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『追放された理由が、真面目で「空気が悪くなるから」だった件』  作者: くろめがね


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8/10

第8話 想定外は、準備している者にだけ牙をむく

第八話ですが、もうすでに毛色を少しずつ変えていく感じです。

挑戦寄りの依頼は、

王都近郊の交易路再開だった。


最近、商隊が襲われている。

魔物の数が増えているという噂もあった。


「危険度、Bランク相当です」


依頼主の声は硬い。


「成功すれば、王都商会との正式契約を検討します」


部屋の空気が震えた。


王都商会。


成功すれば、

このギルドは一段跳ねる。


俺は地図を広げた。


(……嫌な感じがする)


魔物の出没位置が、不自然に偏っている。


「通常の魔物じゃないかもしれません」


誰かが息を呑む。


「群れを誘導している可能性があります」


「誘導?」


「人為的、です」


一瞬、場が凍った。


ギルド長が静かに言う。


「つまり……盗賊か」


「その可能性が高いです」


挑戦は、突然“事件”に変わった。



出発から三日目。


予感は、当たった。


魔物の襲撃は、陽動だった。


本命は、背後。


「伏兵だ!」


矢が飛ぶ。


商隊が混乱する。


「隊形維持! 撤退ラインB!」


俺は叫んだ。


だが、相手は予想以上に統率されている。


「くそ……数が多い!」


槍使いが後退する。


(やはり、盗賊団)


しかも、訓練されている。


その瞬間、別方向から角笛が鳴った。


嫌な予感が、確信に変わる。


「……囲まれてます」


一瞬、沈黙。


そして、俺は言った。


「予定通り、C案に移行」


「C案って……!」


誰かが叫ぶ。


それは、最悪想定用の作戦。


商隊を分散させ、

囮を置き、

最短で防衛拠点へ退避する。


「商隊の半分を南へ!」

「俺たちは北に誘導する!」


矢が肩をかすめる。


だが、隊形は崩れない。


なぜなら――


最初から、この可能性を想定していたからだ。


盗賊団は混乱した。


「なんでバラける!」

「追え!」


だが、追えない。


補給地点を事前に確保していたからだ。


地形を把握していたからだ。


撤退を前提に組んでいたからだ。


戦闘は、派手だった。


血も出た。


悲鳴も上がった。


だが――壊滅はしなかった。


商隊は守り切った。


盗賊団は退いた。



夜。


焚き火の前で、槍使いが震えた声で言った。


「……もしC案なかったら、終わってましたよね」


俺は黙って頷く。


ギルド長が、低く言う。


「慎重すぎる、か」


誰も、もう言わなかった。



王都商会。


豪奢な部屋。


依頼主が立ち上がる。


「正直、壊滅も覚悟していました」


静かな声。


「ですが、あなた方は生き残った」


そして、俺を見た。


「指揮を執ったのは?」


ギルド長が、迷わず答える。


「アレンです」


視線が集まる。


俺は一歩前に出る。


「特別なことはしていません」


依頼主は、ゆっくり笑った。


「それが特別なのです」


机に置かれた書類。


王都商会との長期契約。


そして――


「もう一つ」


別の封筒が差し出される。


封蝋には、見覚えのある紋章。


元いたギルドの紋章だった。


「あなたの元所属ギルドから、正式な抗議文が届いています」


部屋の空気が、爆ぜた。


「依頼妨害」

「盗賊団との関与疑惑」


はっきりと、そう書かれている。


槍使いが立ち上がる。


「ふざけんな……!」


俺は、封筒をゆっくり閉じた。


(……そう来たか)


ざまぁは、

静かに始まるわけじゃないらしい。


今度は、本当に――


正面から来る。


登場人物が、みんな真面目なので、(連載的に)誰も暴れずに、割と早めに完結しそうな予感がしています。

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