第65話 秘宝じゃないんですか!?
マセッティの屋敷に戻ってきた。
念のため、鑑定役としてジョーイを伴っている。
「ご迷惑をおかけしました」
到着するや、マセッティがリッコたちをねぎらった。
「秘宝を見つけてやったぞ。これがそうだ」
ソランジュが、約束の品をマセッティに献上する。
「はあ、そうですか」
せっかく秘宝が手に入ったというのに、リアクションが妙に薄い。
リッコの勘は当たった。やはり、何かあるらしい。
「間違いないニャ! ワイたちは大金持ちニャ! オヤジも浮かばれるニャーッ!」
バンザイをしながら、チヨメが喜ぶ。
「よかったですね、ソランジュさん。これで、お友だちの説を証明できます」
「ああ、そうだな」
しかし、その言葉に待ったをかけた人物が。
「ん? それ、秘宝じゃないです」
ジョーイである。
「どういうことだ? 秘宝ではないのか?」
「伝承の秘宝ってのは、そんなんじゃないんです。もっと分かりやすい。ですよね、領主様?」
マセッティが、ジョーイの質問に首肯した。
「はい。こちらの方の仰るとおりです」
「では、これはなんなのだ?」
「これは。クテイの財宝を示すカギです」
クテイの財宝は二重の仕掛けになっており、最初にカギを手に入れる必要がある。
この宝石は、秘宝ではなくカギの方なのだ。
「これだけでも、一生遊んで暮らせるくらいの価値はあるんですけど、ホンモノの財宝は、もっと貴重なんだとか」
その価値までは、さすがのジョーイにも計り知れないという。
「では、本物の財宝というのは?」
「『賢者の石』と呼ばれるモノです」
世界のありとあらゆる叡智を貯蔵した石が、クテイの宝だそうだ。
その力があれば、世界を救うことも、滅ぼすことも容易だろうとのこと。
「ありえない!」
ソランジュがたちまち、不機嫌になる。
「そんな代物は存在しない。これまで幾多の錬金術師が作成した。人類誕生の時からな。だが、どれも失敗作だった。私だって、この目で見たんだぞ」
ソランジュは、賢者の石の存在を否定する。
自身が「賢者の石」の意味を持つ、朱砂の名を冠するというのに。
「でも、クテイの文献によると、賢者の石は存在していたそうですよ」
ジョーイは反論した。ソランジュに、クテイの歴史書を見せる。
「私が生まれる前から、賢者の石は存在し、彼の地に眠っているだと? 考えられない。その文献が真実なら、魔王などとっくに滅びているはず」
「ですから、作った本人は、自分が魔王どもの親分になっちゃったんですってば。魔王がこれ以上悪さをしないように、地下深く封じたと」
「だったら、今すぐ掘り起こそうではないか。先を急ぐぞ」
ソランジュの機嫌が悪い。




