表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【改訂完了版】  作者: シロクマシロウ子
過去編・調査へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/145

次なる進路へ

今回のエピソードでは登場人物紹介をお休みして、これまでのあらすじと、黒竜池事故・行方不明リストを前書きに載せさせて頂きます。


◾️これまでのあらすじ

行方不明者が多発していた伝説の黒竜池ではようやく、白骨体が引き上げられた。これが父親だと判明すれば、桜田風晴は高額の生命保険の受取りが確定する。遺体の頭蓋には銃痕の跡があり、父親のいた陽邪馬市議会は当時関光建業(関光組)と繋がりのある企業との癒着で捜査をされていた。

そして、遺体引き上げと同時に民宿には、風晴の母親に関する怪文書が届きだす。




   黒竜池事故・行方不明リスト(桜田孝臣 作)


 2019年1月8日 A県 陽邪馬市 桜田晴臣(44歳)


 2018年12月23日 A県 陽邪馬市 今井薫子(36歳)


 2016年 8月 S県 安良市 田所高文 (31歳)


 1998年 5月2日 名前非公表 (7歳子供)※生還


 1987年 11月 A県 灰畑町 馬場洋子 (70代大人)


 1955年 アカガワ セイ 住所・性別不明 (大人)


1940年頃 A県灰畑町 氏名不明・性別不明(子供)※生還


1920年頃 住所不明・氏名不明・性別不明(大人)

      住所不明・氏名不明・性別不明(子供)※救出


 約120年前  A県灰畑町 氏名不明 (子供)


 



「ところでアイスってどっから? 真淵を呼ぶための嘘じゃないよな?まさか」


 階段で風晴は前を行く水樹に言った。

 水樹は鬼の形相(ぎょうそう)で振り返った。


「人聞き悪いこと言わないでよ! 嘘じゃないわよ!

 大丈夫だよ、聖。ちゃんとアイスあるからね。こっちだよ」


 カッコ内の前半と後半で彼女は人が変わっていた。多分自分は、彼女に友達になろうとすら思われていない。


「サクラセンセが朝ハイエースでコンビニから買ってきて

 男子の部屋の冷凍庫入れてったんだって──"それ食べて大人しくしてろ"って。

 かなりあるから多分あんたの分も大丈夫」


 お、いくらかは仲間だと思ってくれているのか。


「聖の分は絶対大丈夫! 桂木が2個、3個食べてても私の分あげるからね。兄さんの分も多分なんとか回せると思う」


 扱いに差はだいぶある──天と地ほどに。

 誰もいなくなったオープンスペースを通り過ぎて、風晴達は男子部屋に入った。






「お! いらっしゃーい」


 ドアを開けると桂木の軽快な声がした。


「こんにちは、真淵くん」「おはよう」


 と あちこちから声がかかる。微妙な時間帯だった。

 "こんにちは"と"おはよう"の境目はどこだ?


 聖は水樹に手を引かれてやっと入室した。後ろから風晴が続く。みんなはすでに各々畳や座椅子や、簡易ソファに座ってアイスを食べていた。が正火斗は食べていなかった。朝食が遅かったからかもしれない。

 椎名に通り過ぎざま、水樹は


「大丈夫? セクハラされなかった?」


 と聞いた。椎名はニッコリして


「大丈夫です。アイス1番に選ばせてもらいました」


 と返した。水樹が大きくうなずく。

 やりとりを聞いてて桂木が


「水樹ちゃんひどいよ。オレはずっと君一筋なのに」


 と言った。これ以上ややこしくするのはやめてくれ。


「桂木は誰にでも一筋でしょ。美人記者にも魂捧げそうだったわよ。……まあ、他の2人も変わらないけどね」


 水樹はそう言って冷凍庫を開けた。

 良かった。アイスはまだ5、6個もあった。

 彼女は3個抜き取り、後は風晴に


「どうぞ」


 と言った。

 聖を畳に座らせ、アイスを選ばせている。

 昨日に引き続き餌付けは行われていた。……連日やった方が保護動物は気を許す。

 風晴もアイスを一個取り出して 冷凍庫を閉めた。


「でも安藤記者は、変なジャーナリストとは違いますよ。倫理観がしっかりして、正義の記者って感じでした。悪い人とは思えません」


 神宮寺は魂をすでに捧げてしまっているかもしれない。

 正火斗は(あき)れたような声で言った。


「神宮寺、好意を持つのもお前が自分のことを彼女に話したりするのも勝手だが──だが、そこまでだ。

 風晴や桜田家について尋ねられたら"分からない"と言え。それができないなら"安藤記者とは関わるな"とお前に言うしかない」


 神宮寺は憧れの部長に厳しく言われてか、少し冷静さを取り戻したようだ。


「分かっていますよ。僕だって……そんなことはしません」


 聖は3個の中からアイスを決めた。バニラのカップのアイスだった。水樹は冷凍庫に2個のアイスを戻し、冷蔵庫上にあったアイスのヘラを一つ取った。聖に届ける。


 安藤記者についても、水樹の男子への挑発にも、安西は無言だった。

 ソーダ系アイスを食べながら風晴は安西を横目で見て、どうしたものかと思った。想うことも想われることも彼にとっては意味がないことなのだろうか。


 苺ミルクアイスを食べ終えた椎名は、ミステリー同好会部長に質問を投げかけた。


「サクラチャンの"それ食べて大人しくしてろアイス"食べちゃいましたけど、まさか"午後から課題やろう"なんて部長いいませんよね? 私達事件を追うためにここに来てるんですから。でも具体的に今何が出来るかって言われたら──私は……案が出せないんですけれど……」


 正火斗は少し笑みを浮かべながら、椎名に答えを返した。


「ごめん椎名。今日は"午後から課題をやろう"」


「「「え────────!!!」」」


 と全体から悲鳴に近い声が上がる。

 風晴と聖は加わらなくて済んだ。課題の質と量が全く違うのだろう。聖はバニラアイスを食べ続けている。

 悲鳴を聞いて、正火斗は笑い出した。


「大丈夫だ。何もしないとは言わない。明日のために、少しは課題も こなしておこうってことさ。桜田先生と警察の黒竜池の捜索は3、4日かかると安西がきいたそうだ」


 視線が安西に集まった。彼はみんなに うなずいて表した。


「明日は"事件を追う"よ。黒竜池からは、この後……今日にも、あと何体か遺体が出る可能性が高い。その遺体は、当然 行方不明だった年数が短いものと考えていいだろう」


「それはそうだよな……。古くなればなるほど、発見しずらい奥に流れ込んでるってことで」


 桂木が同意する。


「そう────それで、これが再登場する」


 正火斗はヒラリと用紙を1枚掲げて見せた。

 見覚えがある。桜田先生の作った黒竜池関連と思われる行方不明者リストだった。


「池から上がって、司法解剖やらDNA鑑定が終わってから始めたんじゃ僕らの夏休みは終わる。先取りして、桜田晴臣を除く今井薫子・田所高文・馬場洋子・アカガワセイについて調べてみようじゃないか。

 手がかりが多い者も少ない者もいるが、当然どうしたらいいかぐらいは君達は考えられるだろう?」


 ミステリー同好会部長は、挑戦的にメンバーに告げた。


「基本は検索ですよね。住所や、いなくなったことの記事が出てくるかもしれません」


 と椎名。


「黒竜池の近所の人なら、状況や何故池に来ていたかくらいの噂は覚えているかも。信憑性(しんぴょうせい)はともかくとして」


 これは神宮寺だ。正火斗が


「そうだ。信憑性はともかくとして、情報にはなりうる」


 と同意してくれたので、神宮寺は顔を明るくした。


「ワンチャン今なら、桜田先生の名前出したら市役所の人とか話しを聞かせてもらえないかな。黒竜池で遺体発見した研究者って言ったら、効き目ありそうなんだよな」


 桂木だ。確かに、もし話が聞ければ信憑性は上がるだろう。


陽邪馬(ひやま)市は近いし、今井薫子は……結構重要だと思う。行く価値があるかもしれない」


 これは安西だ。


「S県もこの隣りよ。朝から行ったら電車で日帰りできると思う。ただ田所高文に、そこまでの価値があるかは分からないけれど」


 水樹も考えてくれている。

 椎名が


「部長、振り分けて午後から動きましょうよ」


 と言った。

 正火斗が


「だめだ。今日は午後は課題だ」


 と笑顔で返した。

 同好会メンバーは落胆したが、明日のためにと力無い返事を返していた。


 風晴はふと、リスト以外の人間で話しを聞いてみたい人物に思い当たった。

 だが、()()()()()()()()怪しすぎるので、ここで提案することを控えた。


(午後から行ってみるか。自分だけでも)


 マウンテンバイクで相手の家に行くことを考えたていた風晴は、ふと視界の先にいる聖に気がついた。


(真淵を誘ってみるか。あいつ……行くって言うかもしれない)


 今日は聖の方はマウンテンバイクが無いが、ここからなら歩いて行ける距離だ。()()()()()()()()


 風晴は大山のおばあちゃんに話しを聞きたかった。



 何故(なぜ)彼女は黒竜池の地蔵をそんなにも拝むんだろう。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんにちは と おはよう の境目 > 10時を境目に、と職場で教わったが根拠は解らないな。だが、先にお客さまから言われたらそれに合わせるのだ。 最初から怪しいばあちゃんだが、120年前のことを伝聞以外…
今井薫子・田所高文・馬場洋子・アカガワセイへ向かおうとする部長。 風晴は大山のおばあちゃんへ。……そして、聖も。 『大人しくしてろアイス』を食べ終わって、 いよいよ、物語が動きそうな気配です。 …
インテリ美人に惑わされる男子高校生が続出⁉️ 魔性の女すぎますね、安藤。 (´ε`) アイスは人数分……重要情報だメモメモ_φ(・_・ え? 最終的に一個足りなくなって新たなミステリーが生まれるん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ