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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第三章 お友だちって、いいものですね!

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第33話 わたし、有名人でした!(悪い意味で)

「こんなお金、使い切れませんよ」

 マセッティが用意してくれた宿の外へ出て、リッコは戸惑いを言葉に出す。


「旅の資金にでもすればいい。先は長いんだ。すぐになくなるさ」

「できれば、管理してくれる相手が欲しいですねー。おや?」


 うなだれた表情のノームが、トボトボと歩いているのが見えた。僧侶特有の長い帽子がない。おかっぱだったのか。ワンピース姿でなければ、男子に見間違えたことだろう。


「すいません、あなたは」


「ああ、聖騎士『アイリス・フォート』様、先日はどうも」


 特徴的なメガネで分かった。

 やはり、昨日殺されかけたノームの女性である。


「アイリス・フォートって、なんですか?」


「え、ご存じないのですか? リッコ・タテバヤシさんですよね? あなたはギルド界隈ではアイリス・フォート、『白百合の要塞』として恐れられているのですよ?」



 聞くところによると、白銀の全身鎧フルプレートとヒーターシールド一つで前線に立ち、大型魔獣に立ち向かう姿は、ギルド界で「アイリス・フォート」と呼ばれているらしい。


「たしかに、リッコの出で立ちはまさしく『白百合の要塞アイリス・フォート』と呼ぶに相応しい」

「二つ名を付けられるとは、思ってもみませんでした」


『朱砂の魔女ソーマタージ・オブ・シナバー』という二つ名を持つソランジュの方が、すごい功績なのだが。


「申し遅れました。あたし、ノーム族のジョーイ・ショーバンです」


 耳が長いが、エルフのように上へ尖っていない。下に垂れ下がっている。

 大きな八重歯が、女性型ノームの特徴である。


 男性ノームは総じて出っ歯だ。


「白百合の要塞アイリス・フォート様、この度は助けていただき、ありがとうございます」

「そんな大層な名前、わたしには似合いませんよ。リッコとお呼びください。リッコ・タテバヤシ。それがわたしの名前です!」


 小心者が顔を出し、リッコはペコペコと頭を下げた。


「心得ました、リッコさん。といっても、もうお目にかかることなどないでしょうけど」

「何かあったのですか?」


「お恥ずかしながら。あたし、冒険者をクビになりまして」


 なんでも、度重なる失態から、ジョーイという名のノームは冒険者の登録を抹消されたらしい。


「なんのためにワーンスから出てきたのやら。鍛冶屋の父から『嫁に行け』と言われて反発し、冒険者になったと言うに」


 聞けば、ジョーイの実家は鍛冶屋であり、父親はリッコのヨロイを作った鍛冶屋だという。


「その節はお世話になりました。ジョーイさん」

「いえいえ、こちらこそ」

 お互い、ペコペコと頭を下げ合った。

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