5 疲れそう
「宮廷夜会、ですか?」
私はそのワードに耳を疑ってしまう。
疲れそう…。
「その宮廷行事には、王を殺害しようと計画を企てる者が集まると噂を聞いてな。行くもなにも俺には婚約者もいないのだから、調査が進まなくてな。今後、国王に害する者は早めに対処しておきたい。今のお前にも丁度いいだろう?」
私はその言葉を聞き、「あ~、なるほど~。」と言う。
あのウェイトレスが犯人なのだろうが、結局見つからなかったのだ。私の予想では、誰かが変装したと思うのだが…。
「見つからない以上、こういう伝手に頼ることもいいことよね…。」
宮廷夜会では、主に婚約者、既婚者のみが集まる夜会だ。つまり、私たちは婚約者を演じなければならない。
アランはそこで婚約発表も兼ねているそうだ。
私達は周囲に婚約者と見せつけるためにどうすればよかを話していた。
「お互い相性でも作るか?」
馬鹿じゃないの?
「遠慮しておきます。」
私は公爵様の書斎の机をトントンと叩きながら考えている。
いやいや。普通のカップルでも、そんな相性呼びとかしないから!
「私のことはフィールとでも。」
「では、フィール。私のことはアランとでも。」
「…アラン。」
公爵様を呼び捨てるのは、小説の中じゃエミリアしかいなかった。
なんか、複雑。ごめんよ、エミリア。
「周囲に知らしめるぞ。」
私はその言葉に息を呑んでしまう。
その発表と同時に私はたくさんの女子に恨まれるのであろうか。
顎に手を当てながらも口を開いた。
「いっそ、お揃いのものを身につけるとかはいかがでしょうか?」
私はパッと思いついたものを公爵様に言うのだった。
「例えば?」
公爵様はタメ口で言ってくる。
う〜ん?そうねぇ。あまり派手すぎるお揃いも良くないし…。こっそりお揃いみたいな方がいい…?
「ピアスやイアリングなどがいいでしょうか?」
「分かった。買いに行くぞ。」
「…え?」
いやいやいやいや、待て待て待て待て。私は本気で言ってないんですけど!!てか、あんたのほうが行動タイプだろっ!
私はこの後に、公爵様と宝石店へと向かうのであった。




