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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第二章 魔女さんと二人旅なのに、トラブル続出ですか!?

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第31話 黒いお侍さんです!

 黒い侍は、長い白髪をなびかせ、黒い東洋風の鎧に身を固めている。下は袴だ。二メートル近い背丈だが、漂わせる気迫に押され、五メートルほどにも見えた。特徴的なのは、二対の角だ。オーガ族らしい。


「将軍、任務は果たしましたが、魔女は討てませんでした。お許しを」


「うむ」

 自分の配下であるシトリーを、将軍と呼ばれた男性は刀で貫く。


「なあ?」

 その光景が信じられず、リッコが呆然となった。


聖騎士(パラディン)の聖なるオーラから浴びせられた傷は、魔族の力では治せぬ。貴様は死ぬ運命にあったのだ」


「ひっ、ひいいいいいい!」

 ハーピーの身体が霧と化して、将軍に吸収されていく。


「これだけの血液があれば、我が悲願も達成されると言えよう。シトリーよ、見事な最期だった」


 何か、将軍は満足しているようだ。




「グシオン将軍だな? いつからシングニアの犬になった?」




 巨大な影は答えず、月夜へと消えていく。





「何が目的だったのでしょう」

「分からない。ただ、どうやら血液を集めていたようだ」


 なにも村人だけではなく、盗賊や冒険者でもよかったらしい。

 その証拠に、全員が死んでいた。


「敵は吸血鬼か何かですか?」


「違う。確かに、グシオンと、さっきのハーピーは上位の魔族だ。とはいえ、血液をエサにしているわけじゃない。そんな彼らが、どうして大量の血液なんかを?」


 謎は深まるばかり。


「とにかく、村は救われた。報告してさっさと帰ろうじゃないか」


「はい!」




 すぐにワープし、マセッティの屋敷へ。




「グシオン将軍が!?」

 報告をすると、マセッティが苦々しい顔になる。


「彼は、キエフを襲撃した首魁です。いずれ本格的に決着をつけねば」


「どうする? 倒すか? そう依頼してくれたら、探すぞ」


 マセッティは首を振った。


「いえ、秘宝を追っていれば、いずれまみえることでしょう」


 下手に動いて、秘宝も見つからず、グシオンにも逃げられるのでは、目も当てられない。


「今は、秘宝探しに専念ください」


「承知した」


「それより、この度の働き、お見事でした。これで、クテイの治安は守られるでしょう」


 莫大な量の金貨とともに、礼を言われる。追加の報酬として、宿まで手配してもらった。


「いやいや、寄り道して申し訳ありません」


「とんでもございません。盗賊退治の冒険者が不足していると察知してくださったのは、あなたを含めわずか三組のパーティでした。しかし、そのパーティもひと組は全滅。もうひと組も、当分は行動不能だそうで」


 思っていた以上に深刻な状況らしい。

 当然だ。三〇〇人を超える盗賊の中には、シングニア側の冒険者もいたのだから。


「何より、グシオン将軍が絡んでいると分かっただけで、対策が打てます。より一層、この街の警備を強化することに致します。ありがとうございました。秘宝を二人きりにお任せする形になって、申し訳なく」


「いえいえ! 危なくなったらいつでも仰ってください! 駆けつけますよ!」


「ありがとう、リッコさん。では、おやすみなさいませ」




 二人は冒険者ギルドにも報告後、宿に戻って一息ついた。

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