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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第四章 本格的な宝探しです!

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第61話 この出会いは、幻でしょうか?

 気がつくと、リッコは見知らぬ部屋に立っていた。




 どうやら、知らない女性の寝室にいるらしい。細身の女性が、ベッドに半身を起こした。ウェーブのかかった長い髪で、キエフオパールのようなオレンジ色の瞳を持っている。


「あなたは、どなた?」


 少女に話しかけられ、リッコは慌てふためく。


「うわ、ごめんなさい! すぐ出ます!」


 ドアノブに手をかけた。しかし、ノブは手をすり抜けてしまう。


「いいわよ。ここは死後の世界だから」

「わたし、死んじゃったんですか?」


 リッコが慌てると、少女はクスクス笑われた。


「大丈夫よ。あなたは死者じゃないわ。すぐに元の世界へ帰れるから、安心して」


 少女からアドバイスをもらい、リッコは胸をなで下ろす。


「あなたは、何者なんです? わたしは、リッコと言います」


 目の前の女性は、どこかで見たことがある。つい最近、博物館で見たような。


「ねえ、ベルトの紋章……あなた、ひょっとしてソルのお友だち?」


「ソル……?」


 聞き覚えのない言葉を聞き、首をかしげていると、女性はヒントをくれた。


「ソランジュ・オルセンのコトよ。朱砂の魔女って言えば分かるかしら?」





「知ってます。すると、あなたコジモ姫様ですね!?」


 この人が、コジモ王女だったのか。


「ええ。といっても、もう会えないんだけどね。死んじゃったし」

 コジモは、自分の死を自覚しているらしい。


「あの、わたし、ソランジュさんとクテイの秘宝を解放したんですけど」

「へえー。あなた、そこまで辿り着いたの?」

「はい。なんとか。色々な方々の知恵を借りて。どうやらわたし、秘宝のカギを発動しちゃったみたいで」


 リッコが事情を告げると、コジモ王女が「まあ」と声を上げた。



「そうなの? クテイの血を継いだ王家じゃないと、そのカギは開かないわ。あなたはワタシの子孫か何かかしら?」

「そこまでは。両親はいなかったので、聞くわけにもいかず」


 ベッドから立ち上がった姫は、本棚から一冊の本を取り出す。


「ねえ、バッジを持っているかしら?」

「はい。こちらに」


 リッコは、手に握りしめていたバッジを、コジモの霊に見せる。


「やっぱりだわ。バッジにクテイ王家の魔法が込められているからなのね。それがあれば、あなたでも開けられるみたい」

「そうだったんですね。わたしなんかが、王家なワケないですよね」


 自分が王家であるなんて、あり得ない。そう、リッコは確信した。


「あの、わたしの正体はなんなんでしょう?」

「分からないわ。ワタシと関係しているかも知れない、としか」

「ですよね。変なコトを聞いてすいません」


 コジモは百年ほど昔の人間だ。そんな人物が、百年後に産まれた人間のことなど分かるわけがないのだ。


「ソルは元気?」

 ベッドに戻ったコジモが、尋ねてきた。


「色々と助けてもらっています。でも、何も返せなくて。時々寂しそうにしています。あなたに会えなくて」


「ワタシも、寂しい。一度でいいから、ソルと旅に出たかったわ」

 虚空を見上げながら、コジモ姫は寂しそうな顔をする。


「あなたがワタシと対面したのも、きっとバッジが見せた幻よ」

「どうして、あなたを見せたんでしょう?」

「ソルの魔力がバッジと呼応して、幻を見せたんでしょうね」


 リッコの身体が、実体を持っていく。


「お別れの時が来たようね。バッジの魔力が切れたんだわ」


 コジモ姫が、「ねえ」と切り出した。


「ねえ、リッコさん。ワタシたち二人が会っていたことは、ソルにはナイショにして。あの子、嫉妬深いから」

「はい。お約束します」


「いいお友だちをに会えたのね、ソルは。あなたみたいなキュートな人の方が、アガリアレプトなんかよりお似合いよ」

 コジモ王女の姿が、だんだん遠ざかっていく。




「ありがとうございます」

「それじゃあね」

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