第59話 ぼぼぼ……房中術ですって!?
「強情だね。いっそ殺してしまうか?」
顎に手を当てながら、ソランジュは思考する。
「待つニャ。ここはお任せニャ」
このパーティで一番非力なチヨメが、前に出た。
おもむろに、マフラーを脱ぎだす。
「何をする気だ、チヨメ?」
「ギルド一本松直伝の、房中術ニャ」
いいながら、チヨメは装束をすべて取っ払い始めた。
たしか、殿方を喜ばせる忍術だったはず。
「チヨメの術に掛かったら、なんでもペラペラしゃべってしまうニャ」
「やめてくださいよぉ。自分の身体を大切にしましょ」
リッコはチヨメの肩を抱き、思いとどまらせようとする。
「何か勘違いしてるニャ? まああ見ておくニャ」
「チヨメさん!」
必死に呼びかけるリッコを無視して、下着姿になったチヨメはハーゲンティの前に。
「けっ、獣人如きの房中術など、このオレ様に通じるとでも思っているのか!」
魔法の縄に縛られながら、ハーゲンティが余裕の表情を見せる。
「そう言ってられるのも、今のうちニャ」
それから、数分の時が流れた。
「はああ、カワイイのにゃああ」
そこには、ネコに化けチヨメをナデナデしながら、アヘ顔を晒すハーゲンティの姿が。
チヨメを膝に乗せる彼は、ヨダレまで垂らしていた。
「なんでも話してニャン」
チヨメがハーゲンティを見上げながら、ニャーンと鳴く。
「はにゃああ、何でも話すにゃああ」
ヒザの上をネコに占領され、クレーターデーモンは頬が緩む。
「あれがチヨメの房中術だよ。ネコに化けて、愛想を振りまくのさ」
「わたしも、耐えられるか分かりません」
獣人族の繰り出す房中術に、リッコは戦慄した。
すっかりチヨメのトリコになってしまったハーゲンティに、尋問をはじめる。
「タンドック男爵夫人とは、何者ニャ?」
「彼女はシングニアの第五王女だ。でも野心が強すぎて、地位を剥奪されたのだ」
権力者はあくまで夫人であり、タンドック男爵には特にこれといった権限はないという。むしろ、男爵との婚姻も、あまりに高い権力を振るわせないようにするためだったとか。
「しかし、男爵の死後、財産をすべて秘密結社結成に当てたそうだぜ。ぬはぁ……」
チヨメにスリスリされて、ハーゲンティがうっとりする。
「ちょっといいでしょようか?」
手をあげたリッコが、ハーゲンティに駆け寄った。
「タンドック夫人だって、一応はクテイの血を引いているんですよね? なんで開けられなかったんです?」
驚きの表情を、ソランジュが見せる。
「なんです、ソランジュさん?」
「夫人の事情に、よく気づいたな?」




