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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第二章 魔女さんと二人旅なのに、トラブル続出ですか!?

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第30話 わたしのキックをお見舞いします!

「どうした? まだ三割も力を出していないぞ」

「ば、化物ですね、相変わらず」


 立ち上がったシトリーがエズく。


「私の付き添いは、もっと恐ろしいぞ? 殺してみるか?」

 咳き込むシトリーを、ソランジュは煽った。


 どういう意味だろう? とても今の戦闘などマネできないが。


「そうさせていただきます。まずは弱い方から!」


 ハーピーの標的が、リッコに移った。殺意に満ちた眼が、リッコを捕らえる。破城槌のように、竜巻がリッコへ攻め込む。


「気をつけろ、リッコ。こいつらは外見こそモンスターだが、実際は上位の魔族だ」


「はい、油断しません!」


 シールドで、旋回を防ぐ。

 重い、盗賊やモンスターなど比較にならない。


「さすが、ソランジュ様の配下でございますね。でも、いつまでもちますか?」



「配下じゃありません、友だちです!」



「同じことでございます!」

 再び、竜巻の矢となってシトリーが突進してきた。


 両手を矢のように伸ばして旋回する、まるでダンスのような動きが見える。スローすぎて、むしろ止まって見えた。


 相手の血を見たがるといった狂気も感じず、世界を恨むといった憎しみもない。


 ただ使命にのみ従って動くマシーン、ゴーレムの類いを連想させる。


 そんなハーピーの攻撃など、怖くもなんともなかった。

 指示者に依存した攻撃になど、魂が籠もるわけがない。


 ドラゴンのウロコでできたヒーターシールドを、リッコは地面に突き刺す。


「ハハハッ! 防ぐ箇所が逆じゃないのですか? 自分の後ろに盾を立てかけるなんぞ!」





「これでいいんです」




 この盾は、攻撃を防御するために立てたのではない。支えにするためだ。


 リッコが飛び上がる。身体が地面と水平になった。

 攻撃の体勢に入ると、盾が地面にめり込んだ。






「シールド……キーック!」






 必殺の足刀蹴りを、リッコが放つ。



 シトリーの技が、爪ごと吹き飛んだ。

 背骨があらぬ方向へとねじれている。

 竜巻を起こした勢いと、カウンターの蹴りをまともに浴びたせいだ。




「盾じゃ、ありませ、ん……」

 そうつぶやき、シトリーは白目を剥いて失神した。


「さて、捕らえて事情を聞き出すぞ」


 ソランジュが、気絶したシトリーを抱えようとする。


 だが、シトリーの身体が、ひとりでに宙を舞う。まだそんな力が? と思ったが違う。何者かの介入があるようだ。


 シトリーより更に黒い殺気を放つ存在が、崖の上にいた。

 浮いているシトリーを片手で抱き寄せ、こちらを睨む。


「お侍さんです! 崖の上に、黒いお侍さんがいますよ!」

 侍装束の魔族を、リッコは指す。


「グシオン。あいつは、グシオン将軍だ」

 ソランジュは、崖の上に立つグシオン将軍なる人物を、苦々しげに見ていた。

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