その2 魔法の変身アイテムを探せ?
みなさん、こんにちは。相羽のりこです。
突然ですが、みなさんにお伝えしたいことがあります。
ミント・ハリケーンは、本当に魔女なのかもしれません。
私は、今、空を飛んでいます。
魔法のUFOに乗って。
・・・・科学は、科学はどこ行った!?
順を追って、説明しよう。
なぜ、こんなことになっているのかというと、私が昨日、ミントの変身ポーズに駄目だししたからだ。
違う! 自業自得なんかじゃない! 絶対に!
昨日はあの後、夕ご飯の時間まで、新しい変身ポーズの考案につき合わされた。
「他の魔法少女とは、一線を画する、斬新なポーズを!」とか言いながら、ミントが披露した変身ポーズは、どれも怪しげな海草踊りにしか見えなかった。明らかに一線を画しているし、ある意味斬新だとは思う。
いろいろあきらめて、というかどうでもよくなって、仁王立ちが一番斬新だと思うとい言いかけたところで、ミントが突然「そう言えば、世の魔法少女たちは、変身するときに何かアイテムを使っていた気がする」とか言い始めた。キラキラした瞳で。
言われてみれば、そんな気もするなーとか思っていたら、ミントの浮かれた声が聞こえてきた。
「新しいペンギングッズ買いに行こう♪ 経費で落とせる。やったー♪」
経費で、変身アイテムを買う魔法少女。
夢も希望もないな。
まあ、そんな理由で、買い物に行くことになったわけだ。
さすがに、昨日はもう時間も遅かったので、あきらめさせましたが。ええ、あきらめさせました。今日なら、始業式が午前中にあるだけで、午後は丸々買い物に使えるからってことで、なんとか説得したよ。
万葉女子高は割と山のほうにあって、バスの本数も少ないので、外出するのは結構面倒なんだけど、魔法で特別な乗り物を用意したとか言われて、ちょっと興味をひかれたんだよね。
それで、ついうかうかと、寮の裏手の茂みの奥に連れて行かれてしまったわけです。
その茂みの奥で、ミントは周囲に人がいないことを確認すると、
「いでよ、UFO!」
・・・・なにか、適当っぽい呪文を唱えた。
ぼふん、と白煙が立ち込め、煙が晴れると二人掛けサイズのUFOが現れる。
今更だが、この娘には本当にセンスがない。そして、これしか演出を知らんのか?
UFOは、よく遊園地とかで見かける、100円とか200円とか入れると、その場で上下とか前後にガコンガコン動き出す、小さいお子様向けの乗り物、あんな感じだった。
「魔法のUFOだよ。さ、乗って、乗って!」
すでに乗船(乗車?)済みのミントに促され、隣に乗り込む。
「シートベルトしてね」
シートベルト? あ、ほんとだ、ある。とりあえず、装着。
・・・ていうか、ハンドル・・・とか、運転するために必要と思われるものが、どこにも見当たらないんだけど。100円硬貨を入れる場所とかも、見当たらないんだけど。どうやって動くの、これ?
とか思っていたらば。
「着けた?じゃ、出発!」
という、ミントの掛け声とともに、UFOは空を飛んだ。
ふよふよしながら、ゆっくりと垂直に上昇し、ここから落ちたら確実に死ぬなと思える高さで、一端停止。繁華街の辺りに方角を定めると、微妙な速度で進みだした。・・・自転車くらいの速さ?
てゆうか。ほうきとか掃除機とか絨毯とか。空飛ぶ魔法の乗り物は、ほかにもいろいろあるとゆうのに、なぜこれを選んだ・・・。
確かにUFOは空を飛ぶ乗り物だけどさ。
しかし、これ・・・。もう、手品じゃないよね? ピアノ線で吊るす・・・? いやいや、どっから吊るすんだよ。
一人静かにパニくってたら、ミントが話しかけてきた。
「安心して、のりこ。このUFOは、霊感とか魔力が強い人以外には、見えないように設定してあるから」
なんだ、その中途半端な設定。
「あと、霊感の強い人たちにも、私たち二人の姿は、銀色で目が大きいタイプの宇宙人に見えるようにしてあるから」
いらんことをするな。
まあ、そんな感じで、初の空中散歩は、私の中に『ミントは本当に魔女なのかもしれない』という疑念を残して、よく分からないうちに終わった。
疑念も何も、ミントは初めから、全肯定なわけですが。
いい年して、あっさり魔女とか信じちゃうのも、なんだか、自分的に納得いかないといいますか。空まで飛んでおいて、往生際が悪い様な気もしないではないけど。
寮の自分の部屋に戻ってくると、さっきまでのことは、夢か何かなんじゃないかって気もしてくるんだよね・・・・。
まあ、世の中、なんでも白黒はっきりつければ、いいってもんでもないよね。うん。
ちなみに、この日、ミントは変身アイテムを手に入れることはなかった。さんざん街をさまよったあげく、ペンギン柄のマグカップを一つお買い上げした。本人は、満足したみたいだったけど。
・・・・魔法少女、関係ないし。




