45.リーウィア、保身の顔を覗かせる
リーウィアが一両日中に解決が可能とした問題は残り二つ。
「続いてラングレン夫妻の養子縁組問題に移らせていただきます。ただ残念なことに、この件に限っては当家と政府で利害が相反しています。縁組の解消を以って解決とすることは諦めていただきたく存じます」
養子縁組は貴族各家の専権事項だ。
いかに王室・政府といえど、干渉は許されない。
無論、権威権力を以って圧力をかけることは可能だ。しかしそれをすれば国はみずからが布いた秩序を乱すことになる。
「レウリアーダの行いが国益を損ねています。それでもなお縁組を解消しないと。そう言うのですね?」
「はい。いかにアンネリーエ様の御意であろうと受け入れられません」
「絵を描いたのはあなたでしょう? でなければ御老ほどの人が今さら養女を迎えるはずがありません」
「夫人は〝解決できる〟と言ったはずだが?」
外務卿の指摘にリーウィアは首肯した。
「この問題は皆様の理解を賜ることを以って解決といたします」
アンネリーエと大臣二人が互いの顔を見やった。
典礼卿が重ねて指摘した。
「夫人も承知していようが国は貴族家の縁組に介入できない。当然レウリアーダが否と言えばそれまでだ」
典礼卿のそれは言外に「ただし相応の禍根を残すだろうが」と示唆していた。
リーウィアはその示唆を正しく汲み取ったうえで説得を試みることにした。
「アンネリーエ様のご指摘のとおり、この縁組を主導したのは私です」
リーウィアが追求すべきは家門の利益である。だからこそリグとクロエの取り込みを秘密裏に画策したのだ。
二人のことはできることなら明かしたくなかった。
しかしさすがに国益を損ねているとあってはそうも言っていられない。
この局面で隠そうものなら、それこそ国とレウリアーダのあいだに禍根を残すことになりかねないだろう。
「そして私はラングレン夫妻を確実に取り込むため、魔導卿閣下を引き込みました。これは私たちの結婚式の当日から動き出していたことです」
「ラングレン卿になにがある? 今の話を聞いて夫人には執念じみたものさえ感じるのだが」
外務卿の疑問は道理だ。
「ラングレン卿だけではありません。かの夫婦は両名ともに希少な人材なのです。まず夫のリグ卿ですが、彼の魔種としての器はシュミット卿に比肩するものをお持ちです」
三人が一様に眉をひそめた。
その反応を受け、リーウィアは軽く首を傾けてみせた。
「国はすでに把握されていると思っていたのですが?」
「ラングレン卿が魔種であることは無論承知している。ただ、我が国の王宮魔導師を以ってしても〝そこまでの目〟は持っておらん。その見立てはヨラン殿と辺境伯のものであろうか?」
「はい」
「であるなら確実か……」
尋ねた外務卿を始め、アンネリーエと典礼卿の顔にも納得の色が広がった。
それだけの力を持つ魔種を見つけたなら取り込みを画策してもなんらおかしなことではない、そう思ってもらえているなら重畳だ。
「続けます。妻クロエ様の方が希少性が高いかもしれません。彼女は私やテレシア様と同質の魔力を備えておいでです」
これには三人が一様に目を剥いた。
「間違いないのですか?」
「ヨランお祖父様と旦那様が見誤るとお思いですか?」
「それは……そうですね」
アンネリーエが苦笑いした。
それぞれテレシアとリーウィアを妻に持つ上澄みの魔種たちだ。リグのこと以上に見誤るはずがなかった。
「道理でヨラン殿が嬉々として養女に迎えるわけだ」
「私など『貴様は儂と娘の仲を引き裂こうとでも言うのか? なあ? 外務卿よ』と凄まれたうえに屋敷を追い出されたのだぞ?」
「魔王殿のせいだな」
「散々だわ」
「次また私のことを魔王などとお呼びになろうものなら、ヨランお祖父様と旦那様に告げ口いたします」
愚痴っている典礼卿と外務卿に、ついにリーウィアは最後通牒を突きつけた。
「夫人はグランフェルトを滅ぼすつもりか?」
「あの二人に暴れられてはなにも残らんぞ?」
「そのくらいやってこその魔王ではございませんか?」
「みずから言うておるではないか」
「やめぬか、典礼卿。怒らせるな」
リーウィアは大臣たちを捨て置きアンネリーエに向けて続けた。
「もっとも私とは違い、クロエ様の魔力はどちらかというとテレシア様に似ていらっしゃるそうです。それでも別物だそうですが、私には共有できない感覚ですので」
「魔種を魅了するという性質を持っていると」
「魔力を調律する力も併せ持っていらっしゃいます」
そこでリーウィアは、みずからが覚えている使命感を三人に明かした。
自身が持つ魔力の性質を解き明かし、たとえそれが叶わずとも似た力を持つ人たちを見つけ出す方法を確立したい、それが苦しむ魔種たちへの一助になるだろうという考えのことだ。
「クロエ様がいてくだされば私と比較検証することができます。
もちろんそれは目的の一つに過ぎません。彼女を囲い込むことで当家が益を得られる機会もございましょう。
事実、クロエ様は魔導卿の娘となり、リグ卿は当家の一門となりました。
ルインヴェルク家とレウリアーダ家は今や縁戚なのです。
クロエ様でなければ、ヨランお祖父様が養女に迎えるなど考えられなかったことです」
ルインヴェルク家と縁戚になる。
そこから得られる政治的利益は決して小さなものではない。
この一点だけ取り上げても、レウリアーダ家はラングレン夫妻を取り込んだことへの見返りを十分に得られているのだ。
無論リーウィアはそれだけで満足などしていない。
これからじっくりと活用法を練り、二人にはこのさきも多くの利益をもたらしてもらうつもりでいる。
ヴェステリア公国の開発事業もそのうちの一つだ。
リグとクロエには幸せになってもらい、レウリアーダも美味しい思いをする。じつに喜ばしいことだ。
「ねえ、リーウィア。これは素朴な疑問なのだけど」
「なんでしょう」
「そういうまともなことを、どうしてわたくしにはしてくれないのですか?」
「今しているではありませんか」
「していませんよ? あなたがなにをしたかというと、わたくしを謂れのない陰謀論の黒幕に仕立て上げたのです。しかもそうなったのはあなたの放言が原因です。どこがまともなのですか? 言ってご覧なさい」
「アンネリーエ様……」
リーウィアは悲しげに眉をハの字にした。
アンネリーエの主張はわからなくもない。だが彼女ほどの人がどうしてわかってくれないのか。
「それは結果論というものです」
「ついに言いましたね! わたくしが嫌がっているのをわかっているくせに!」
臆面もなく被害者面をするリーウィアに、キレるアンネリーエ。
そんな二人を目の当たりにし、典礼卿と外務卿が肩を寄せてささやき合った。
「話には聞いていたが、想像以上に仲が良いな」
「さりとて殿下が不憫でならぬわ」
典礼卿は素直に驚き、外務卿は今回もろに被害を被っていることもあってアンネリーエに同情的であった。
「妃殿下」
「なんですっ」
「王族とは孤独なものです。心許せる友人は貴重ゆえリーウィア夫人を大事になさいませ」
「この子はわたくしを大事にしてくれないのに……?」
「失言でした。撤回します」
「典礼卿閣下は簡単に納得しないでください。私は潔白です」
リーウィアは話を本筋に戻した。
「このような次第でございますから、当家が縁組を解消することはありません。ヨランお祖父様も同様でしょう。一方で、ラングレン夫妻の性質を把握された今だからこそ、国が新たな懸念を覚えるであろうことは承知しているつもりです」
たとえばリグのことで言えば、レウリアーダ家が有する戦力が強すぎると国から警戒感を抱かれかねない。
彼を国外に置いておくのか、国内に取り込んでしまうのか、理屈としては後者の方が益があるかもしれない。
だがグランフェルトにとって、ヴェステリア公国は想定敵になりづらい小国だ。
ならばリグを公国に据え置いたままの方が良いという考え方があっても不思議ではない。
「しかしそこは私をお信じください。私に辺境伯の制御役をと望んだのは他でもない国でございましょう?
夫ひとりであっても一軍に比肩する戦力なのです。そこにリグ卿という小魔導卿に類する戦力が加わったところでどうだというのです。夫同様に私がクロエ様を通じて制御してみせます。
レウリアーダの戦力が増すということは、そのままグランフェルトの戦力が増すということに他なりません。
私リーウィア・レウリアーダをお信じくださる限りは、ですが」
数秒の沈黙を経ても両大臣は無言のままだ。
それを受け、アンネリーエが決を下した。
「わたくしから国王陛下に御意を賜ります。両名ともそれで構いませんか?」
「異論ありません」
「同じく」
「ときにリーウィア。魔力の性質を解き明かすということですが、成果が上がる上がらぬに関わらず、無論わたくしに随時報告をしてくれるのですよね?」
ニコリと微笑みかけてくるアンネリーエに、リーウィアは不本意を隠そうともせず顔をしかめた。
「やっぱりお求めですか? その情報」
「ええ、興味があります」
そこで典礼卿が会話に割って入った。
「過去にテレシア夫人の魔力を解析しようという動きはあったようです」
「初耳です」
「当然かと。今から……五十年? ほど前のことらしいので私も詳しいことは把握しておりませんが、当時は目立った成果を得られなかったと。随分と昔にそういう記録を読んだ覚えがあります」
「今ならまた違った試みができるのではありませんか?」
「まったくの専門外なのでなんとも言えませんが、可能性はあるやもしれませんな」
「文部卿と魔法長官に話を通しておいてください」
「御意」
あっという間にアンネリーエと典礼卿で話が進められてしまい、リーウィアは遅ればせながら待ったをかけた。
「お待ちください。私とクロエ様は実験動物ではないのですよ」
「あなただって自分の秘密を解き明かしたいでしょう? 安心なさい、人道に反することはしないようしっかりと申し付けます」
「そういう問題ではないのですけど……」
「ではどういう問題なのです。無償で国が有する叡智を使えるのです。むしろ御礼を言うべきところではありませんか?」
「私欲ではありませんか」
「なにを馬鹿なことを。王太子妃に私欲などありません。わたくしが求めるものとは即ち、万事が国家国民に資するものでしかないのです。なんでしたら命じますけど?」
「お家に持ち帰らせていただきますね」
「構いませんけど、嫌だからといってイェルド殿に泣きつくのはなしですからね」
「く……」
「そのくらいお見通しです」
リーウィアは話題そらしを兼ねて次の話題に移った。
「関連してロッシュフィルト公子のことも献策いたします。彼が私を訪ねて来たのはまさに私の魔力の秘密を解き明かさんとしてのことです」
リーウィアはディートリヒが訪れたときのことを三人に話して聞かせた。
この問題を解決すること自体は容易だ。披露宴のときと同様に強制送還すれば良いだけのことなのだから。
だがそれではグランフェルトに損はなくとも旨味もない。
「解決策をご提案する前に少し整理させてください。
公子のことは一旦置きましょう。
外務卿閣下はイグサーマクとの交渉のなかでどういった点を重視されておられますか?」
外務卿の考えを把握することは重要だ。
彼が主導してイグサーマク王国との交渉を行っている。
交渉の推移や向こうの温度感などをリーウィアは把握しておらず、また、グランフェルトが目指している着地点も知らない。
リーウィアは続ける。
「我が国がイグサーマクとの交渉を通じてなんらかの利益を獲得することは論じるまでもないことです。
ただその内容について私はほとんど関心を持っておりません。
それはすでに国に委ねたことでございますし、どういう結果が出ようとレウリアーダは受け入れるまでのことです。
私が把握しておきたいのはそうした当然のことではなく、グランフェルトのイグサーマクに対する政治姿勢です」
イグサーマクとは数ヶ月前に講和したばかりだ。
恐らくないと思うが、イグサーマクとの再戦も辞さずという強硬な姿勢なのか、そうではなく無難なところで収めたいのか。
利益を得るという目的は同じでも前者と後者では打てる手、打つべき手が異なってくるだろう。
「速度だ」
外務卿の答えは極めて簡潔であった。
「当初はじっくりと腰を据えて限界までむしり取ってやろうと思っていた。
レウリアーダの面子もあるからな。手ぬるい決着とするつもりは毛頭なかった。
だが夫人もすでに承知しているとおり、グランフェルトは図らずも複数の周辺国とのあいだに不和の芽を抱えざるを得なくなってしまった。
ゆえにイグサーマクとの交渉は早いところ目処をつけたい。これが本音ではある。
だが一方で我が国が譲歩することは決してない。そも譲る道理がなく、また譲った場合、少なからず失うものがあるからだ」
外務卿はわざわざ口にしなかったが、失うものとは本来得られるはずだった利益やグランフェルトの国威を指してのものだろう。
リーウィアは疑問の余地なく納得し、深い首肯を返した。
「であるなら私に一案がございます。公子を人質としましょう」
無害そうな見た目を裏切る先鋭的な献策を受け、三人が揃って目を剥いた。
「公子は自発的に当家を訪れたに過ぎず、当家やグランフェルトが拐ったわけではありません。
結婚式と披露宴、さらには今回と、公子は三度にわたって私とレウリアーダに迷惑をかけ、両国関係を悪化させています。
イグサーマク王国とロッシュフィルト家は責任を問われて然るべきでしょう」
結婚式のときは儀礼的な措置として強制送還で済まされたのだ。
そのうえでの今回である。こちら側で直接的な処分を示唆しても道義にもとることはない。
「私は公子を人質とすることでイグサーマクは譲歩すると考えます。
彼はイグサーマク王の姪孫です。王たるものが身内の処分を他国に委ねたとあっては面子を損ねます」
イグサーマク国内では、かねてより公子の厳罰を求める声が上がっていたはずだ。にもかかわらず蟄居謹慎で済んでいるのは、王か公爵家、あるいはその双方が彼を庇っていると推察する。
「このような状況下で公子は愚かにも当家を訪れてしまいました。彼を非難する声は高まる一方でしょう。
王や公爵家がこれ以上彼を庇いきれるかは不透明です。しかし仮に処罰するとしても、それは王の手で行われねばなりません」
ディートリヒを特使に任じたのはイグサーマク王だ。
その彼が都合三度にわたって国益を損ねている。
だが、任命権者である王は公子を処罰しないばかりか管理すらまともにできない体たらくときている。
現時点ですでに面子を大いに損ねているというのに、そこへさらに身内の処分を他国に譲ったとなれば、国内貴族のみならず周辺国からも嘲り笑われることは避けられない。
なんだったらグランフェルトが笑ってやれば良いのだ。
「――情けない王だなと」
イグサーマクは国の面子を懸けてディートリヒを取り戻さねばならない。
彼をどう処罰するかは、身柄を取り返したのちに論ずべきことだ。
ゆえにイグサーマクは譲歩するとリーウィアは読む。
「もし万一それでも譲歩しないようであれば公子を当家で飼い慣らしても構いません。私ならそれが可能です」
仮にディートリヒが国から見捨てられようとも命を奪う必要はない。過酷な刑を課すこともないと思う。
そんなことをしたところで何一つ利益を生まないのだから。
「使いどころは色々あると思いますよ。政治的にも戦力的にも。公子はまだお若いのですから染める――失礼、正しき道を説いて差し上げるくらいはしても良いのではないでしょうか」
「まだ若いなどと。一つしか歳が違わないあなたが言いますか?」
呆れるアンネリーエに、リーウィアは薄く微笑み返し、それから外務卿へ向けて献策を結んだ。
「いかがでございましょう。これならば外務卿閣下がお求めの〝速度〟を満たせるのではないかと。たださすがに国王陛下のご裁可を得る必要があるとは存じますが」
アンネリーエと典礼卿が自然と外務卿に目を向けた。
暫く黙考の時間を経て、外務卿は腹が決まったのか簡潔に答えた。
「夫人の案で行こう。良い献策だ」
「畏れ入ります」
「ちなみにだが、対イグサーマクとの交渉については私に一任されておるゆえ、陛下にご裁可を仰ぐ必要はない――おい」
外務卿に呼ばれ、彼が伴ってきていた男性が近づいてきた。
恐らく秘書官だろう。
「話は聞いていたな? イグサーマクの大使館に人をやって今すぐシュタインベルク卿を引っ張ってこい。拒むようなら『公子の処遇を一任されたと受け止める』とでも言ってやれ」
「ただちに」
男性が足早に部屋を出ていくと、外務卿はリーウィアにさらりと告げた。
「夫人も会談の場に同席してくれ。レウリアーダ家の代表者として公子の身柄を確保している証言をしてもらいたい」
「…………」
リーウィアは目を丸くし、たっぷり五秒ほど固まってから神妙な面持ちで答えた。
「……お断りします。どうして一介の貴族家夫人が国家の外交交渉の場に同席しなくてはならないのです。私の証言などなくとも当家に人を出すなり大使がみずから来るなりしてくだされば済む話ではないですか」
「公子は性懲りもなく、またもや夫人を目当てに問題を起こしている。被害者たる貴女がただその場に居るだけで大使にとっては大きな圧力となるのだ」
リーウィアは助けを求めてアンネリーエを見た――が、
「お願いするわね」
「あ、殿下も同席をお願いします」
「どうしてわたくしまで!?」
「懐刀たる夫人が二度にわたって被害を受けているのです。殿下が出張ってこそグランフェルトの怒りが伝わるというものではありませんか」
「閣下の言うとおりです! アンネリーエ様は黒幕ではありませんか!」
「黒幕は表に出ないものでしょう!?」
「アンネリーエ様はガンガン前に出ていく新時代の黒幕なのです! 固定観念に囚われないでください!」
「ガンガン前に出たらすぐに正体が割れるではないですか! そんな脇の甘い黒幕がいますか!?」
「陽の光のもとで堂々と暗躍する! これこそが新時代の黒幕なのですよ!」
「そんなの黒幕でもなんでもありません! 居直っているただの悪人ではないですか! 結局あなたは心細いのと、もしものときの盾としてわたくしを巻き込みたいだけでしょう!?」
さすがはアンネリーエだ。リーウィアの小心をきっちり看破していた。
「アンネリーエ様ぁ……」
リーウィアは胸の前で手を組んでうるうるとした(風の)目でアンネリーエに訴えかけた。
「そのような顔をしても……可愛いですね」
「アンネリーエ様だけが頼りなのです」
アンネリーエは本日何度目かもわからない深い溜息を吐き、手に持つ扇子(一度床に叩きつけたが侍女が拾ってくれていた)をパチンと音を立てて閉じた。
「……いいでしょう。同席します。ただし条件があります」
「お聞きします」
「わたくしは一言も喋りません。ただ同席だけして冷ややかな視線を送るだけの置物に徹します。交渉はすべてあなたと外務卿で進めなさい」
「黒幕っぽくて良うございます。私も手下らしく喋らないことにしますね」
「それは困るのだが……」
そうぼやきながらも外務卿が話題を変えた。
「さて、これで夫人が申したとおり三つの案件にひとまずの目処がついたわけだが」
リーウィアは自然と察した。
「魔種流出問題でございますね」




