連動
違いは、最初の一振りで分かった。
軽いわけでもない。
鋭いわけでもない。
だが。
止まらない。
振り下ろした後、そのまま次の動きに繋がる。
意識しなくても、身体が続く。
「……なんだこれ」
ウォーテンは小さく呟いた。
―――
「新しい剣、どう?」
マーニャが横目で見る。
「……悪くない」
ウォーテンは短く答えた。
嘘ではない。
だが、それ以上の言葉が見つからない。
強いとは思わない。
でも振れば振るほど馴染んでいく。
「じゃあ、試してみましょ」
マーニャが杖を構える。
「前に出て」
「うん」
ウォーテンは頷き、前へ出た。
―――
魔物は三体。
いつも通りの規模。
いつも通りの配置。
ナレンの矢が一体を落とす。
マーニャの魔法が一体を牽制する。
残り一体が、ウォーテンに向かってくる。
受ける。
弾く。
踏み込む。
剣が、止まらない。
以前なら一度区切っていた動きが、そのまま繋がる。
無理に力を入れなくても、刃が届く。
呼吸の乱れがない。
その結果、戦いを俯瞰して観れている。
魔物の動きが鈍る。
「今!」
ナレンの矢が刺さる。
ウォーテンは最後に一撃入れた。
「……終わり」
息を整える。
疲労はある、が、いつもより楽な気がする。
「なんか、変わった?」
マーニャが近づく。
「……分からない」
ウォーテンは正直に言った。
「でも、無駄が減った気がする」
ナレンが短く言う。
「動きが途切れてない」
リルクも頷いた。
「前より安定してる」
ウォーテンは剣を見た。
「……合ってる」
小さく呟く。
―――
戦いは続いた。
今度はアンデッドだったが、ウォーテンの動きは
止まらない。
「あれ?」
リルクは不思議に思った。
アンデッド用のバフをまだかけてないのに斬れている。
自分のバフを重ねてかけたらさらにダメージが上がった。
次の敵は氷属性の妖精。
またも火属性のバフをかけなくても妖精を斬りつけている。
「あの剣、もしかして…」
さらに回復魔法をかけるタイミングが今までよりも長く
なっている。
慎重なリルクは前もって回復しているが、それでも…。
その分、自分を含めて他のメンバーの回復に専念でき、
パーティとしては安定感が増していた。
「あれだけ動いてるのにほぼ無傷じゃない」
マーニャが呆れる。
ナレンは矢を整えながら言った。
「無理がない」
ウォーテンは少しだけ考えた。
「……強くなってるのかな」
誰に聞くでもなく言う。
マーニャが即答する。
「なってるわよ。その剣、もしかして魔法の剣じゃない?」
「確かにそうかも。今日は寒かったけど、オーギュレイが
ほんのり暖かくなって動きやすかったんだ」
「ほんのりって何よ!なにその無駄な性能!」
マーニャのツッコミが入る。
「いや、それだけじゃないよ。その剣、微弱だけど全属性
持ちなんじゃないかな」
リルクが穏やかに言う。
「え、凄い!?…の?微弱?」
「確かにバフをかけた方が強いけど、微弱でも全属性なら
初動が違うよ。待ちが発生しないからね」
確かにいつもは魔法生物が相手の時はリルクのバフを待って
からの攻撃だった。
「俺へのバフが先だったから先手が打てた」
ナレンか呟く。
「それと…」
「その剣、微弱ながら自動回復付きかも」
「え、それって凄い!?…の?微弱?」
マーニャがまた微妙な顔をする。
リルクは微笑みながら答えた。
「斬られたり魔法ダメージをすぐ回復はしないけど、呼吸
を整えてるんじゃないかな?ウォーテン、どう?」
「確かにいつもより動きやすかった。次の動作へはスムー
ズにいけた気がする」
「ちょっと、呼吸とか気がするとか微弱とか本当に大丈夫
なの?なんか紛い物じゃない?そんなのに全財産なんて」
マーニャは呆れていた。
「でも、その性能のおかけで戦闘がたいぶ楽になったよ。ウォーテンへの行動が減って君達に集中できたから」
「そ、そうだけど…」
「確かに」
マーニャとナレンは先頭を思い出していた。
ウォーテンはオーギュレイを見つめている。
―――
夜。
焚き火の前で、剣を手入れする。
布で拭く。
だが、ほとんど汚れていない。
ウォーテンは剣を鞘に収めた。
強さを求めればこの性能はまぁまぁにしかならない。
でもこの性能があれば、仲間の負担が減る。
それは自分の求めていた強さだった。




