4 気まじい
「フィール・スタレンス姫君と婚約を結ばせて頂きたくですね。」
私は公爵様の隣のソファに座り、両親とディアナは向かい側の席に座りながら、婚約のことを話し合おうのであった。
どうやらディアナは昨日私が傭兵に連れて行かれたことは知らないらしい。
よかった〜。
まぁ、確かにあのとき、人が少なかったからね。みんな公爵様に夢中だったから、気づかなかったのも無理ないか。王はいつの間にか運ばれてたらしいし。王に毒が盛られたこともそんなに知られていない。
両親とディアナは唖然としている。
…気まじい。
「フィ、フィールと公爵様はどういった出会いで?」
私は父の言葉に飲んでいた紅茶を吹き出してしまう。
「こら、フィー。公爵様がいる前で下品ですわよ。」
いや、父!なんてもん聞いてんだよ!普通、そんなの聞かないでしょう?
「いえいえ、お気になさらず。」
公爵様は、母にそう言うのだった。
笑顔やば。…2重人格だ。
「私とステレンス姫君が出会ったのはこの前のパーティーでした。恥ずかしながら、私の一目惚れですよ。」
小説の設定上、一応公爵様はこの前のパーティーがフィールが出席したパーティーの初めてである。
こいつ。記憶力はいいのかな?
公爵様の言葉に両親は微笑ましい顔をしていた。ディアナは…なんか複雑な顔。
「フィー。公爵様の元で幸せになってね。」
「くれぐれも、失礼のないようによ?」
…これから地獄の始まりだ。
私は両親たちの言葉に内心でそう思った。
「大きすぎません?」
「なにがだ?」
「公爵邸がです。」
私は公爵様とともに公爵邸に到着したのは、2日後のことであった。
1年のうちの2日が減っちゃった。
公爵邸は元居た私の屋敷の何倍をもあるのであった。私の荷物は使用人が運んでくれるため、ほぼ手ぶら状態だ。しかも、私に侍女がつく。
私1人でいいんだけど。
おそらく、私が賭けを無視して逃亡するのを防ぐ見張り役もその中にいるのだろう。
私、1年で無実を本当に証明できるの?まぁ、まだ春だけどさ。
私は公爵邸にある一本の桜が生えた木を見つめているのであった。
あれが散るまでに無実を証明できるといいなぁ。
私はすぐ近くにいる公爵様を見る。
この人が本当に私の婚約者なの…?
私は未だに公爵様と婚約を交わした事実を受け止められないのであった。
「姫君が関わったあの件に関しては、会場全体に口を拒むように指示している。まぁ、知っているものは少なかったが。」
私は今、公爵様と二人っきりで公爵様の書斎で話し合うのであった。
「わざわざありがとうございます。」
「まぁ、真犯人を見つけるのは自分で頑張るんだな。少しは協力してやる。」
...っ。目撃証言とかいないわけ?
私は公爵様にそう言われ、思わず心にダメージを受ける。
「そういえば、公爵様は私と婚約をしてなにがなさいたいのですか?」
「今はまだいいが…。そうだな。」
私のその言葉に公爵様はニヤリと笑みを浮かべるのであった。
「宮廷夜会だ。」




