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ぼっちパラディン、伝説の赤魔道士と友だちになる  作者: 椎名 富比路
第二章 魔女さんと二人旅なのに、トラブル続出ですか!?

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第29話 魔王の配下と対決です!

 いつの間にやられた? 

 冒険者が倒されるまで、太刀筋が見えなかった。


「何者だ!」

 ソランジュの問いかけに応じるかのように、竜巻が止んだ。


 影が、正体を現す。



「ワタシは、魔王アガリアレプトの配下にして、魔族グシオン将軍の刺客、ハーピーのシトリー」



 シトリーと名乗る少女は、黒い羽根を集めてできたマントを羽織る、ボブカットの少女である。髪の毛も目の色も黒く、魔族の黒い一面を体現したような姿だ。


「アガリアレプトって?」

「私が従っていた魔王の名だ。もう冒険者学校のテキストにも載らない名前だが」


 シトリーは猛禽の手足を、こちらに向ける。

「グシオン様の命により、あなたのお命を頂戴しに参りました」


「グシオンの? お前が指揮しているわけではないのだな?」


 ソランジュが話しかけても、シトリーはただ嗤うばかり。


「ワタシは、将軍から指示を受けているのみです。将軍の邪魔はさせません」

「シングニアとグシオン将軍との関係は?」


「それは、ワタシを倒して聞き出せばよろしい!」

 シトリーが、ソランジュに斬りかかる。猛禽類の両腕を旋回し、竜巻を発動させた。


「ソランジュさん、グシオン将軍って?」

 手を貸そうとしたが、ソランジュに止められる。


「私と同じく、魔王に仕えていた者だ。どちらかが次期魔王候補として上げられていたそうだ。私は魔王の座に興味などなかったが」


 軽々とシトリーの竜巻攻撃をかわしながら、ソランジュは告げた。


 グシオンが軍を率いて攻め込む強行役で、ソランジュは外部との交渉役だったらしい。


「そんな実力者が、どうして魔王を殺しました? 覇権を握りたかったのでございましょう?」

「冗談じゃない。あんな不自由な生活、まっぴらだ」



 剣をたたき込みながら、ソランジュとハーピーは罵り合う。



「腕が鈍りましたね、ソランジュ様。隠居生活で身体が鈍ったのでは?」

「全力を出していないことが、分かっていないようだね?」

「その虚勢が、いつまで続きますかね!」


 反時計回りに側転し、ハーピーが蹴り込んだ。狙うは、ソランジュのアゴだろう。


「ソランジュさん、危ない!」

 シトリーの足爪が、シミターのような形状になって伸びる。ソランジュのノドを切り裂くつもりだ。


「ぐう!」

 うめき声を上げたのは、仕掛けたシトリーの方である。


 自分のノドを守るために、ソランジュは相手のノドへとステッキで一撃を食らわせたのだ。

 

 何のためらいもなく、懐へ飛び込んで、カウンターを浴びせるとは。


 発想が、えげつない。

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