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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第四章 本格的な宝探しです!

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第53話 魔王アガリアレプトって、何者ですか?

「あんまりです。ひと思いに魔族のアジトに乗り込みましょう」


「ヘタに魔族の根本なんて潰してみろ。ヘイトがこっちに移るだけだぞ」

 ソランジュが、息巻くリッコをたしなめた。


 冒険者が戦う理由は、世界平和のためではない。

 明日生きるためだ。

 

 秘宝を優先し、自分たちが糧を奪ってしまえば、今度は秘宝が雑に狙われるだろう。


「連中は、あのままでいいのさ。せいぜいお稼ぎをすることだね」

「仕方ないですね」


 冒険者に、協力は仰げない。自分たちでやるしか。


「あまり言ってやるニャよ、ソランジュ。ヤツらも生活がかかってるニャ。だからマセッティ様も、マジックアイテムに関心を示さないお前をよこしたニャ」


「確かに。こちらは単なる思い出探しの道楽だからな。こちらのワガママに、彼らを付き合わせるわけにもいかぬか」


 ソランジュの靴音に、わずかな苛立ちが混ざる。


「きゅ、休憩しましょう! あそこの足場なんて広そうじゃないですか!」


 リッコは気を利かせた。


 ある程度のエリアまで辿り着き、一息ついた。

 アイテム袋から、チヨメが軽食を出す。


「ここからは集中力が必要ニャ。ちょっと腹に何か入れるニャ」

 甘い豆を挟んだクラッカーと、お茶をいただいた。


「口がパサパサします。でもおいしいですね」

「手作りの『モナカ』ニャ。気に入ってくれてうれしいのニャー」


 モナカを気に入ったリッコは、何度もおかわりをする。



「冒険者の目的は分かりますが、魔族がここを妨害しようとする目的ってなんです。あのグシオン将軍という、黒いお侍さんも気になります」


「彼らの強さの秘密こそ、魔王だからな」


 魔王とは、魔族の中で一番偉いだけでなく、いわゆる魔力の増幅装置としての立場もあったらしい。魔王がいることで、魔族も力が倍増するのだという。魔王復活は、自身の力を誇示するためなのだ。


「ソランジュさんを恨むわけですね」

「ヤツらは自力で強くなる術を知らぬ。知っていてもやらないんだ。鍛えるなんて、彼からすれば女々しい行為だから。力はより高い存在から与るか、奪うものだと思っている」


 探究心のカタマリのようなソランジュからすれば、さぞつまらない世界に移っただろう。


「魔王アガリアレプトって、どんな人だったんです?」


「アガリアレプトは、変わったヤツでな。弱いモンスターに力を分けて、鍛えるのが好きだった。私やグシオンも同じだ。グシオンはオーガ族の末端構成員だったんだ」


 弱い者に力を与えて忠誠を誓わせ、上位のモンスターを殺させるのが楽しかったらしい。

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