第58話 ミノタウロス退治です!
「いつまでかわせるか。おとなしく潰されてしまえ!」
「そうはいきません!」
リッコは側転で回避する。続けざまの連続踏みつけを、なおも転がってかわす。反撃したいが、余裕がない。ソランジュはデカイだけだと言うが、その圧力が凄いのだ。
「ちょこまかと!」
ハーゲンティの右腕が、鋭い剣ヘと変形した。オレンジ色の光を放つ剣状の腕を、こちらへ向けて横に薙ぐ。
「気をつけろ! 衝撃波が飛んでくるぞ!」
電撃のカタマリを衝撃波にして、刃状に飛ばしてきた。
リッコはしゃがんでかわす。
あれだけ硬かった岩が、爪痕を遺している。
「これは、キミの盾でも防ぎ切れんぞ!」
とはいっても、避けるのが精一杯で、近づけない。
「ムダだ! オレ様はアガリアレプトの兵でも最強のパワーを誇るグレーター・デーモン! この力は、グシオン将軍にもっとも近いと呼ばれている!」
ハーゲンティが、高笑いしながら幾度も攻撃を繰り出す。
「今助けるニャ、リッコ! 忍法・泥ネコパンチの術ニャ!」
強烈な右フックが、岩の壁から生えてきた。
「こんなもの!」
デーモンが岩の腕を振り払う。だが、動きに精彩を欠いている。
「そうか、泥のパンチが視界を奪って」
「正解だよリッコ、トドメはキミがやれ!」
立ち上がったリッコが、懐に剣を突き刺す。
「ぬううう! この程度!」
しかし、ハーゲンティは反撃の拳を振りかぶった。
「利いてない?」
「いや、十分だ」
ソランジュはステッキをロープ状にする。
ロープはハーゲンティにグルグルと巻き付いた。
手も足も縛られ、ハーゲンティが転倒する。
「今だ、リッコ!」
「シールド、キーック!」
ソランジュの合図に即反応し、蹴りを繰り出した。懐に刺した剣めがけて。
ハーゲンティの身体が、剣ごと壁に突き刺った。
「ぐふおおっ!」
大口を開けて、ハーゲンティが悶絶する。直後、白目を剥いて動かなくなった。
「くっ」
タンドック夫人の姿が消えていく。
「夫人は?」
「逃げていった。作戦が失敗したからな」
他の魔族も、次々と消えていった。
ムチ状になったソランジュのステッキで、さらにハーゲンティを縛る。
「この宝石の秘密は? これが秘宝なのか?」
「フン、殺すなら早く殺すがいい!」
ハーゲンティが、口元をつり上げた。
「ほほう」
ソランジュが、ムチに電撃魔法を通す。
「ぐおおっ、この程度の拷問で、オレ様は口を割らん!」
なおも、ハーゲンティは笑い飛ばした。身体から煙が出ているのに。
「我が身は魔王さまに預けた! ここで死ねば本望というもの!」




