16 仲悪いの?
「こ、婚約者、と言ったのか?」
「そうですが?」
公爵様の真っすぐな言葉を受け取り、オリビア様は私の手を取り、「大丈夫か?こいつにどんな弱みを握られたんだ?」と、言う。
そうか。この人にはまだ知られていないのか。私が王殺害未遂の容疑がかかっているということを。…まぁ、実際に脅されてはいるのだけれどね。
私が公爵様に向かい、目を細めていると、公爵様はそれに気づきオリビア様に向かって「流石の私でもそのようなことはしませんよ。」と言う。
嘘つき!虚言の塊!
「どうやったら、アントニー公爵がスタレンス子爵と婚約をすることになるのやら。」
オリビア様はなにやら興味津々で私に問いかけに来る。
1年以内に無実を証明するためですよ…。
「オリビア秘書にはその内お話しますよ。」
公爵様は笑顔でそう言うのであった。
いや、今話してもこの人なら大丈夫じゃない?…まぁ、でも、私は物語の結末を見る前に死んじゃったし、もしかしたら仕組んだ真犯人の可能性は0とは言えないけどさ…。
「それで?アントニー公爵とスタレンス姫君はなぜここにいるんだ?」
それにしても、公爵様にこんな口調で話すなんて…。ちょっと度胸凄すぎない?まさか、王に対してもこんな態度だったりして。
「用がなければ来てはならないのですか?オリビア秘書。」
「場合によってはそうだ。」
「その場合とは?」
公爵様とオリビア秘書は論戦を繰り広げるのであった。
なに、この2人。仲、悪いわけ?
私は2人に挟まれながら、子供の喧嘩を見るような目でいた。すると、背後からトーマス護衛騎士が近づき、私の耳元で囁くのであった。
「国王と公爵様の仲がよいのはご存知でありますか?」
「えぇ。それは聞いたことはありますが…。」
「その国王と公爵様をよくしかっていらしたのがオリビア秘書なのです。」
「あぁ…、どうりで。」
私はトーマス護衛騎士の返答に思わず納得をする。
「ちなみにオリビア様に男性っぽいところがあるのは、その2人に小さい頃に挟まれていた影響だと思われます。」
そりゃあ、どうりであの男の2重人格にも気づくわけだ。
「おい、トーマス。お前、姫君に何を言った?」
「ひぃ!!」
オリビア様の睨みにトーマスは私の背後に隠れるのであった。
おいおい。私の護衛騎士でしょ?
「え〜っと、ここに来たのは私が鉱山を見てみたいと公爵様に我儘を言ったからでして…。」
私がそう言うと、オリビア様は目を見張った。
「この男が女の我儘を聞いた、だと????」
「オリビア秘書?さっきから、失言発言が多いように聞こえるのですが?」
公爵様は笑顔ながらも、顔が悪魔…いや、死神であった。両者共々、死神と獣のオーラを放っている。私のオーラはうさぎでトーマスはねずみといったところだろうか。
オリビア様は驚きながらも、フッと笑って私に右手で手を差し伸べるのであった。
「着いてくるんだぞ?姫君。おすすめな場所があるからな!」
なんかこの人は秘書というより…女騎士が向いている気がするなぁ。
彼女の立ち姿に感銘を受けながらも、フィールの頭の内はフル回転させているのであった。
私は今日、オリビア秘書から普段持ち歩いているという日記を読ませてもらう必要がある…。




