第009話『選別』
『』のタイトルは主人公以外の視点の物語となります。
宜しくお願い申し上げます。
初めまして生徒の皆様。
私の名はデルフィラ・ファーヘイロー。
北、中央、南に連なる魔族領で中央のドラッケンホルド大陸・北方帝都シスターン・シティに鎮座するファーヘイロー侯爵の3姉妹の次女ですの。
周知の通り私の家は名家で後一歩で公爵までに上り詰めるほどの魔族領に置いて最も勢いのある筆頭貴族の出ですの。
王都にてファーヘイロー三姉妹といえばどこの貴族も挙こぞってお近づきになりたくなる様な容姿端麗に、幼児の頃からの英才教育、国語算数理解社会に加えて気品良しの器量良し。
姉は芍薬、私は牡丹、可愛い妹百合の花。
私達三姉妹からしたら他のメスなんぞただの雑草。
人知れず菫の花ように隅っこで無様に咲き誇っていれば宜しいかと。
隅の菫。スミスミ。ぷふっ(笑)。
妹が生まれてから数年後… いえ失礼、正式な年号がないと皆様には伝わりませんわね。
魔暦9316年、魔族領で前皇帝陛下は現皇帝陛下に譲位を賜りまして殿下は老院の立ち位置に収まりました。現在の魔族領は3大陸あり北、中央、南とそれぞれに魔王が当てがわれておりますが更にその三つの大陸全土を統べる皇帝陛下が全ての魔族の頂点に君臨なさっておいでになります。
現在の統一王で在らせられる皇帝陛下は我が誉れあるファーヘイロー家と同じ「キマイラ種」。皇帝陛下が即位なさると即座に同じ種であるファーヘイロー家を侯爵まで取り立ててくださいました。
公爵を通り越して太公までに昇るのも時間の問題というわけですわ。
あら?魔族の種族に明るくない?無様ね。
いいでしょう私と私の一族がどれだけ優れているか説明して差し上げますわ。理解できた暁には…私の靴を舐める権利を与えて差し上げましてよ。
屈辱の靴舐め。クツクツ。ぷふっ(笑)
キマイラ種とは魔族の中でも優れた種ですの。
魔族は主に3つの種族に分けられるのですわ。
亜人種、獣魔種、キマイラ種。
想像出来まして?あら思ったより頭の出来がよろしいのですね。
そうキマイラ種は亜人種と獣人種を掛け合わせた様な種族で決められた骨格を要さない。
いえ、必要としない無限の可能性を秘めた種ですの。
四足獣は文字通り4つ足。蟲は6本足。他にも足数の多い生き物もありますがただの下等生物ですわ。
でもキマイラ種になればそんなのは関係ありませんの。
我々は骨格の制限が無く美しい組み合わせであれば足の数なんぞ些細な事ですわ。
また私達に掛かれば擬態も呼吸ほど難しくありませんの。
そう言って彼女は片腕を美しい毛並みをした雌獅子の逞しい腕に変えて見せると、ピンクの肉球を見せ、鋭い爪を出し入れしながら指を器用に動かしてみせた後、言葉を続ける。
過去におわしましたアラクネ(蜘蛛)の女帝もキマイラ種ですの。
彼女は上半身にエルフの様な美しい亜人種の体を持ち下半身は蜘蛛でした。
有名どころでいえばケンタウロス一族もキマイラ種ですの。亜人の体に馬の下半身、美しいと思いません事?他にもハーピィとも呼ばれる有翼の魔族もキマイラ種、亜人種の体や鳥類の四足に止まらず翼を有しているのが特徴ですわ。
人間は彼らの美貌に当てられてか「エンゲル」などという言葉を使ったほど。
現在の皇帝陛下の御身ですか?
ふふ、陛下は亜人と竜のキマイラ種ですの。
歴代最強と謳われておりますわ。
ちなみに前皇帝で在らせる太上公殿下は黒山羊の頭を持った獣魔族ですの。
太上公殿下は聡明なお方でしたが腕力では現在の皇帝陛下に敵うはずがありませんわ。
獣魔種の違い?面倒ですわね。これだから劣等種は…。
あら失礼、本音ですわ。ぷふッ(笑)
獣魔種はただの知恵のある獣や蟲の魔獣、
また擬態を使った亜人種の頭を獣の体に取って付けた魔人、はたまた獣の頭を亜人の体に取ってつけただけの獣人の魔族ですわ。
有翼の獣魔種とキマイラ種を混同されがちですが蟲は一貫して獣魔種、四足のほかに翼を有していればキマイラ種、翼と足だけなら獣魔種ということですわ。
獣魔種には美しい姿をした者は稀だけれど労働力にはなりますの。
亜人種は原始的なヒューマンの体が更に進化した魔族の総称ですの。亜人には鬼人、精霊、妖精の順番で劣等種を区別してますわ。
亜人・鬼人系にはオーガ、オーク。
本人達は否定しますがエルフは亜人種・精霊系。
亜人種・妖精系はピクシーやノーム。かわいらしい小人たちはほとんどが妖精種ですわ。
後は"G"でしょうか。あぁ名前をだすのも汚らわしい!
もうよろしいでしょうか?
はい!以上で授業を終わります。
起立。礼。はい、さよなら。
◆◇◆
王都中央教員試験の数日後、私は自室で上半身亜人の体に薄いシルクのワンピースを身に纏い、下半身雌獅子の4本足を晒しながら体をだらしなくベッドに投げ出して寛いでいた。
ベッドの隅には先日の試験結果…にしては上質過ぎる丸められた羊皮紙。加えて封書用の蝋印に皇帝陛下の皇印が使われている所を見ると開封するまでもなくの「皇令」が記載されていると分かる。
『宮廷教諭』その可能性は大きい。
現在の皇帝陛下は遅咲きで、前皇帝陛下(現太上公殿下)に譲位を迫らずとも腕力だけでも捩じ伏せられたはず。
だが彼は武力では無く対話だけで他の3王:北、中央、南の魔王の同意を得たうえで前皇帝からその地位を譲り受けたのだ。
中年に差し掛かり現役である皇帝には妃がいた。
そして即位の前に丁度思春期差し掛かる3人の息子達。
この3人の皇太子達こそファーヘイロー3姉妹が番となるべき嫁ぎ先と一家の誰もが信じて止まなかった。
そしてデルフィラは姉妹の誰よりも早く皇太子達を追い囲むべくこの一手を打ったのである。
「ああ!いけません殿下!
私達は教師と生徒と言う立場…ああぁん♡
いやぁ、ダメぇ♡恥ずかしい!乳の数をかぞえないでぇ♡」
「ゆくゆくは御子を授かり成長した男の子の姿は逞しい獅子の体と鬣に強靭なドラゴンの後ろ足と尾だったり?」
「はっ…!どうしましょう!私はどうなっちゃうの?
皇帝陛下の一族に無くてお父様にある物……翼。」
キマイラ種なら遺伝する可能性は十分にある。
最強と謳われた皇帝陛下以上に恵まれた体格を有した我が息子。
ヒューマンも、巨人も、エルフも腹伏せて…
「母上、世界をあなたに捧げます」
きゃぁぁぁあああぁぁあぁぁあああ↑↑↑↑↑↑↑(歓喜)
はぁはぁと肩で息をしながら冷めていく興奮から自我を取り戻すと、私は飼い慣らしている、濡れたポルピー(触手の魔物)を水槽に戻した。
私はいそいそと浮き足だって羊皮紙を手にして指から獅子の爪を出すと丁寧に封蝋を剥がした。
そして内容に目を通す。
知識 優
忠誠心 優
内容 優
懸念事項 有
性格に難有り。領民と触れ合い見識を広めたし。
南の大陸ドラゴンボーンクランの地でトロッター選抜部隊及び教成員として隊の編入を任命する。
いゃぁぁぁあああぁぁあぁぁああああ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓(悲鳴)
私は内容を何度も見直した。
どう読んでもこれは皇令である。違を唱えれば謀反ありと首が飛んでもおかしくない。
最後に私は書類の作成担当の名前を目にした。
筆:宮廷皇室直属秘書室 キュウコ・エニアゴン
あんのクソアマぁ!女狐ぇ!
今度会ったら九つの尾全部むしって裸にひん剥いてゴブリンの巣穴に投げ込んでくれるわっ!!
◆◇◆
出発の日。
姉「ではしっかりね。
あなたが英雄を育てるのよ。ぶふっ(笑)」
妹「お姉様寂しくなります…
いつでもここから応援しております! ぷぷっ(笑)」
今笑ったな?聞こえたから!
ムカつく笑い方しやがって!クソ姉妹共めっ!
こうして私は南の地に送られる事になった。
現地に着くと一応、前皇帝陛下(現太上公殿下)が嘗ては出生地として治めた中央都市とあって大きなシンダーヴェイルと言う名の街に城壁と宮殿があった。
南の魔王に挨拶をして早速国中から集められた赤子を見て回る事になる。
子沢山な魔族もいるので集められた赤子は数千に登る。
面倒なので整理券となる木札を用意させ、木札を渡して1人1人特殊な水晶の前に立たせる。
水晶を通して赤子を見ると『トロッター』の場合不思議なオーラを纏うので一目で分かる。
中には『トロッター』かもと適当な赤子を連れてくる者もいるが水晶は嘘つかない。
そして私は一匹の"G"の幼体が『トロッター』のオーラを纏うを見て「ゲェ」っと否定的な汚い声を出すのだった。
自分で読み返してややこしくなった。
魔族
キマイラ種
四足獣+α、もしくは人型+α
獣魔種
獣人系 半獣半人
魔人系 半人半獣
蟲系
魔獣 野生の魔物
亜人種
鬼人系
精霊系
妖精系




