第60話 わたし、カギを持っていました!
「だって、自分だって腐ってもクテイの一族なんでしょ。だったら、自分で開けられるはずじゃないですか。でもそれをしなかった。ってことは、何か事情があったんですよ」
「なるほど。案外、頭が回るんだね」
「案外は余計ですね」
シングニアは、当時のクテイを統一していた王の弟が独立した国だ。ならば、シングニアの末王女だったタンドック夫人も、クテイの血が流れているはず。
「分からない。セキュリティの問題なのかも知れない。あるいは、誰かの邪魔が入ったか」
「これと、関係ありますか?」
「どうだろうな。そろそろ、主を裏切ったことで、オレ様の顕現が解けてしまう。さらば……」
ついにハーゲンティが、浄化された。
残ったのは、右腕だけ。よく見ると、両手持ちの剣である。
「その腕はもらっておけ。いい武器だぞ。試しに振ってみろ」
「やってみます。えいっ。うわ!」
剣を振ってみると、デーモンが出していた衝撃波を自分も出すことができた。
「おお、凄いです。でも、両手持ちなんですよね」
「これはバスタードソードだ。片手でも扱えるよ」
「でも、今は手持ちの剣もありますし」
リッコの装備は、片手持ちのロングソードである。これの方が、剣と同時に扱うには便利だ。
「貸してみたまえ」
バスタードソードとリッコが持っている剣とを、ソランジュが術で融合させる。見た目はバスタードソードのままで、ややサイズが小さくなった。
「ありがとうございます! これで片手でも両手でも扱いやすくなりました!」
後は、岩盤の封印を解くだけ。
「クテイに連絡を入れないと」
「待ってください」
リッコが、ソランジュたちを呼び止めた。
「あの、この紋章、どこかで見たことがあると思っていたんですが、持っているお守りとそっくりなんです。これなんですけど」
持っていた小さな袋を開ける。
「何かあったときに開けろ、と師匠がくれたんですが」
中には、小さなバッジのような装飾品が。
「ドッコイはそのバッジを、どこで手に入れたと?」
「キエフでわたしを見つけたときに、手に持っていたそうなんです。それをお守りとして、師匠が持たせてくれて。この紋章に似ていませんか?」
「確かに! しかし、これはなんだ?」
「なんでしょうねぇ。うーん」
悩んでいると、バッジが黄金色の光を放った。
リッコがビックリして、バッジを落としてしまう。
バッジは見事なバランスで、紋章の中心で止まった。
「あらら、すいません」
落ちたバッジを、リッコは拾おうと紋章に手をつく。
噴火でも起きるのではというレベルの、地震が発生した。
あまりの揺れに、リッコはその場から逃れようとする。だが、立ち上がれない。
「うわあああ、なんですかこれは!?」
「お宝が、目覚めたニャ!」
地面に描かれた紫の紋章が光を放ち、地面が削れていく。
「何が起きているのか、サッパリです!」
「私にも分からん! とにかく警戒を怠るな!」
「はい!」
逃げ出したくても、手が地面に吸い付いている。
かと思えば、ひとりでに手が持ち上がった。
そこで、リッコは意識を手放してしまう。




