第84話 宝の正体が、判明しました!
一五〇〇年にクテイとキエフを襲撃した魔王も、この『ベルゼビュートの化石』を狙っていた。
それでベルゼビュートの復活を阻止しようとした、クテイの将軍と相打ちになったのである。
「ひょっとして、キエフから採れたオパールも」
「いや、そうじゃない。おそらく、岩や石に魔力が溶け出して、オパール化したのだろう」
魔王であるなら、人間の業では掘り起こせないはずだ、と。
「ごらんなさい。この美しさ! 魔王ベルゼビュートが長い年月を掛けてオパール化した姿! しかも魔力は存分に溜め込んだ状態なの。これだけの魔力があれば、いかなる魔法も、どんな願いでも思いのままよ! あらゆる大陸を買い取ることも、世界中を破壊することだって可能だわ!」
「お考え直しを、夫人!」
キエフ王子が、男爵夫人に呼びかけた。
「たしかに、魔王の魔力でエネルギー問題が解決できる。しかし、この力は人間が理解できる範疇を超えています! 使えば、どんな危険が待ち構えているか!」
「おだまり、モヤシ王子!」
男爵夫人が、杖でキエフ王子を殴ろうとする。
刹那、チヨメが夫人に急降下してきた。
脇差しで、夫人のノドを狙う。
「同じ手は食わないわよ!」
冷静に男爵夫人は対処して、チヨメを杖で殴った。
「ふにゃあああ!」
「チヨメちゃん!」
谷底へ落ちそうになったチヨメは、腕に巻き付けていた暗器のロープを橋に引っかけた。どうにか落下は免れたらしい。
「大丈夫ニャ」
とはいえ、打つ手なし。
黙って宝が奪われるのを見ているしかない。
「さあお前たち、この化石を運び出しなさい!」
盗賊団が、ツルハシで結晶化した橋を傷つけようとする。
だが、ツルハシの方が折れてしまった。
「ダメです。ビクともしねえ!」
「直接持って帰るしかないわけ? 面倒ね。とりあえず宝箱を先に!」
配下の盗賊団に、宝箱を開けさせる。
「おい、なんだこりゃあ!?」「金なんてどこにもねえぞ。金目のものも見当たらねえ!」
盗賊たちは、宝箱の中身を放り投げた。
「これは……!」
ソランジュは、捨てられた紙切れを見て愕然とする。
「お前たち、なんてことを。これは金塊一〇個分に相当する、貴重な資料だぞ!」
リッコにまで、ソランジュの怒りが伝わってきた。
「そんな紙切れが、何の役に立つというのよ?」
夫人は、ソランジュの放つ怒りにも動じない。
試しに、リッコも紙の内容を読んでみる。
「これは医学書?」
「あとこれは、魔法の書物です。すごい、蘇生術です! 意識を失った人も、これで息を吹き返しますよ!」




