ハギザ11
おやおやおや
その日、僕は君とそれ以上の進展もなければ、どうと言うほどの1日でもなかった。そもそもの話、進展なんて考えてはいない。
夏休み明け、〈集中〉という慣れない行為を椅子に座り行っていただけの学校。
帰りはいつも1人で、最近流行りのワイヤレスイヤホンを耳につけ、最近流行りの曲を聴いて帰る。
『なぁ、聞けよ』
寂しそうな声が脳内に伝わった。
「なんだよ、話しかけんなよ」
いちいち頭の中に流れるハギザの機械音は頭痛を呼ぶから嫌いだ。
『疲れた』
たかだかそんなことを言う為に呼ぶなんて、まるで子供みたいだ。あれだけ化け物らしいハギザも、そんな一面を持っている。そう思えば、なんだか人間に近いのかもしれない。
「わかった、今日は我慢してくれたし」
そう言って、ちょうど横にある自分の家を通り過ぎた。そして、ここから5分程度真っ直ぐに進んだ場所にある小さな公園に向かった。
公園はベンチ一つ、ブランコ二つ。小さな滑り台に小さな砂場。幼稚園児くらいしか楽しめないだろうこの場所。こんな小さな公園は、この時間帯になれば誰の姿もない。それが返って好都合なのだ。
ベンチに座り息を整えている。
少しづつ息を整えて、一つの深い溜息をついた。気がつけば、目を瞑り目の前は真っ暗だ。
「がはぁーー』
「落ち着くよなぁ』
僕の中で聞こえるシンクロした僕とハギザの声。確かに落ち着く。この状態は、ハギザが一番に心地いいと言う状態らしい。
前にその理由をハギザに聞いたたことはあったけれど、自分でもわからないと言っていた。
僕もこの状態になると気分が良くなる。しかし、ほんの少しだけ、そうでないものを感じる。それは、何かを拒絶している感覚だ。
「俺はさ、嫌われてるのか?』
純粋なハギザの悩みなのか、その言葉は妙に刺さってくる。
「知らない、でも。少なくとも僕は味方だよ』
味方とはいったい何からの味方で、敵はいったいどんな奴なのだろう。自分の思考に謎を突き出されてしまう。そして、こんな独り言をたまに繰り返している。
「あ、あれ?秋乃くんなにしてるの?」
誰かの声が聞こえたんだ。
その声を理解すると同時、僕は目を大きく見開いていた。
おはようございます




