ハギザ45
一つ目で歯はギザギザしてる真っ暗な影みたいなやつでも、ハギザはいい奴なんです。
静かな夜が続いている。
誰もいない公園で、近くを通る人影すらなくい。そして、涼しいくらいの気温の中で、僕らは息を重ねていた。
「気持ち悪りぃ…」
『おぉ…がはっ』
調子に乗って酔う僕ら。
これだからブランコは嫌いなんだ。
「ごめん、調子乗りすぎた。なんとかしろ」
『ふざけるな、俺様は被害者だ』
気持ち悪い頭の中、お互いを責め合う言い合いは止まらず、落ち着くまでベンチに腰掛けた。
「はあー、落ち着くよなー。夜って」
『お前、なんでブランコが苦手なんだ?』
「え、さっきのでわからなかったのか?じゃあもう一回いっとく?酔っとく?」
『馬鹿か、俺様は真面目にいってやってんだ』
悪ノリに話をしようとしたら、化け物に怒られる。
「なんだよ、やけに真面目だな」
『おまえ、ブランコは本当に嫌いか?』
「まあ、乗りたくはないよな。酔うから」
『じゃあなんで酔う?どうしたら酔わない?いつから酔うようになった?酔わない方法は…』
「なあ、その話やめないか?」
『がはぁ、悪いこと聞いたな』
ハギザが少し大きくなったように見えて、それを抑えるように話しを阻止した。するとハギザはさっきよりも、いや今日一番に小さくなっていた。
時間が経つにつれて和らいでくる酔い。
無音な公園のベンチに座る僕らは何を考えているだろう。
そんなことを考え始めるほどに静寂。
いつからか。目を瞑り耳を研ぎ澄ませていた。
“すたっすたっ”
道路側から聞こえる足音が近づいて来る予感。
それは、いつかは通り過ぎて行く寂しい足音なのだろう。
眠くはない感覚。それでも身体が脱力して気が休まる様な、そんな感情。
自分の感情に耳を傾けていれば、足音は止んでいた。
その足音が「どこに行ってしまったのか」そんな疑問なんて湧かなかった。
ただゆっくりと感情は浸っている。
「ねえ、いつも会うね」
鮮明に聞こえた声に飛び上がった。
『ガハッ!?』
ありがとうございます。




