11 行きたいんです
「ラフィル王国の西の地域に行きたいのです。」
私の言葉に公爵様は一瞬、目を開くのであった。
やっぱり、公爵様は知っているようね。
私はティーカップに入っている紅茶を見ながら、小説に書いてあった内容を思い出すのであった。
今私がいるこの国…ラフェル王国。ラフェル王国は5つの地域に別れるのであった。北、南、西、東。そして私が今いる地域、中央である。
子爵家は中央沿いの東の地域にあるのであった。
まぁ、それはいいとして…。
西の地域では今の時期、小説の内容では王に秘書が命令を受け、地方の不正の調査に向かっている。結果的に、不正を暴く秘書だったがその間に王が殺され責任を感じ、辞職をしてしまう。
そんな秘書は王宮の書庫で働いていたのだが、そこでエミリアと出会い、罪悪感を癒やしてくれたおかげで今度はエミリアの秘書としてつくことになる。
公爵様もよほどその秘書を信頼していたようだから、すぐ了承が通ったそうだ。
未来が変わった今はどうなの?
王は亡くなっていない。秘書はまだ王につくことになる。そうしたら、エミリアの秘書はいなくなる。
なんだか私、ものすごく物語を変えちゃったみたい。…でも、これが私が選んだ道なの。後悔なんてしらないから!
「…なぜだ?」
私は公爵様の質問に尋ねる。
秘書さんにあって日記がほしいから、とはまだ確証もないのに、言えない。なら…。
「西の地域に鉱山があると聞きました。ぜひ、間近で見てみたいと思いまして…。」
嘘だけど。
秘書は鉱山に訪れる。なぜなら地方の不正とは、鉱山で取れる鉱石の密輸なのだから。
「どうやら、お前の調査が始まったようだな。」
私はその言葉に息を呑んでしまう。
やっぱり、公爵様にはすべてお見通しってわけね。
「いいだろう。ただし、条件がある。」
公爵様はそう言って、書類を手から離し、私をまっすぐと見据えるのであった。
「その鉱山に行くときは俺も同行する。」
「…え?」
公爵様は私の反応なども気にもせずに紅茶を口に注ぐのであった。




