ハギザ41
よろしくお願いします
※
「食べたのか?」
真っ白な空間で向かい合う僕と化け物。
この空間が夢の中であることは確かだ。
喉を鳴らしている化け物に、母親を食べたのかどうか聞いたけれど、何も言わずに揺れている。それに、少しばかり眠たそうに目を細めている。
「お前は何者だ?」
続け様に違う質問をした時、細めていた目は閉じた。
※
目を開く。
無意識に手を伸ばして掴んでいるスマホを顔まで持ってくる。同時に電源をつけて時間を確認した。時刻はちょうど今日になっていた。
部屋の中は真っ暗で、横で息をするハギザはなんの問題もなく揺れているのが目に入る。
「おはよう、僕ずっと寝てた?」
『ガハァ、起こそうとしても起きやしない。呑気だなぁ…!おっ!歩きに行くのか!?』
「んー、気晴らしになりそうだなっ」
一体なんの気晴らしになるのだろうか。
寝ぼけていそうな頭ではそれからを考えたくもない。
『がはぁーあ』
大きなあくびを見せるハギザは当たり前のように僕の背中に取り憑いた。
「おい、勝手に入ってくんなよ。気持ち悪い」
『別にいいだろ、いちいち細かいこと言うな。バカァ』
「その語尾はもう口癖でもなんでもねーだろ。やっぱりお前の口癖って故意に言ってるだろ?格好つけてんの?きもぉ」
『めんどくさい、早く着替えろ、がはあ』
夜中に始まる口喧嘩を沈めたのは珍しくもハギザだった。しかし、ハギザに面倒だとか馬鹿だとか言われる筋合いなんて一切ない。僕は、外に出る準備をしている中でハギザから受けた暴言をどう言い返すか悩んでいた。
「おいバカザ、外出たら大人しくしてろよ?いきなり叫ばれたりすると頭痛くなるんだよ」
靴に履き替え外に出る直前、先程悩んだ僕からのハギザへの言い返しは、単なるハギザへの不満になった。しかし、容易に馬鹿に出来る人間の言葉なんて気にも留まらなかったらしく、何も反応しないまま、外に出るという一つの目的に息を殺していた。
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