第69話 友が守った街は、私が守る。
「致命傷どころか、かすり傷にもならぬか。化物め」
「どうしたグシオン、ここからが本番だ!」
グシオンの振り降ろした刀を、ソランジュはキャンディケインで受け流す。
威力までは殺しきれず、衝撃波が地面を抉った。
ステッキの先端から、ソランジュが煉獄の炎を集結させる。熱の球体として放射した。もはや、小型の太陽である。並の剣なら受け止めただけで溶解してしまう。
だが、グシオンの刀は小型太陽炉すら容易く切断した。
熱の球が分裂し、店舗に衝突しかける。
キャンディケインから雷を放ち、熱球の片方を破裂させた。もう片方は自分で受け止める。魔法障壁で止めたが、衝撃は殺し切れてなかった。
左手に氷の刃を作り出し、二刀流でグシオンに斬りかかる。飛び道具を相殺するのなら、直接魔法を叩き込む。
剣に溢れる執念、剣を振るう腕にまとう気迫が、ダメージすらものともしない。
ソランジュの頬には、無数の傷ができていた。服は破れ、伝説の魔女といった余裕はない。グシオンも同様に、火炎弾の爆撃を喰らって、全身に炎症を起こしている。
互いに満身創痍であった。
歴戦の侍にしては、戦が泥臭い。
「どうしたソランジュ? 攻めが幾分か消極的ぞ」
グシオンのいうとおり、街を見捨てて全力で戦えば、グシオンなど瞬殺できる。
だが、ソランジュは街の被害を最小限に押さえ、衝撃をすべてグシオンに浴びせていた。
コンパクトな攻撃ながら、その破壊力は街の消滅すら可能だろう。それを、両者が互いに浴びせているのだ。
街を守るため、気を使いながら戦っている。自分でも甘い考えだと思う。
しかし、命をかけられるならかける。
コジモは、命をかけることすらできずに死んだ。
今のソランジュは、心がコジモと共にあった。
「それほどまで、救う価値のある街ぞな? 我にはそう思えぬが?」
「お前ら魔族には、一生分からぬさ。人間の守っている街が以下に尊いかなど」
自分の身体で街をかばえるなら、いくらでも差し出す。
コジモが愛した街を、この男は平然と壊せるのだ。
彼にとっては、魔王だけが全てだから。
魔王は両性だった。
女として抱かれる側がソランジュであり、グシオンは男として抱く側だ。
愛着、執着はグシオンの方が上か。
「そんなに愛していたか、魔王を?」
「黙れ。気安く愛を語るな。忠義の意味さえ知らぬ卑しきダークエルフが」
愛、か。持った覚えはなかった。
魔法で全身を加速させて、ようやくグシオンの動きについてこれらるレベルだった。
会わないうちに、相当鍛えていたようである。
「どうした、ソランジュ。その程度か?」
「格下だという自覚はないのか?」
「その格下と見下している相手に、えらく苦戦しているではないか」
ソランジュの強がりは、見抜かれているらしい。
やはり、街を防衛しながら、最上位の魔族に挑むのは無理がある。
「知っているぞ、ソランジュ・オルセンよ。貴公、弱体化しているな?」




