第27話 敵さんはただの盗賊じゃありませんでした!
まず、僧侶と騎士たちのパーティを救い出す。
メンバーの傷を癒やし、戦線に復帰してもらった。
「ああ、キミは。また助けられたな」
「わたしに感謝しているなら、村人救出にご協力を! 回復した直後で無茶を言いますが」
「構わん。心得た!」
人質をかばうようにして、リッコは立ち塞がった。
「皆さん、逃げてください」
その間に、冒険者たちが手早く縄を解き、村人たちを逃がす。
盗賊たちのことは、できるだけ傷つけずに捕らえる。
その上で、誰の差し金か聞き出すこと。
そう、打ち合わせで決まっている。
だが、自分でも加減できる自信がない。
殴る度、野盗たちは白目を剥き、ピクリとも動かなくなっていた。
死んでいなければいい。
そう思いつつ、次の相手をしている頃には興味をなくしていた。
今は人質を逃がすことだけ考える。
ひたすら野盗を蹴り、殴り、盾で矢を弾く。
一方で、ソランジュが担当している場所では、特大の爆発が起きている。
「悪党の命などに、気を使う必要なんてないぞ」
「でも、やりすぎです!」
「殺しているんだ。殺される覚悟ぐらいはあるだろうさ」
怯えている盗賊の心臓に、ソランジュは容赦なく氷の矢を放つ。
ソランジュは一切手加減していない。まるで武器の実験台とでも言わんばかりに、様々な魔法を打ち込んでいた。「害虫駆除」という言葉が相応しい。
三〇〇人も相手にするのだ。意見や思考は理解できる。
だが、聖職者であるリッコには、ソランジュのマネまではできなかった。
「いいからキミは人質を逃がせ。駆除は私がやるから」
「承知しました。皆さん、わたしについてきてください!」
リッコは火の粉を払うかのように、盗賊たちを村人たちから引き剥がす。
マセッティの私兵たちもかけつけてきた。
「冒険者の皆さん、ありがとうございました。村人さんたちの安全を優先してください。あとはわたしが、ぶっ潰してきます!」
村人をマセッティの私兵に任せ、リッコも戦線に復帰する。
「ふおーっ!」
目に映った相手に向けて、リッコは拳を振り下ろした。
しかし、渾身のパンチは相手のバックラーによって受け流される。
反撃のショートソードによる突きを、紙一重でかわした。
「盗賊の動きがよすぎるな。何か、指導者がいる」
ソランジュの言うとおり、戦闘訓練されている。装備も上等だ。野盗じゃない。
「抵抗するなら痛くします!」
無理な体勢からバク転し、リッコは相手の後頭部にカカトを喰らわす。
気絶した戦士の懐から、金属製のカードがこぼれ落ちた。
「この人たち、冒険者ですよ!」




