第二話
――目を覚ました。
最初に感じたのはベッドの柔らかい感触。
「ん......」
目を開けると視界に広がるのは黒曜石の様な黒い天井であった。
「......ここは?」
「あら♡お目覚めになりましたの?」
「?!」
僕は思わず飛び起きた。
まさか隣に人がいるなんて思わなかったからだ。
......しかもそれが――
「......ヴィレリア」
「ハァイ♡」
彼女は満面の笑みを浮かべて僕を見つめていた。
僕は辺りを見渡す。
......どうやら寝室のようだ。
しかし、今までに見た事もないような広い部屋。
その中心に置かれた天蓋付きの大きなベッド。
「......ここは?」
「わたくしのお部屋ですわ。そして、今日からは......うふふ♡リオネル様のお部屋にもなりますわ♡」
僕は背中に汗が一筋、ツーと伝ったのを感じた。
――仮に僕が拒否をしたら、抵抗したら、一体どうなるだろうか?
「......僕は君のものにはならない」
「?どうしてですの?せっかく魔界の瘴気に当てられても大丈夫なように身体をに私の魔力を流し込みましたのに。......それに聖女と勇者様は結ばれる。おとぎ話でもそう相場は決まってますわ♡」
「......」
「それに......リオネル様もわたくしのこと、好いていてくださいましたよね?私には分かりますのよ?」
そう言うとヴィレリアは僕の上にのしかかって来た。
――聖女がとる行動ではない。
今ここにいるのは......
「君は悪魔だ」
「?わたくしが?悪魔?あぁ!小悪魔のように愛らしいと言うことですのね♡リオネル様ったら♡」
「ちがっ......!!」
僕は否定をしよううとしたら、足首に冷やりとした感覚を感じた。
――枷だ。黒い鎖で繋がれている。
「......これは、一体どういうつもりだ?」
「だってぇ......離れている間にどこかへ行ってしまったら悲しいじゃありませんか。せっかくお父様から許可が出ましたのに。」
「......"お父様"」
「ハァイ♡」
魔王を"お父様"と敬う聖女がどこの世界にいようか......
すると、禍々しい気配が扉の外から漂ってきていた。
「ヴィレリア。邪魔するぞ」
「あら♡お父様♡」
「......勇者よ。目を覚ましたか。どうだ?気分の程は」
「......最悪だ」
「ヴィレリアよ。紳士の上に乗っかるなど行儀が悪いぞ」
魔王がそう注意すると、ヴィレリアは「ハァイ」と残念そうに僕の上から降りたのであった。
魔王は自身の傍らにヴィレリアが来たことを確認すると、僕に話しかけてきた。
「勇者よ。貴様はもうただの人間ではない」
「?!どういうとだ?!」
「貴様が寝ている間に私の血を飲ませた。......貴様はもう我が眷属となったのだ」
「!!......なんてことを......」
僕は絶望に打ちひしがれた。
そこに追い打ちをかけるように魔王は選択肢を二つ、示した。
「貴様に残された道は二つ。一つはこのまま血に抗えず魔物となるか。これはおすすめできないな。もう一つはヴィレリアと婚姻を結びこのまま私の眷属となり魔界で平和に暮らすか。さぁ、どうする?」
――選択肢などはなからあってないようなものではないか。
......僕が選ぶ道、それは――




