23 油断は勧めないわよ
「ん…。」
頭がぼーっとする。…ここ、どこ?
私は辺りを見渡す。そこは、薄暗い物置のような部屋であった。
「私、確かあの男に薬を盛られて…っ。」
私は頭痛のため、頭を抑える。おそらく薬の影響だろう。めちゃめちゃ痛い。私は起き上がろうとすると手が縛られているのであった。まぁ、起き上がろうとしても痺れて動けない。
ガウルがここまで最低な男なんて…。
そのときであった。扉がキキィと動くのであった。
「お目覚めか?小娘。」
ガウルは私を見下すように立っているのであった。
「なんの真似ですか?ガウル侯爵。」
私がそう言うと侯爵は笑顔を見せつけて口を開くのであった。
「公爵はいつも生意気な顔をしてらっしゃるでしょう?私はあの男に何度も見下されてきた。…そんなやつの悔しがる顔を見たいだろう?」
私は最後の方に声が低くなったことに恐怖を覚えた。
今恐れては駄目。弱い女と思われちゃうわ。
私は胸元をぎゅっと抑えながらも口を開くのであった。
「それだけの理由で毒薬を作ったのですか?」
私の言葉にガウル侯爵は驚いた表情を見せたものの、拍手をするのであった。
「流石公爵様の婚約者である。いつ気づいた?」
「あなたの護衛騎士が持っていた瓶…。あなたも知っていると思いますが、国王陛下の殺害未遂があった際に容疑者であるウェイトレスが同じ瓶を持っていましたので。」
よやく確信が持てた。やはり、あのウェイトレスの持っていた瓶は毒が入っていたものだ。
「姫君は目がよろしいことだ。」
それは私も思った。
「だから、無駄なことをしないで、はやくここから私を出してください。」
侯爵は私の言葉を無視して部屋を出るのであった。
あいつ…。
私は辺りを見渡すのであった。
あの男がここに来るのはしばらく時間の立ってからのはず…。
私は髪につけていたヘアピンを床にわざと倒れた衝撃で床に落とし、縄で両手を縛られた状態で手に取り、気合を駆使して、徐々に縄を削っていくのであった。
痛い…。だけど、公爵様はおそらく私を助けになんか来るわけがない。所詮、この婚約は表向きのもの。私が死んだって公爵様はどうだっていいだろう。
私は激痛に耐えながらも、針で縄を刺し続けていた。
なら、私が自力で脱出するしか方法はないでしょ!
ようやく縄が外れ、私は呼吸を整えるのであった。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
身体が予想以上に痺れている。呼吸も荒れているし、なにより頭痛と痺れがひどい。
はやく脱出しないと。
部屋に窓はない。おそらく脱出防止を兼ねてのことだろう。あるのはダクトだけ。
…っふ。人一人分入れるくらいのダクトがあるじゃない。
私は笑みを零し、近くにあった椅子を慎重に縄で引きずり運び、ダクトに入って、椅子を縄を引っ張るのであった。
これで、私がどこから出たか分からない密室が完成ね。
私は自然と口を開いていた。
「脇役だからって油断は勧めないわよ?」
私、根性だけはあるんだから。あの薬を食らってなお、ダクトを進むのは私ぐらいでしょ?
そう言ってダクトの出口へと一歩一歩進むのであった。




