第28話 悪徳冒険者さんが全滅、ですが……。
「シングニアの出か。やはり、あの国が一枚噛んでいるな!」
ソランジュは、冒険者たちにステッキの先を突きつける。
リッコの顔面に、モーニングスターの鉄球が飛んできた。投げたのはプリーストである。
微動だにせず、リッコは鉄球を受け止めた。
驚きの表情を、悪僧侶が浮かべる。
強引に、リッコは僧侶を引っ張り出す。
「悪いプリーストさんなんて許せません!」
僧侶職に就いた幼なじみを穢された気がした。
ゼロ距離になった僧侶のみぞおちに、ブローを叩き込む。
くの字になって、僧侶が倒れる。
「くそが、邪魔が入ったか!」
冒険者のリーダー格が、ソランジュの前に立ち塞がった。柱のような太さのブロードソードを肩に担いでいる。
「覚悟しろよ。プロが絡んでいるとなると、依頼者を突き止めざるをえない。野盗以上に手加減はしないからな」
野蛮な風貌の剣士が、「ケッ」と口をつり上げた。ぶ厚いブロードソードの先を、ソランジュに突きつける。
「これだけの数の冒険者をどうやった撃ち倒すというのだ? くらえ!」
剣士が、両手持ち用の剣を振り回した。
装備の高級さや威圧感からして、彼がリーダー格らしい。
ソランジュはステッキの先で、相手の剣を軽く小突いた。
それだけで、ブロードソードはいとも簡単にへし折れてしまう。
余裕たっぷりだった剣士の顔が、瞬時に恐怖へと変わる。
「魔女にケンカを売った、己の無礼さを弁えるがいい」
「す、朱砂の、魔女、だと……」
言い切る前に、ソランジュはステッキを手に持った。
持ち手を引き抜くと、刀のような光が煌めく。
分離したステッキを、ソランジュは再び納める。
同時に、剣士は胸から血を吹き出して倒れた。
「ちょっとソランジュさん、殺しちゃダメですよ! 色々聞き出さないと!」
慌てて、リッコが倒れた相手に治癒魔法をかける。
冒険者たちは首魁を倒され、心を折られたらしい。思い思いに逃亡していく。
「逃がしませ――」
情報を聞き出さなければいけないのに。
リッコが後を追おうとした。
しかし、冒険者たちは次々と血を流し、地面に倒れ込む。
冒険者たちを切り刻んだのは、黒い竜巻だった。
「ちょっとソランジュさん! いくらなんでも」
「私は何もしていない!」
確かにソランジュは、魔法を発動させていない。
「じゃあ誰――」
死体から流れた血液を、魔方陣が吸い込んでいく。
魔方陣は竜巻の中に飲まれていった。
「グシオン将軍閣下、お役目は確かに」
中性的な女性の声で、竜巻が何やらつぶやく。




