ハギザ67
君に侵されていくのなら、僕はどれだけ溶けられるだろう。
よろしくお願いします
「いらっしゃいませ。受付こちらになります」
店内に入る。
外の周りの人声や化け物の飛び交う声がぴたりと無くなる。そこは暗く静寂な場所。
でも、やっぱり大人のお店だと一目でわかる内装。
「あかりなんだけど、いい加減覚えなよ…」
暗闇で顔もあまり見えないスタッフの男性が話しかけてきている。しかし、君はそんな状況だと言うのに落ち着いている。
「あー、あかりさんか、ごめんごめん。ここの受付所さ、暗くて客の顔わからないんだよね」
声が近づいてくると同時、その正体が顔を見せた。
オールバックにセットされた髪の毛はジェルで固めているのか、微かな店内な光を持っている。そして何よりも、服装が黒の上着に白のワイシャツ。よくドラマや映画では見たことのある。
高級店で出てきそうなスタッフの格好。
年齢は二十前後、男であるのに顔に薄化粧でもしているかのようだ。
「はやく通して」
君はこの男と面識があるのだろう。
そうは思いたくはなかったけれど、きっとそうなのだろう。
それに、この執事の男の…。
「あかりさん?そっちの男の子は?それに未成年じゃない?」
「私の連れ、だから大丈夫」
『おいおい、お前は餓鬼だろ?』
僕が男と目が合った瞬間、ハギザよりもずっとギザギザしている歯を見せて、男の背後から浮かび上がってきた化け物。
僕らに対して、殺意むき出しに絡んできた。
『あぁ?なんだお前、やるか?』
先程まで外の世界に興奮していいて錯乱状態だったハギザ。今ばかりは目の前の化け物に喰らいつく。
「あかりさん、それは流石にね?俺の判断じゃ許可できないよ」
『度胸もねえし、責任もねえ餓鬼なんぞ相手にしてられるか、この場所に来るだけ無駄。厄介者。邪魔だ』
ハギザを下手に見て嘲笑う化け物。
学校や近所では、ハギザに対してこんなにも喧嘩腰の奴いなかった。
『がはっ!責任だとぉ?人に操られすぎて自分が何者かも忘れたか?がはっ!大人ってのは寂しいなっ!いや、気付かれもしないお前が可哀想なだけか?がははっ!』
『ゴァ!ヤルゾ?オマエ!』
「いこっ、秋乃くん」
ハギザと男の化け物との戦闘寸前。
こんな状況は僕以外誰も知らなくて、君の声が割って入らなかったらどうなっていただろうか。
『がはは、命拾いしたなぁ』
「やめろよハギザ」
煽りやまないハギザに脳内から静止するよう促す。ここでやっと僕は冷静になれていることに気がつく。
珍しくも、ハギザは両手を出して背を大きく暈していた。
「あかりさん、お母さんに怒られるから!待って…!あ、失礼しました。いらっしゃいませ」
『覚えておけ、餓鬼』
君の静止を促す男だったけれど、動き出した僕らと同じタイミング。別の客が店の中に入ってきたらしく、運が良いのか悪いのかもわからないまま、僕らはカウンター裏へと入っていった。
ありがとうございます




