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愛 再動   作者: 真琴
8/9

疑念

夏休みが終わり 2学期の始業式 様々に夏を楽しんだ野郎どもが話を弾ませている バイトの話 彼女の話 花火大会の話 祭の話 どれもこれもが僕には幼稚に感じられた まわりのクラスメイトからは僕は夏休み前と何ら変わりはない様に見えるだろうけど 違う 僕は成長したんだ 愛する人のために汗水たらして働いたんだっ


「 俊っ 夏休みどうだった ⁉︎ 」

と数少ない友達が僕に声をかけてきた

『 あっ 俺 バイト 』

と答えた

「 味気ない青春だなぁ 」

と返してくる

いや 僕はこの夏休みで色々な事を学んだ 誰かのために頑張れる力 それを支えて応援してくれる人達 実に充実した夏休みだった

がしかし男子校で彼女の話をしようもんなら大騒ぎになる事間違いなし 僕は少し微笑みながら

『 そぉだなっ 』

と答える

今 僕のカバンの中にはコンサートチケットが1枚入っている 僕には場違いな かわいい文房具店で買った封筒の中に入れてある 席順も 妹 僕 このチケットの席 とすべては僕の計画通りだっ 後はこれを渡すタイミングだけだ

しかし渡すタイミングなんてあるのだろうか 優子の横には常に友達がくっついている 夏休み前に二人で話ができたのは 偶然優子が学校にノートを忘れたからだったわけだし

でも悩んでばかりいたら このチケットは灰になってしまう とりあえず友達がいてもいい 会わなきゃダメなんだ


学校から夏休みの雰囲気も冷め 通常通りの授業に戻っていった


頭の中では優子が走りまわっている そもそもチケットの代行購入も本気だったのだろうか?本気なら席の位置など気になるはず もっと言えばチケットが買えたのかどうかも気になって当然なはず ならば逆 ‼︎ 優子が僕を待ちぶせするはずだよ でも実際は待ち伏せどころか夕暮れまで駅で待っていても現れない という事はチケットの代行購入もただの ノリ だったのかもしれない 僕はひとり踊らされていただけなのかもしれない


いやっ!かまわない‼︎


僕は道化師でかまわない‼︎ 笑われようが バカにされようが このチケットを彼女に渡さなければならないんだ

翌日 僕は仮病を使い学校を午後から早退した コンサートの日も近づいてきている 僕は暑い中頑張ったんだ 報われて当然なんだっ‼︎

僕は改札口で優子がくるのを待った 2時間近く経っただろうか 僕がいつも帰りに乗る1本前の電車が いつものホームに到着した ここから30分が勝負だっ 少しづつ鼓動が激しくなる


その時は突然訪れた


「おっす‼︎」後ろから聞こえる声に振り向いた

優子だっ やっと逢えた ながかった ようやく逢えた

「ひょっとして 待ちぶせかなっ?」もぉ二度とないチャンスなんだ 勇気を振りしぼり僕は素直に『うんっ』と答えた 一緒にいる友達は涼しい顔で歩みを止めず どんどん進んでゆく つられて優子と僕も改札をぬけホームへと進む『あのさぁ 夏休み前に話したコンサートの』「しーっ‼︎」優子は僕の話を止めてきた 僕からは何も話せない... 沈黙のまま7番線ホームの上り口が近づいてきた やっぱ僕は踊らされていたんだ

くそぉっ‼︎ 暑いなかバカみたいにニヤけながら バイトに明け暮れた夏休みの日々が音を立てて崩れてゆく

もぉ歩けない7番線ホームの階段への曲がり角の直前で 僕の体は 感じた事のない重みを感じ その歩みを止めた 彼女は階段に足をかける これ以上なにもできない ただ立ち尽くすだけ 脱力で壁に寄りかかった


その時 7番線ホームの階段から折り畳み傘が転がり落ちてきた「わぁー‼︎」という声と共に彼女が階段を駆け下りてきた 傘を拾い上げ僕を見つけ サッと近づいてきて 小声で一言「明日ノート忘れるね じゃあね バイバイ」僕は壁に背中をすりながら その場に座りこんだ

間違いじゃない 声こそ小さかったけど 間違いじゃない ちゃんと聞き取れた 「明日ノート忘れるね」間違いじゃない 僕はゆっくりと立ちあがり放心状態で自分が乗る9番線ホームの階段を上る 9番線から7番線を見ると彼女がいる すぐに2人の中を切り裂くように8番線に電車が入るアナウンスが流れる 電車がホームに入る直前に彼女は僕を見て笑顔で小さく手を振った 僕は少し眩しそうな顔で微笑んだ

じゃあ また 明日ね...


9番線から電車が発車する

心地良い疲労感が 僕を襲う

明日は晴れるかなぁ...







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