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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第五章 敵の総大将が動き出しました!

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第68話 私に客が来たな……。

 イグルたちを操りつつ、ソランジュは強力な魔族の気配を感じていた。


 クテイじゅうを見渡せる塔の上に、見覚えのあるシルエットが。こちらへの敵意が、伝わってくる。


「ジョーイ、スマン。ここは任せた」

「どうなさったので?」

「私の客だ」


 この場をジョーイに預け、ソランジュは影の元へ飛んだ。屋根伝いに進む。


「ようやく、親玉のお出ましか」




 やはり、影の正体はグシオンだった。




「――!?」



 塔の下には、虫の息になった騎士団たちが横たわっている。死んではいないが、もう戦えないだろう。



 あれだけ強い騎士の一団を、傷一つ追わずに倒すとは。グシオンの腕も衰えていないらしい。


「に、逃げなさい」

 騎士団長が、血を吐きながらこちらに呼びかける。


「そうはいかん。ソーマの礼をさせてもらおう。そこでおとなしくしていろ」




 余程気が張っていたのか、騎士団長は意識を手放す。




 ソランジュは、かつての同僚を睨みつけた。


「貴様ほどの男が、人間の犬とはな。どういう心境の変化だ?」

「主を殺めた貴公に言われる筋合いはない。貴公を殺せるなら、我は誰にでもつく」


 グシオンが、刀を抜く。刀身が黒く、光沢がない。怨念を形にしたような、禍々しい拵えだ。


「私はあいつの部下になった覚えはない!」

 ソランジュが、キャンディケインを回した。


「その忠義のなさが、昔から行け好かぬと思うておった!」

 跳躍したグシオンが、縦一文字に刀を振り落としてくる。


 ステッキで受け止めたが、踏ん張りが利かない。建物ごと押しつぶされそうになる。どうにか受け流し、半壊で済ませた。とはいえ、潰された家は、内装が丸見えに。


 ここで戦えば、街に被害が及ぶ。広い場所で戦う必要がありそうだ。


「場所を変えるぞ。思う存分楽しもうではないか」


 広い場所へ逃げつつ、グシオンを武器を打ち合う。


「いつから貴公は人の子を気遣うようになった?」


「昔から人間には興味があったさ。それより、人を見下すお前たちの態度には、当時から辟易していたよ」

 移動しつつ、ソランジュはピンポイントで必殺の一撃を敵に浴びせ続けた。


 しかし、グシオンの剣戟に毎回相殺される。


 ステッキで突いても、銃モードで射撃しても。


 動きながらの攻撃なので、こちらも精彩を欠いていた。とはいえ、ソランジュの太刀筋についてこられる相手は、久々だ。


 リッコは力こそ強いが、からめ手には弱いだろう。


「偉大なる魔王に育ててもらった恩を、このような形で踏みにじるとは!」

「お前だって、寝首をかこうとしていたじゃないか!」



「我は貴公とは違う!」

 グシオンが加速し、攻めに転じた。



 下手によければ、クテイが八つ裂きにされる。


「ちい!」

 キャンディケインで、グシオンの猛攻を防ぐ。



 憎しみの籠もった一撃は、ソランジュのガードさえ突き抜け、ダメージを与えてきた。


 あまりの勢いで、ソランジュの身体が民家に激突する。胸から胴にかけて、刀傷による出血が広がっていく。


影刃かげやいばか。インパクトと同時に衝撃波を打ち込む技。久々に喰らったが、相変わらずの威力だ」


 斬られた箇所を回復させ、ソランジュは立ち上がった。

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