第26話 悪党は許しませんよーっ!
夜を待ち、リッコたちは行動を開始した。
マセッティの私兵たちには、リッコが救出した人質を引き受けてもらう。
野盗に見つからないように、山を奥へ進む。
「相手は悪党だ。遠慮しないで行こう」
「はい。あの……」
「どうした?」
「ついてきてくれて、ありがとうございます」
リッコは、申し訳なく思いながら、頭を下げた。
「成り行きだ。ムダに焦っても仕方ないからな」
「と、言いますと?」
「キミの発言で、頭も冷えた。秘宝のことで、こちらもわずかながら、気が立っていた」
ソランジュの友人が絡んでいるのだ。無理もない。
「ただのワガママです。せっかく馬車の人たち助けたのに、また襲われるなんて、ガマンできなくて」
「その優しさは、やがて足かせになるだろう」
ソランジュから、厳しい指摘が入る。
「そうですよね」
「だが、その優しさを忘れてしまったら、もう冒険者とは呼ばない。そう言うヤツらは、ただの蛮族と成り下がる」
「わたしは、甘いだけですよ」
リッコは苦笑いを浮かべた。
崖まで辿り着き、下を見下ろす。
野盗のキャンプが見えた。
捕まっている人は一カ所に集められている。
「続々と集まっていますよ」
野盗の数は、想像していたより多い。三〇〇は集結しているように見える。
縛られている女性が、野盗たちに囲まれた。
魔方陣の上に寝かされ、地面に顔をこすりつけられる。
野蛮な集団が、蛮刀を抜いた。
あの女性が何をされるか、リッコには分からない。
ただ、よからぬことが行われることくらいは、容易に想像できる。
「あの子は……」
この間、パーティの座をゆずった僧侶少女ではないか。
メガネで分かった。
リッコが知り合ったメンバーたちも負傷し、縛られて横たわっている。
特にリーダーである騎士の傷が一番深い。
今にも、僧侶の少女はクビをはねられようとしていた。
「ソランジュさん、すいません。わたし行きます。おとりにでも使ってください!」
惨劇を止めるため、リッコは飛び出す。
途端、ソランジュも動いていた。同時に崖から飛び降りる。
「我々に小細工など必要ない。全力で潰して、二度と歯向かわせないように叩く!」
「わたしの装備は?」
軽装の方が動きやすい。
しかし、あれだけの数だ。
一人が素早くてもタカが知れている。
戦闘中に、人質が殺されてしまう。
「重武装で頼む! キミは人質の避難を優先! その後は、遠慮なんて無用!」
「はい!」
遠慮するなと言うが、どこまでやればいいいのか。
「な、なんだ?」
一部の野盗が反応したが、構わずリッコは仕掛けた。
「とーおっ!」
女性の前まで降り、囲んでいた野盗たちをシールドで殴り飛ばす。
野盗たちが遥か遠くまで飛んでいった。




