第82話 いよいよ、カギを差し込みます!
リッコはソランジュの後ろにつき、寺院へ足を踏み入れる。
内部は割と狭く、広間しかない。いかにもお墓という感じだ。もっとダンジョン然とした作りなのかと思ったが。
「侵入者がいたんですよね? 死体もありませんでしたよ?」
リッコは、内部の異様な冷たさに、身震いする。盗賊よけの守護者などもいないようだ。
「明らかに、何かよからぬモノが封じられているね」
ソランジュも、同様のことを考えているらしかった。
「いえいえリッコさん、隙間風が吹いているんですよ。それで寒いのでは?」
気を利かせてくれているのか、ジョーイが穴を指さす。
穴からは、日の光が差し込んでいた。
「月の石……もしかすると」
ソランジュは、キャンディケインに取り付けていた銀細工を、取り外す。
「これに、これを取り付ける、と」
銀細工は、宝石にフィットした。
「てっきり前金でもらえたんだと思ったが、まさか、預かり物だったとはね」
「騙したようで、申し訳ございません。他に安全な隠し場所が見当たらず」
王子が謝罪する。
「いいさ。私がキミでも、同じことをしたに違いないからな」
最初から巻き込むつもりでいたのはシャクだが。
「でも、銀が秘宝隠しに必要だって、よく知っていましたね?」
「知らないのか? 銀はこの世界の産物ではないんだぞ」
超新星爆発による作用に由来するらしい。
「ホントですか?」
「金や銀などはそうやってできる、と言われている。それが宇宙空間で組み合わさって、新たな星が生まれるそうだ」
マウント気味に語っているが、ソランジュもコジモに教わるまで知らなかったそうで。
「では王子、あなたも」
なにやら訳知り顔で、ソランジュはキエフ王子に手を差し出す。
「王子様も、秘宝の鍵を?」
「持っています」
王子がソランジュに貸し与えたのは、銀色に輝く杖である。
キャンディケインより長い。
杖の先に、ソランジュは銀細工を取り付けた宝石を差し込んだ。
「あとは……」
続いて、ソランジュは杖を床の穴に突き刺す。
そのまま、杖をゆっくりと落とし込んでいく。
「よし、入ったぞ。ジョーイ、そこをどいてくれ」
ジョーイに避けてもらうと、宝石に太陽の光が差し込む。
光を飲み込んでいき、宝石が脈打つように点滅を始めた。
「何が起きているんです?」
「太陽の力を吸収しているんだ」
杖を支えながら、ソランジュも警戒心を最大限にしている。
何が起きてもいいように、リッコも身構えた。
しかし、光はいつの間にか消えてしまっている。
「……ん? 何も起きないな」
「もっと深く差し込んだ方がいいんじゃ」
リッコが杖に手を触れた途端、床が抜けた。
「わあああああ!」
ソランジュを抱きかかえながら、リッコは真っ逆さまに穴の底へ。




