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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第二章 魔女さんと二人旅なのに、トラブル続出ですか!?

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第32話 リッコ、キミは何者なんだ?

 ワインをグラスに注いで、舌で転がす。


 リッコは、よく眠っている。今日は大活躍だったと言っていい。


 それにしても、手下とは言え、グシオンの配下を下すとは。


 以前、ソランジュはリッコのレベルを把握した。

 リッコのフォークから料理をかっさらったのは、彼女の唾液から情報を引き出すためだ。


 冒険者カードには「レベル 五〇」と書かれている。 


 だが、リッコにはそれ以上のポテンシャルがあることを、ソランジュが見逃すわけがない。


「レベル 八七、か」


 ワインを傾けながら、ソランジュは独りごちる。

 程よく熟成されたワインを味わうように。


 レベルカンストしている真紅の魔女、ソランジュ・オルセンに届く勢いだ。


 ならば、他の冒険者が彼女を避けるのもうなずける。

 

 共に依頼を達成しても、彼女一人の手柄だろうと世間から見なされるからだ。

 そんな規格外と共に冒険しても、いずれひずみが出てくる。

 永遠とも言える自身とのレベル差に嫌気が差し、リッコの排除に掛かるだろう。



 実際、今も似たような現象が起きている。

 冒険者たちは、日常会話はこなすモノの、リッコを露骨に避けていた。


 しかし、リッコは誰も責めない。

 自分のせいにしてしまっている。

 多分だが、周りのよそよそしい態度の理由に、なんとなく気づいているはず。

 きっと、気弱な性格もそこから来ているのだ。

 自分がいてはいけない人間だと思ってしまっている。



 彼女に友ができないのは、自己肯定感の低さだ。

 それが、彼女のアクティブさを阻害している。

 いちいちソランジュにお伺いを立てていたのが証拠だ。



 このソランジュしかいない。

 仲間と呼べる相手は。

 他の者たちでは、きっとリッコの強さに萎縮してしまうだろう。



「ドッコイ、キミは何を考えて、この子を育てたんだ? ただ自分の後継者を育てたかったわけではあるまい」


 もういちどワインを傾け、独り言を言う。


 ショーナ・ドッコイも、稀有な人材を見つけたモノだ。

 彼女は数少ないSランク冒険者で、伝説の女聖騎士だと聞く。

 魔王の残党共の多くが、彼女にやられたらしい。


 六〇年前に、少し剣を交えたことがあるが、少女時代から気が強く、剣も達者だった。今は七〇歳くらいか。


 それにしても、相変わらずストイックすぎる女だ。


「自分以上に強く育てる」なんて。


 自分の身は自分で守れというには、いささか熟成しすぎだ。


 いったい、リッコを何から守ろうとしているのか。


 世が世なら、リッコが魔王アガリアレプトを倒していただろう。



 そして、世間からこう呼ばれていたに違いない。





「勇者」と。

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