ハギザ7
心地いい
1時間目の授業は日本史。
この授業がつまらないのは、つまらなそうに授業をする小太りの先生が担当だから。
まるでこの学校に思い出なんてものはなくて、先生自身からも生徒に対して関わりを持とうとしない、そんな存在の授業だからつまらない。
来年には、どこか違う学校へ行くと言う噂話が上がっている。でも、そんな先生をつまらなく感じるのは、先生への偏見が重なってしまっているからなのかもしれない。
だけど、やっぱり先生って言うのは、授業を行う仕事面だけでなく、生徒とのコミュニケーションをそれなりに取って、上手くやってないといけない気がする。
『おい、なんとか言えよ』
暗いお経のように感じていた先生の声を聞き流していると、ハギザの攻撃的な言葉に振り向かされた。
「どした?」
当たり前に、授業中に声を出すわけにもいかないので、テレパシー的な方法でハギザに尋ねている。すると、ハギザは普段はあまり出さない腕のシルエットを出して、その尖る指先で隣を指さした。
「なんだよ、いつものことだろ」
いま、ハギザが細目を作っている原因。それは僕の隣に居る、君の『化け物』が原因だ。
「秋乃くん、消しゴム貸して?ん?なんかついてる?」
「あ、なんでもないよ、はいこれ」
「ありがと」
タイミング良く、君が僕の方を見た。そんな君に一瞬驚いてしまったけど、直ぐに心を平常に戻した。
焦っている男はあまりかっこよくないのだ。それにしても、目も口もひらかない君の化け物。それに、灰色の身体。
唯一、君の化け物だけは他と異なっている。
故に、ハギザが警戒するのも無理ないだろう。
しかしまあ、あの強気なハギザが、頭を抱えてビビり散らかしているのを想像すると、なんだが面白い。
『おい、いま俺のこと笑っただろ?』
上から覗き込ませて、僕の視界に入ってくるハギザに驚く。
「笑ってねーよ。それより、うるさいから静かにしとけ」
『がは』
いくら考えたって、不思議な君の化け物のことなんて理解できないし、そもそもこの化け物が見えるようになった理由さえもわからないんだから。
直ぐ左側から感じる穏やかな外の風。開いた窓から入り込んだ。
カーテンが揺られる頃、僕の頬に風があたる。同時に、風の音に耳を貸した。
そして、3階から外の景色を目で眺める。
あまり田舎過ぎないこの街の風景。平凡なこの景色が落ち着くのは、授業という退屈な現実から目を逸らしているからだろうか。
「はぁー」
そっと溜息をつくと、もっと心地いい気分になれた。
よろしくお願いしますーう




