみんなミトの凄さに気づくわよね。そうしたら、あんな子やこんな子が、ミトを誘惑しに来て・・・・・・ミトは断れなくて・・・・・・」

「エマ、待って、落ち着いて!」


 僕は慌てて彼女の両肩をつかんだ。

 不貞腐ふてくされて唇を尖らせているエマの顔は、普段の凛々しい騎士の姿からは想像もできないほど幼く、愛らしかった。


「そんなわけないだろ。僕にとって、エマが一番なんだ。これまで僕がどん底にいた時、僕を見捨てずに支えてくれたのはエマだけだった。学院にどんな子がいたって、僕の心が揺らぐことはないよ」

「本当・・・・・・?本当に、嘘じゃない?」


 エマが上目遣いで僕を見つめてくる。その眼には、不安と期待が混じり合っていた。

 僕は力強く断言する。


「ああ。誓うよ。僕の力は、エマを守るためにあるんだ。だから、エマとの接触で得られる力が、僕にとっては一番価値がある」

「・・・・・・っ!」


 エマは顔を真っ赤にし、僕の胸に顔を埋めた。

 その姿を見ていたクレアが、「やれやれ、仲がよろしいこと」とわざとらしくため息をつく。


 数分後。ようやく機嫌を直したエマは、僕の胸から顔を上げ、少しだけ真剣な表情で僕を見つめた。


「・・・・・・いいわよ。ミトがそこまで言うなら、信じる・・・・・・でも、一つだけ約束して」

「何だい?」


 エマは僕の服のすそをぎゅっと握りしめ、覚悟を決めたような瞳で言った。


「・・・・・・学院に入って、もし・・・・・・万が一、どうしてもミトの成長のために他の子が必要になったら・・・・・・その時は、浮気してもいいわ。私の許可制でね」

「え、エマ・・・・・・?」

「その代わり!心までは渡さないこと!そして、最後には必ず私のところに戻って来ること!いいわね?これだけは、騎士の誓いよりも重い約束よ!」


 彼女なりの、最大限の譲歩。それは、僕の成長と成功を誰よりも願っているエマだからこそ言える、切なくて重い愛の形だった。


 彼女の深い献身を感じ、僕は胸が熱くなった。


「もちろん。そんな心配しなくていいくらい、僕はエマだけを愛してる」

「・・・・・・もう、そういう恥ずかしいことをサラッと言うんだから」


 エマは照れ隠しに笑い、僕の首に腕を回した。

 月明かりが差し込む部屋で、僕たちはゆっくりと顔を近づける。


「入学のお祝いよ」


 エマの柔らかな唇が、僕の唇に重なった。

 朝の儀式よりも、ずっと深くて情熱的な、愛情に満ちたキス。


 その瞬間、体内の魔力が爆発的に共鳴し、僕のステータスがぐんぐんと上昇していくのを感じた。けれど、今の僕にとって、そんな数値の変動はどうでもよかった。

 ただ、この温もりがあれば、明日からどんな困難が待ち受けていようと、僕は無敵でいられる。そんな確信があった。


「あーあ、見てらんないわね。ステータス上昇のログがうるさくて、こっちは目がチカチカするわよ」


 背後でクレアがニヤニヤしながら冷やかしていたが、今の僕たちにはその声さえも、心地よい祝福の鐘のように聞こえていた。


 明日からいよいよ、僕たちは王立学院の生徒だ。

 かつてゴミ箱と呼ばれた黄金の器と、銀光の騎士。そして万能鑑定士。

 行く手にどんな困難が待ち受けていようと、僕たちならきっと乗り越えられる。僕たちは、揺るぎなく確信できた。


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