↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔族への誘い  作者: 銅 ボンド(アカガネ ボンド)
ようこそ魔族領へ!
13/14

第013話 事典

先生の授業は続く。

彼女はさらに説明を続けた。内容は次の通りであった。

巡る者(トロッター)は意図せず何らかの要因で前世に終止符を打たれ、この星へ巡りついた者たちを指す。

今回の魔族による「大召喚祭(グレート・サモン)」はドラッケンホルド中央大陸の北側に位置する帝都とは反対の南側に位置する王都クロイスタークロスのギムルギル 大聖堂で行われ、

召喚術には攫(さら)ってきたヒューマンの巫女に強制的に執行させた。

召喚術が使えるのは基本、この世界の神に愛されたヒューマンだけという話で唯一星々を渡る、もしくは星を生み出す術を持っているという。

さてその星の導きによる異世界を渡る秘術「ムーシークーシー」という・・・・


前世の非人道的殺人事件一部はこの世界が故意に起こしたものということか!

魔を差すな!むしゃくしゃするから!

まぁ実行犯(トラックン)が後悔することはないだろうね。お前らのせいだし。

 

今回の魔族による大召喚祭(グレート・サモン)も大都市の一か所に多すぎずも少なすぎない人が集まるポイントを狙い小規模の災害を引き起こした。

そうして瀕死の人間の魂を引き寄せ私を含む大勢の行方不明者が星を渡ったと・・・・


もしかしてあの時あのビルで行われたどーでもいい会議に多くの人の不満が詰まっていたのではないだろうか?そして私もその不満を抱えていた一人でもあったと。 


死の間際に思ったことがの特別な力を宿してこの星に巡り生まれる。

先生はその話の最後に「今ここであなた達がすべき事は、死に際を思い出し能力を引き出すこと。」

それが私達転生者に課せられた最初の課題であった。 


あー 思ったわー。 

死の間際に 願ったわー。 

「パソコンのデータ消したい」

リモート操作ができれば消せる、そこまで見越しているのか分からないが神様?召喚者?は叶えてくれたんだね。だから意識がネットにつながるのね。

なるほど、なるほど。


先生「それで?喋れるやつはいるか?お前達に何ができる?」

先生はゆっくり歩いてメイドたちが抱えている卵や幼児を物色するように見て回る。

一人の獣人の幼児の前で止まると「ふむ・・・」と言ってその幼児の首根っこを摑まえて片手にぶら下げた。猫の獣人だろうか?幼児だと大きめの猫のぬいぐるみにしか見えない。家猫の幼児にしてはデカすぎる。ライオンや虎の赤ちゃんサイズと言えばわかるだろうか?


お世話係のメイドさんが青ざめ震えていた。そして彼女の方から何か匂った気がする。

先生は獣人の幼児を両手で抱きかかえると私たちに背中を向けた。

そしてぼそぼそと何か言っていた。

私は耳を澄まして聞いてみる・・・


「生まれたばかりなんでちゅか?かわいいでちゅね。先生の言葉わかりますかぁ?」


あとは猫が甘えるようにゴロゴロ喉を鳴らす音が聞こえる・・・

先生はコホン・・と咳払いをすると、振り返り抱き上げている獣人の世話係に「おしめと食事を」というとメイドは「はい!すぐに!」っと言って教室から走り去ってしまった。

多分「おしめ」は彼女自身のことも暗に示していたのだと思う。


はぁ…みんな卵だったり生まれたての犬猫羊の獣人の幼児だ。

しゃべれるわけないだろ。

そうして一連の流れを見ていると、ウサギさんのメイド達の視線を感じた。

みんなで私を見てる。

皆の視線が痛い!やめて!見ないで!

私はまだ生後2ヶ月よ!


「異世界のネットワークに意識をつなげるとこができます」と正直に言ったら、

頭をその場でカチ割られ脳味噌を調べさせろとモルモットにされるんじゃないだろうか?

言い訳を考えろ! サーチエンジンで調べてる時間がない!


先生はジロリと私を見る・・・。


私は変な汗をかきながら半眼(瞼を半分に閉じた)になる。殺意を感じる。

適当な能力を教えても使えないと思われたら「死」、知っていることを伝えても多分実験台にされて「死」。

あれ?行き着く所はすべて死だ。これはデスゲームだ。

ぼそぼそと「生まれたてなので・・」と言うと先生は鞭を床に叩きつけた。

パぁあん!!!と渇いた音が教室に響く。


ぐっ・・!ケモミミの獣人なら「そうでちゅねー」とネコナデ声でも出すのだろうが、

ゴブリンでは可愛げも何もないか。見た目優先の外見至上主義は魔族も同じ。

なるほどマスターであったダニ一族のギカカリウス達が擬態とマナーを重視する理由がわかる気がする。

上位貴族や優位種なら適当な理由をつけて「虫けらめ」と文字通り彼等を潰すのも造作もなくできるのであろう。


そして私はこれまでの経験を書きつづけたテキストメモを思い出す。


私「白い本が見えます・・・」

先生「白い本?」

私「はい・・・真っ白なんです。でも何かを覚えると覚えたことがページを埋めるんです」

先生「本・・・学んだことを記録するのかしら? ダイヤリー(日誌)かしら?何かの目録?」


すると何かを思いついた先生は私に怪しい笑みをニヤリと見せると。

「いいでしょう。今後あなたには他のトロッター達のまとめ役をしてもらいます。後あまり私に近づかないで。」と私を隣に立たせた後、鞭で私を遠ざけるように突いて距離を取らせると鞭で私に触れた所をハンカチで拭き、ハンカチをゴミ箱に放り投げた。


先生ひどくない?泣きますよ?


すると、バチンと鞭が私ケツを打った。

ぐぁ! 

余計な事を考えるなというように打たれたケツを撫でながら、

なぜ私の考えが見透かされたのか不思議に思っていた。

ここは兵舎だ、軍の支給品にケツ用のプロテクターが有れば支給の申請しておこう。


先生は何かの日誌をつけているらしく私の名簿に何かを書き込んだ。

初めて見る単語の文字が何を意味するのかわからないのでスクショしておく。

少なくともこの名簿が何らかの形で上役に連絡される事を祈ろう。

どこかで人知れず私が処分された時、軍であればこのゴブリンはどうした?となり、7人しか居ない貴重なトロッター(巡る者)を失いましたでは彼女の立場も危うくなるはずだ。

少なくともトロッター(巡る者)の収集は皇令であり皇帝もしくは大陸の魔王が保護、教育、軍事利用したいであろう人材だ。成体(成人)するまでにどれくらいの猶予があるのかわからないが余程身勝手な行動をしない限り処分されることはないだろう。


それではこの後給食にして解散します。

サポートの皆さんはくれぐれもトロッター(巡る者)のお世話を徹底するように。

「お前は、明日の夜明け前から訓練だ」そう私に言い残して先生は教室を出て行ってしまった。

そして、その日先生が再び教室に顔を出すことはなかった。


給食が運ばれてくるまで私は黒板に先生が日誌らしき書類に書き込んでいた文字を書き写すとウサギのメイドたちに聞いてみた。


一人のメイドが答えてくれた。 

「それは”エンサイクロピーディア(encyclopedia)”よ」


私のチート能力『脳内インターネット』は異世界で「百科事典 」という名前を与えられた。

歩くウィ〇ペデイア認定。

むしゃくしゃして書いた。後悔はしていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。