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化け物『ハギザ』と僕と君。  作者: 秋乃しん
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ハギザ3


 真っ暗で真っ暗な空間がいい。


  「なぁ?パンにはやっぱりバターだよな?」


『あぁ?お前らはいいよな、ご飯食って腹一杯になるんだからよ、がっはぁ』


「人間の体の作りはこう見えて単純なんだよ」


『がはっ、つまらん』


パンを口にして空を見上げようとすれば、不機嫌そうなハギザは口癖に『がはっ』と言う。

確かに、久しぶりに通う高校へ向かうとなれば、機嫌が悪くなるのもわからなくはない。

夏休み明けな今日は、僕でも気だるさを感じていた。

それにしても、思ったよりも外は涼しい。

きっと今の季節を忘れさせようとしているんだろう。

そして秋が来るんだ。

秋は僕の好きな季節だ。


「ハギザ、お前はお腹いっぱいになったことあんのか?」


『ない、常に飢えてるぜ、がっはっ』


「あっそ、てか前にも言ったよな?その口癖やめろよ」


どんな質問にも化け物らしく、それに正直に返答してくれるところは好きだけど、ハギザの考えはあまり共感できるものでもなく、とにかく攻撃意識が高い。しかし、そんな思考や行動こそがハギザにとっての腹の満たしらしい。故に、「常に飢えている」と言うことはそう言うことなんだろう。

 通う高校までの道のりは、脇に並ぶ家を真っ直ぐに歩けば到着する。けれど、気分によって、意味もなく右に曲がったり左に逸れてみたりする。

こんな僕自身、朝は遅刻という心配がないくらいに目覚めが良くて、今日も同様に少しばかり早すぎる程度に家から出ている。

いわゆる、朝に強いタイプだ。

 

「おはようございまーす」


家から出て、真っ直ぐに歩き続けた数分後、大体この場所ですれ違うランニング中の名前も知らないおじさんに、久し振りに挨拶をした。


「おう、夏休み明けか?頑張ってな」


会話のスピードはすれ違うスピード。おじさんの自己完結で挨拶が終わった。


『がー、だから俺の前に現れんじゃねーよ、じじぃ』


「やめろっ」


機嫌が悪すぎるハギザ。

今日もおじさんに文句を放った。



よろしくお願いします!

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