第七話
僕が目を覚ますと、僕の傍らにいたのは――白金の長い髪に、赤い瞳。白と黒の翼を持った存在だった。
「......誰だ?」
「嫌ですわ、リオネル様!わたくしですわ!ヴィレリアですわよ!!」
「......一体何者になったんだ、君は?」
「今の私は、世界を統べる神【コスモス】ですの♡」
――世界を統べると言うことは......
「まさか、人間界にも干渉するつもりか?」
「人間界に関しては、リオネル様。貴方様の希望通りにして差し上げますわ♡」
「......僕の思う通りに?」
「はい♡だって私の愛しの"旦那様"ですもの♡」
「......ペット、だろう?」
人間界を僕の思う通りに......か。
それなら、僕の望みはただ一つ。
「ヴィレリア。僕の願いを聞いてくれるというのであれば、人間界を争いのない平和な世界に書き換えてはくれないか?......どうせ、僕はもう人間界に戻る事は出来ないのだろう?」
「かしこまりましたわ♡全ては、わたくしの思うがままに......【神権世界改変・コスモス・リライト】」
ヴィレリアが跪き、手を合わせながらそう唱えると、彼女の周りが光に包まれた。
――そうして、世界を越えて光の矢が空を駆け巡った。
「これで人間界は平和になりますわ♡......リオネル様、頑張ったわたくしにご褒美を下さいませんか?」
「......ご褒美?何が欲しいんだ?僕が君に差し出せる物などないんだが......」
「そんなの!簡単ですわ!わたくし、貴方様との"子供"が欲しいんですの♡」
「こ、子供?!」
そう言うと、ヴィレリアはスルスルと衣服を脱ぎ始め、美しくなだらかな肌を露にした。
――これはまずい。
「ヴィレリア!!落ち着くんだ!!まさか子作りでも始める気か?!」
「もちろんですわ♡......さぁ、一つになりましょう?」
「......あぁーー!!」
――こうして僕の童貞は神となった初恋の相手に奪われたのであった。
***
神には十月十日など関係ないようで翌日にはヴィレリアの腹は大きく膨らんでいた。
......それにしても大きすぎないか?
「ヴィレリア、その腹は......」
「わたくし達の愛の結晶ですわ♡今夜にでも生まれるかと♡」
「......やはり、人間ではないのだな」
「?そうですわよ?......ハッ!!」
ヴィレリアは、急に何かを思い出したかと思うと、指を切りその指を僕の口の中に入れてきた。
「うぐっ!!んン......う、ハァ......。一体何を......?」
「今、わたくしの血を飲んでもらいましたわ。これで晴れて貴方様はわたくしの眷属に♡」
......何という事であろうか。
魔王の次は神の眷属に......
「勇者である貴方様には元々聖なる力が備わっているので、そこにお父様の血で魔の力も入る事で、神・コスモスの力が入るのには抵抗はなかったですわね♡」
そんなやり取りをしていたら、ヴィレリアが苦しみ始めた。
――陣痛だ。
「せ、聖域展開......【エデン】」
ヴィレリアがそう唱えると、光の空間が現れた。
――それからどのくらいの時間が経ったのだろうか。
光の空間が解き放たれ、中から二人の赤ん坊を抱いたヴィレリアが姿を現した。
「リオネル様。わたくし達の可愛い赤ちゃんですわ。見てください。双子ちゃんですわよ。一人は光の力を受け継いだ【ルクス】。もう一人は闇の力を受け継いだ【ノクス】。可愛いでしょう?」
――思ってもみなかった出来事ではあるが、自身の子供と考えると......悪い気はしなかった。
そんなことを考えると言うことは、僕はとうとう毒されてしまったようだ。




