第6話 偽りの求婚、エメラルドの真意
シェニム兄さんの言うとおり、すっ飛んで来たミネリア王。
王がアステリア陣営に来たとの知らせを受けると、シェニム兄さんはイスラン兄さんの肩を軽く叩いた。
「では、兄上は一足先にお休みください」
「おいおい、そんな訳にはいかんだろう。ミネリア王を呼び出しておいて、オレが不在だとまずいんじゃねえか?」
目を見開くイスラン兄さんに、シェニム兄さんは皮肉めいた笑みを浮かべる。
「あなたがいた方が、まずいことになりそうですからね」
そう呟いた言葉は、とても小さくて、イスラン兄さんには聞こえなかったみたいだけれど。
でも、わたしとラディはばっちりと聞いてしまった。
何てことを言うんだろうか、うちの参謀は……。
わたしとラディが居心地悪い思いをしているというのに、シェニム兄さんはけろりとしたものだ。
彼は打って変わったように表情を消し、首を小さく振った。
「司令官が休まないと、下の者も休むに休めません。そういうことまで気を回すのが、上に立つ者の心得ですよ」
イスラン兄さんは、少し考えて肩を竦めて立ち上がった。
「ま、そう言うなら、ブラブラと軍のやつらの顔でも見てくるさ」
「ミネリア王がいらしてるんです。あまりうろうろしないで下さいね。アステリア軍の品性が疑われますから」
「あのなー! オレ、お前のお兄ちゃんだよな? 何でそうも冷たい物言いしか出来ねえかなー!」
「お兄ちゃん? そんな可愛らしいものでしたか? さて、私達に『お兄ちゃん』なんていましたか、レーリア?」
やめてー! わたしに振らないで!!
わたしは慌てて、とにかくこの場を収めようと、イスラン兄さんの背中を押した。
「ここは、わたし達に任せて、ゆっくり休んできて? 疲れてるんだから。順番に休まないと、ね?」
「そうだ、イスラン。ミネリア王が帰ったら、次にはシェニムを休ませる。それまで休養をしっかり取っておけ」
ラディもわたしに続いて言ってくれたので、イスラン兄さんは、
「オレ、司令官だよな? 何かうちの軍って変じゃねえ? 何で司令官が仕切られてんだよ……」
なんてブツブツ言いながらも、テントを出て行った。
シェニム兄さんが、イスラン兄さんを追い出したのには、理由があるはず。
そしてその理由は、きっとわたし絡みだろう。
ミネリア王を呼び出したのにも、わたしの名前を出したし。
きっとわたしを利用するつもりなんだ。
イスラン兄さんは、そういうの嫌いだから。
「オレの妹は、誰にもやらねえー!」
なんてミネリア王に言いかねない。
「だから、でしょ?」
わたしがシェニム兄さんに言うと、彼は深い蒼の瞳を細めてくすりと笑った。
「ご明察です、レーリア。筋肉バカでシスコンなんですから、兄上は。こちらが先回りをしないとね。ラナディート、あなたはどうします? この場にいないほうがいいのでは?」
シェニム兄さんがラディに目を向けると、ラディはテントの端に歩み寄ってそこにあった小さなチェストに寄りかかった。
「俺は、護衛を兼ねてここにいさせてもらう。大丈夫だ、イスランのように暴走はしない」
イスラン兄さん、言われたい放題。
シェニム兄さんは小さく頷いて、テーブルの上を片付けるように侍女に指示をした。
そして新しいいくつかのグラスと、未開封のワイン、それに綺麗に盛り付けられたチーズが運ばれた。
テーブルの上が整った時、テントの外からサーシャの声が聞こえた。
「ミネリア王を、お連れいたしました」
「ご苦労様。ミネリア王、ご足労感謝致します」
シェニム兄さん自らテントの入り口を開けると、そこには地球で一度だけ見た、ソルトのお父さんであるミネリア王の姿があった。
そしてその隣には、王族らしい煌びやかな、だけど動きやすそうな薄い緑の衣服を身にまとった若い男性がいる。
短い褐色の髪をツンツンと立て、綺麗なエメラルドグリーンを、一瞬悪戯っぽく細めた彼は、わたしににこりと微笑んだ。
ソルトだ。
一緒に来てしまったの!?
何だか背後のラディから、強い視線を感じる。ちょっと振り返って彼を見るのが怖い。
ラディは、ソルトのことが嫌いみたいだから……波乱が起きなければいいけど……。
シェニム兄さんは、ソルトをちらりと見て、彼も目を細めた。
ティリシア城で、シェニム兄さんはソルトを見たはず。
だけど、今この場では、そのことについては何も言及しなかった。
ミネリア王は、シェニム兄さんといくつか言葉を交わしたら、わたしの元へと歩み寄ってきた。
その髭を生やした顔はいかついけれど、満面の笑みを浮かべている。
わたしの手を取り、跪いてわたしの手の甲に口付けをした。
「レーリア様、お会いできて嬉しく思います。私は、ミネリア王ガンタス・ドゥーク・ハッサム・ガーディッド・ミネリアでございます」
「レーリア・チュニス・エルハラード・アステリアでございます。お初にお目にかかります。お立ち下さいませ、ミネリア王たるあなた様に、このような礼を尽くされては……」
わたしは慌ててそう言った。
ミネリア王はにこりと笑って立ち上がり、わたしをまじまじと見つめた。
「あなたが今まで行方不明だという噂を聞いておりましたので、私もまるで自分の娘を思うように心配しておりました。だが、気品漂うあなたを見ていれば、しっかりと安全な場所でお育ちになったことが分かります。『祝福の女神』の名にふさわしい、美しい姫君だ。なあ、ソルト?」
王が振り返った先には、片膝をついて胸に手を当てたソルトがいた。
そんな姿、初めて見る。
何だかわたしは、落ち着かなくて。
だって、ソルトがわたしを見つめる視線が、いつものあの明るくて元気なものじゃない。
落ち着いた微笑なんて浮かべて。全然ソルトらしくない。
そのソルトが、その格好のまま、更に深く頭を下げた。
ミネリア王はご機嫌で、ソルトを指し示した。
「レーリア様……いや、あなたのお言葉に甘え、レーリア殿と呼ばせていただこう。あれは、我が愚息のソヴァーディガルド王子です」
「初めまして、レーリア姫。ソヴァーディガルド・レンタス・ミリフォード・ガーディッド・ミネリアと申します」
ソルトはそう名乗り、立ち上がってわたしのすぐ目の前まで来て、そしてわたしの手を取って唇を落とした。
前は、ソルトが傍に来ただけでも、凄く緊張して怖かったのに。
男の人だって、認識してたから。
でも、今は大丈夫。怖くない。
わたしの記憶が戻ってから、男の人への恐怖心が薄れていったような気がする。
だけど。
初めましてだって。わたしのこと、レーリア姫だって!!
どこに一番驚くポイントを置けばいいのか、分からない。
「ええと……初めまして、レーリアと申します……」
ソルト、そういえばわたしのこと、レーリアって呼ぶの初めてだ。
何だか少し、違和感がある。どうしてかな……。
シェニム兄さんは、わたし達の挨拶が一通り済んだことを見極めて、ミネリア王親子をテーブルへと招いた。
そして、さっきわたし達に説明してくれたのと同じ、お父様からの勅令を伝えていく。
話はミネリア王に向けられていて、彼は黙ってシェニム兄さんの言葉に耳を傾けていた。
そしてソルトはというと、わたしの顔をじっと見つめていて。
わたしと視線が合うと、にっこりと爽やかに微笑んだりして。
誰? この人。別人みたい。
わたし、何だか困ってしまって。
助けを求めるように、ラディにそっと振り返ったら、ラディは眉を寄せて目を眇めていて。
腕を組んで立っていたけれど、今にも剣を抜き払いだしそうな雰囲気をかもし出していた。
まずい、まずい。
ラディの眼差しは、ソルトただ一人に注がれていたけれど、その本人は気付かないのか、無視を決め込んでいるのか。
全くラディを見ようとはせず、ただわたしに微笑むばかりだった。
「……という訳です。さて、ミネリア王。ここで、あなたの承認が必要になりますが、いかがか?」
あ、シェニム兄さんの説明が終わったらしい。
ミネリア王は、うーむと一つ唸って、太い腕を組んでわたしとソルトを見比べた。
「一つの条件を飲んで下されば、そちらの言い分を全て聞くことはたやすいのですがね」
「条件、ですか」
シェニム兄さんは手ずからワインをミネリア王に注いでいる。
その顔に浮かんでいる微笑は、ただ美しいだけではなく、たくさんの黒いものを隠しているようで。
この人だけは、敵に回したくない。
そう思わせるほどだ。
ミネリア王は、シェニム兄さんの笑みには気づかず、わたしに僅かに身体を寄せた。
思わず、わたしは身体をその分引いてしまう。
男の人が怖いというのではなく、ミネリア王の欲望を感じてしまったから。
「レーリア殿。うちの愚息を、どうお思いか。顔もさほど悪くないと思うし、体術を得意としていて、そこいらの兵士には引けをとらぬのだが」
ええ、知ってます、ソルトの強さは。
だけどそう言う訳にもいかず、わたしは困って首を傾げた。
するとミネリア王は、わたしが迷っていると勘違いしたのか、更に身体を寄せてくる。
「愚息は……ソルトは、将来私の跡を継いで、ミネリアの王になる。どうです、レーリア殿。ミネリアの王妃になる気はありませんか?」
直球勝負で来た!
うーん、変化球で来た時の対応は、少し考えていたのだけれど。
困ったな、ミネリア王を怒らせず、傷つけない断り方ってどうすればいいのかな。
するとシェニム兄さんが、さりげなくミネリア王の身体を引き戻し、更にそのグラスにワインを注いだ。
「ミネリア王、レーリアは随分と長い間、病に侵されておりました。それはある意味、不治とも言われます」
「病!? そんな、大丈夫なのか、レーリア殿!」
心底心配してくれているような、ミネリア王。
ソルトはお父さんのこと、わたしを『祝福の女神』として狙っているような言い方をしていたけれど。
ちょっと違うような気がするのは、気のせいかしら。
だけどそんなわたしのぼんやりとした考えを、吹き飛ばすシェニム兄さんの言葉。
「レーリアは、恋の病に侵されたのです」
無表情で、平然と。
何て恥ずかしいことを言うかなー!?
恋の病!? ああ、聞いてるだけで恥ずかしい!
そして背後で、「ぶっ!!」と噴出す声が。
ラディだ。そっと振り返ると、彼はわたし達に背中を向けて、小さく震えている。
笑い上戸のラディ、ツボに入ってしまったらしい。
全く、もう……。
だけど、ミネリア王は、わたしとシェニム兄さんを見比べ、眉を潜めた。
「それは……して、お相手は……」
「ここでは、言えません。禁断の恋、とだけ言っておきましょう。レーリアは、決して恋をしてはならない相手に心を奪われてしまったのです」
待って!?
わたし、てっきりラディのことを言ってるのかと思ってた。
禁断て、誰とのことを言ってるの!?
……というか、大嘘ついてるのね? もーっ!
「ああ、レーリア。この話をする兄を許して欲しい。だけど、ミネリア王にだけはお話しておきたいのです。レーリアの相手は、彼女の『祝福の女神』という力、そして地位に恋をしていた。彼女自身を愛していた訳ではなかった。レーリアは、禁断を犯してでもその者に全てを捧げようとしていたのに。それを知ったレーリアは、絶望の淵に立たされ、生きる屍となってしまいました。それを私と兄、そして父の力で、やっとここまで笑顔を取り戻させることが出来たのです」
ペラペラと、よくもまあ。
こう、次から次へと、平然な顔をして嘘がつけるものだ。
何だか呆れ返ってしまって、わたしは肩を竦めてワインを飲んでいた。
「ミネリア王、まさかとは思いますが。先日から、レーリアにご執心のようですが、まさか、レーリアの相手と同じ思いではあるまいな?」
「えっ? あ、いや……」
口ごもるミネリア王。
シェニム兄さんは、にっこりと笑った。
刃物のような、鋭い笑み。怖い……。
「今後、レーリアを『祝福の女神』として求める者が現れたとしたら、全力でわたしと兄はその者を排除します。ええ、アステリア国の司令官、参謀としてではなく、たった一人の妹を護る兄としてね」
「う、うむ、素晴らしい心がけだと思う、シェニム殿。だが……」
「さて、では妹を所望された兄としては、父に報告をしなくてはなりません。一度もお会いしたことのないレーリアの、どこに魅力を感じられたのか、ぜひ伺いたいですな」
来たっ! シェニム兄さん、本領発揮。
口八丁、手八丁でミネリア王が追い詰められていく。
わたしを目の前にして、ミネリア王がどう言い訳するのか、どこか楽しげでもある表情を浮かべて。
ミネリア王の言葉が詰まると、ソルトが静かに口を開いた。
今まで、ずっと黙っていたソルトが。
じっと、わたしを見つめて。
その瞳は、美しい澄んだエメラルドグリーンで…………。
「父上、それからレーリア姫。実は僕も、不治の病に侵されております」
えっ!? ソルトも乗るの?
てか、好きな人がいるの? 知らなかった!!
「父上、僕が地球へ時折出かけていることはご存知ですね」
「あ、ああ。確か、そこのラナディート殿の知人に会いに行っていたと聞いたが」
「ええ。僕は、地球のある女性に心を惹かれています。その彼女は、屈託の無い笑顔で、重い宿命を背負っているというのに、前向きに物事を考えていて。男嫌いなのに、僕が傍に行っても、嫌な顔をせずに我慢してくれて。恋、とは違うかもしれない。だけど、彼女の心の負担を、少しでも軽くしてあげたいんです」
ソルトは、静かにそう語った。
後ろで、小さく息を呑む声が聞こえる。
待って、ラディ。
嘘よ、違う、きっと違う。
「僕のこの思いは、一生彼女に伝えるつもりはありません。だけど、影から彼女を支えていきたい。彼女の隣には、すでに別の男性がいる。それでいいと思っていますから」
ソルトは、わたしににっこりと笑って、軽く頭を下げた。
「父が、詮無いことを申しました。レーリア姫、父の言ったことはお忘れください。そしてそのお詫びに、あなた方の申し出を受けましょう」
「ソルト、お前何を勝手に……!!」
「父上、あなたはレーリア姫の心を悪戯に傷つけた。ただで済むとお思いか?」
「ぐっ……」
ソルトの目線は、今度はシェニム兄さんに向けられて、手を差し伸べた。
「申し訳ありませんでした、シェニム殿。書状を、お貸しください」
そう言って、シェニム兄さんから書状を受け取ったソルトは、ミネリア王にそれを手渡した。
これで、ミネリア王のティリシアをアステリア領土にする承認は得られた。
意外だったなぁ。まさか、ソルトが助けてくれるなんて。
シェニム兄さんは、何か言いたげな顔でソルトを見ていたけれど、そのソルトはわたしに微笑して立ち上がった。
「レーリア姫、少し外でお話をして頂けないでしょうか?」
「え、あ、……はい」
わたしは立ち上がり、歩き出すソルトに付いて行った。
わたしのすぐ後には、当然のような顔でラディも付いて来る。
テントを出る瞬間、サーシャに中に入るように命じていた声が聞こえるから、きっと護衛を入れ替わったのだろう。
しばらく歩き、人気の無い場所まで着たら。
前を歩いていたソルトが、急に振り返り、そしてわたしに抱きついた。
「アヤカっち!! 封印、解けたんだな、マジかよー!」
「ひゃっ!?」
驚いて固まるわたし。
「おい、離せ! 何をしてるんだ!!」
憤慨するラディの声。
何が何だか、分からない。
「いやー、ちらっとティリシア城で見たけどさあ、別人だよー!? 地球でのアヤカっちもマジで可愛かったけど、このふわふわ金髪のアヤカっちもキュートでいい! うん、いいよー!」
わたしから身体を離した代わりに、わたしの肩を掴んで。
ガックンガックン揺らすものだから、頭がクラクラしてきちゃう。
「あの、あの、ソルト?」
「どうだった、俺の演技! そこそこ様になってたろ? あんたの兄さん、やるねー! さすが参謀だよなー。でもさ、邪魔しちゃって、俺怒られちゃうかな。怖そうだなぁ、あの人」
いや……というか、シェニム兄さんを食ってたよ、ソルト。
わたしをさりげなく引っ張り、救出してくれたラディは、ソルトに目を眇めて睨んでいる。
「お前、どこまで本気だった?」
「は?」
「さっきの言葉だ。どこまでが、本気なんだ」
地球の女性に……って話ね?
まずい、心臓がバクバクしてくる。
何だか、怖い。聞きたくない。
わたしがぎゅっと目を瞑っていると、聞きなれた明るい声がした。
「怒んなよー。アステリア国の連中って、怒りっぽいな。カルシウム不足じゃね? あれは、作戦だよ。親父、ああでもしないとハンコ押さねえだろうしな。いいじゃん、結果オーライで」
ソルトはひらひらと手を振り、わたしに顔を寄せて、わたしの瞳を覗き込んだ。
間近で光る、エメラルドグリーンの瞳。
まだ、心臓の激しい鼓動が止まらない。
「アヤカっち、あんたは自分の思いを貫けよ。そのためなら、俺も出来るだけ手助けしてく」
ソルト…………。
わたしは、ラディの胸に抱かれたまま、小さく頷いた。
「ありがとう、ソルト」
「アヤカっち、そのうちミネリア城に遊びに来てくれよなー。面白いもん、色々見せてやるよ。あ、もちろんその時には、ヨシダくんも一緒にどーぞー」
ソルトは軽くそう言い放ち、にっこりと邪気の無い笑顔を浮かべて。
わたしとラディの肩を叩いて、先に跳ぶような足取りで、テントに戻っていってしまった。
残されたラディとわたしは、お互いの顔を見合わせて。
思わず笑い合ってしまったけれど。
ソルトって、どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか分からない。
不思議な人。
だけど、心強い味方がわたしにはいるのは、確か。
自分の国だけじゃない。
アステリア、ミネリア、フォーティニア、そしてティリシア。
全ての国が、一つになって。
そして、いい世界になっていければいいのにな。
わたしは、もうすぐ25歳の誕生日を迎える。
その時、わたしは何を誓うのか。
少しだけ、自分の心が定まってきたような気がした。
「ただいま、ラディ」
その一言が、戦場の空気を一変させた。
封印を解かれた「祝福の女神」の覚醒。それは、護られるばかりだった彼女が、自らの運命と大切な人たちの未来をその手に取り戻した瞬間だった。
共鳴する魂が放つ白き閃光が、卑劣な野心を焼き尽くす。
崩れ落ちゆくティリシア城の轟音は、歪んだ執着の終焉を告げる調べ。
けれど、それは新たな騒乱の序曲に過ぎなかった。
救われた親友の涙。
暗躍を続ける影、レクサスの行方。
そして、他国の王たちの思惑が複雑に絡み合い、物語は優雅で不穏なステップを刻み始める。
「決戦の協奏曲」編、完結。
次回、新章「動き出す円舞曲」開幕。
鳴り止まぬ喝采の中、次に舞台へ上がるのは――
かつての平穏を揺るがす、美しき三重奏。
運命のダンスは、まだ始まったばかり。




