第41話 わたしの昔話です
「私は、とある人物から魔法使いの称号を得て、そこから剣術に移行したな。大して強くはないが」
「いや十分でしょ」
そこは、ジョーイと同意見である。
「キミも一応、クラフターの称号があるだろ?」
「はい。商業ギルドに入ったので、その機会になってみました」
魔法使い系の職業と、商人系のジョブを持っていたらなれる上級職だ。アイテムの鑑定がでいるのも特徴である。
「鍛冶職人レベルが、三〇を超えているんですね?」
「ええ。マジックアイテムの生成も可能ですよ」
ソランジュの武器を見て、欠点を見抜いただけあった。
「親の跡を継ぐより、自分で商売をしたくて、頑張ったんです。独り立ちしようとしていた矢先にこのザマでして」
「ご両親が、お嫌いなんですか?」
「あんまり」
つまらなそうな顔を、ジョーイは浮かべる。
顔を合わせれば「嫁に行け」と言われ、とうとう見合いの話まで持ちかけてきたため、ウンザリして家を飛び出したという。
「親がいるだけ、わたしはうらやましいです」
リッコには、両親がいない。
「ご、ごめんなさい」
「いいんです。わたしには、家族のように慕ってくれた幼なじみ一家がいますから」
幼なじみを守りたくて、聖騎士になった。二人は納得していたつもりで。
「でも、そう思っていたのはわたしだけで。言われたんです。『守られてばかりはイヤだ』って」
リッコは幼なじみと袂を分かち、旅に出る。
「でもよかった。こうして幼なじみ以外にも友だちができて。女子会もできて。わたし、うれしくて」
リッコは鼻をすする。
「今日は食え、リッコ」
ソランジュがリッコの前に大皿を突き出す。
「はい。いただきます」
スプーンを掴み、リッコは料理をバクバクと平らげた。
「リッコさん、ありがとう」
「何がです?」
「よく考えたら、あたしをここまで育ててくれたのって、親だったなと」
両親の存在があったからこそ、今の自分があるのだ。それがようやく分かったと、ジョーイは語った。
同じことを、リッコも思う。
我が子を愛していなければ、レベル三〇まで面倒なんて見ないはずだ。
「今まで、親ってわずらわしいだけだなって思っていたんですけど、超えればいいんですよね?」
「その意気です」
リッコの隣でうなずきながら、ソランジュがワインを傾けた。
「私なんて、親がいないどころか、育った村さえ追放されたからな。キミは恵まれている方だぞ。一人で生きていく辛さは、私も分かる。キミは強いよ、ジョーイ」
「ありがとうございます、ソランジュさん」




