遠くの君
コンサートチケットを購入してから 数ヶ月が経ち いよいよコンサート当日
いつもよりお洒落に着飾りヘアースタイルをきめ 妹と会場へと向かう もちろんコンサートは楽しみ とともに チケット販売のあの日から頭の中から離れないあの人に もう一度会いたい
会場には毎回早く到着する 気のあう仲間達とたわいもない話をし その場を盛り上げていく 妹はみんなと歌を唄い 自分が持っているアーティストのグッズなどを見せびらかしては得意げな顔をしている 僕はやっぱり人付き合いは苦手だ 少し離れた噴水の脇に腰をかけ 一人自分の中で自分を盛り上げていく だが今回は違う人混みの中からたった一人の人を探す 頭の中から離れないあの人を
徐々に開演時間がせまってくる 人がどんどん会場内へと吸い込まれていく 妹が僕のもとへ来て 「そろそろ気合入れて いくぞっ」と僕を会場へと誘う
見つけられるわけないかっ と腰をあげ会場へと向かう
僕のチケットは前から7列目 そう あの人から聞きだした唯一の情報も同じ7列目 自分の席からまだ空席が目立つ会場の7列目を端から順に見わたす いない まだ到着していないのか?
開演数分前 照明が徐々に落とされ僕以外のみんなのボルテージが上がってゆく ダメだせっかく手に入れたチケット いつものようにいかないと と彼女の捜索をあきらめステージの方を見る でもそんなにすぐにはスイッチは切り替わらず自分とは逆サイドの7列目に目を向けた時 ギリギリで会場入りした彼女の姿が目に入る やった いたよ やったよ ‼︎ 安堵感が身体中をかけめぐる その後はコンサートを楽しみながらも 何度も何度も彼女の存在を確認した
コンサートは終わった 会場は異様な熱気に包まれていた
僕は何とか彼女に接触できないものかと 興奮冷めやらぬ中 会場を出る用意を急いだ 横を見ると妹が放心状態で座っている 置いて帰るわけにはいかないかぁ 彼女の席をみると もぉ姿はなかった
もぉ 会えないのだろうか
熱い汗と涙だけが今日の終わりを告げる




