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炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【改訂完了版】  作者: シロクマシロウ子
邂逅編

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少しばかりの寄り道を

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田風子さくらだふうこ・・・風晴の母親。民宿を営む。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員だったが、6年前から行方不明。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の実弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


 


 麦茶と菓子が女子部屋に到着すると、わぁっと2人は迎えられた。すぐさま菓子袋は開けられ、グラスの麦茶が皆半分以下になる。


「麦茶は大体いつもあるようにしてるけど。後は出て左に行った先にすぐ自動販売機はある。言っとくけどコンビニはチャリで20分はかかるし、11時には閉まるから」


 風晴はそんな彼らの様子を見て教えた。


「え────!? それコンビニって言わないでしょ?」


 水樹はふくれ顔だ。それでも彼女の顔はキレイだ。


「意外とそう言うコンビニあるんだよ、地方は。で、朝5時くらいからまたやる」


 孝臣が地方あるあるを披露する。

 風晴は近隣情報を追加した。


「コンビニよりかはスーパーが近い。歩きで15分くらいで

 ミマルマーケットっての。ただし7時半で閉まる」


「アイス溶けちゃうじゃん。夏なのに買いに行けないのかよ…………」


 桂木が絶望的な声をあげた。皆も険しい顔をしている。

 高校生にとっては非常事態なのだ。

 年配者らしく孝臣は解決策を提示した。


「アイスは溶ける前に道端で食うのさ。こういう田舎はそれがいい! だけど棒付きアイスは最後に気を付けろ。棒周りに残るアイスのバランスが悪いと落ちるぞ。

 カップのアイスだって安心はできないんだ。会計の後のサッカー台でお店の善意で置いてある使い捨てスプーンを必ず取ってこなくちゃならない──必ず だ。それを忘れてみろ、アイスをアイスのうちでは食えなくなる」


「シェ、シェイクになるとか?」


 椎名はいくらかでも期待を込めた。


「そんなオシャレに生まれ変わらないぜ? アレ、紙ケースが歪むから飲むのも難しいし。手べったべたになる。これは絶対」


 風晴は現実を教えた。いかに厳しくとも、だ。


「レジのオバサンはな、3タイプいるんだ」


 孝臣は指を3本立てて話しだした。


「一つは"そちらにアイスのスプーン置いてありますからご自由にどうぞー“って、最後に一文で締めくくるタイプ。これは結構分かりやすいし素直に助かる。

 二つ目はお前らも聞き慣れた感のある"アイスにスプーンは御入用ですか?"って尋ねてきて"いる"と答えると"台の方からどうぞー"ってなる二文タイプだ。

 アレは心理的な引っ掛けがある。コンビニやりとりに慣れすぎてると、店員がもう袋に入れてくれたような気になりうる。

 うっかり台を通り過ぎてみろ、もう戻れないってのに」


「それは戻って取っていいから」


 風晴は訂正を入れたが、みんなの耳に届いているかは定かではない。


「三つ目のオバサンこそが問題だ。最後のタイプのオバサンはな……」


 風晴は答えを知っている──が、孝臣に全てを任せた。


「何も言わないんだ」


 風晴を除く全員が目を見開く。


「このタイプのオバサンは()()()何も言わないんだ。ただ かしこまって手を前にくんでレジが済んだ客を横目で見送る」


「え? ええ? じゃあ、スプーンは…………? スプーンはどうなるんですか? 手に入れるための情報は、その人から入手するシステムになってるんじゃないんですか?」


 神宮寺が必死にきいた。多分RPG好きなのかもしれない。


「神宮寺、世間はそんなに甘くないんだ。

 スーパーのオバサンはな、自力で見つけてこそってことを私達に教えてくれてる」


 孝臣は無駄にいい感じに締めくくった。


「え────!? 田舎怖い!!!」

「アイスのスプーン取る、アイスのスプーン取る、アイスのスプーン取って帰る…………」

「それ業務違反とか何かにはならないんですか?」

「オレは棒アイスでいいよ! もう!」


 あちこちから悲鳴まがいの声があがる。

 風晴はなんだかおかしくなってきて、1人口を押さえてうつむいていた。

 だが横から視線を感じて目を向けた。


 そこで正火斗と目が合った。

 麦茶と菓子を持ってきて再度集ったとき、隣りになっていたようだった。


 彼は風晴を見たまま


「田舎のスーパーの注意点は肝に銘じましたよ。

 さあ、そろそろ本題に入らないか?」


 と皆に言った。


 風晴の頭の中で、さっきの安西の言葉が甦る。




 "彼はそう、この事件を調べたがっていたんじゃないかな。君のお父さんの事件を"







書くべきところも書きましたが、結構な寄り道も楽しんでしまいました。

次こそ!風晴話します!なんだかすみません!

引き続き宜しくお願いします。

追記.スーパーの買ったものを袋詰めする台はホントにサッカー台と言う名称です。

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― 新着の感想 ―
アイスのリアリティが半端ないです(笑) 不穏なスタートからの青春らしいひとコマ、ですね。
 アイスのスプーンでここまで盛り上がるのが可笑しかったです。  三種類のおばさんのお話、凄く説得力在りました❗笑  正火人くん、何か関わりがあるのでしょうかね。  安西くんは何を見たのでしょう❔  …
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