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幸福システムで人生逆転~日常編~  作者: 夜空 星龍


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11/14

鷹瀬冴華と学食①

 午前の講義を終えた天城龍太は学食で昼食を食べようとしているところだった。


「何を食べようかな?」


 食券機の前に並び、何を食べようかと悩んでいた。

 

「もしかして、天城君?」

 

 名前を呼ばれた気がして振り返ってみると、鷹瀬冴華が立っていた。


「あっ、鷹瀬さん。どうも・・・・・・」

「こんにちは」


 冴華とは、あの日以来の再会だったので、龍太は顔を合わすのがなんだか気まずいと思っていた。

 

「今からご飯?」

「ですね。鷹瀬さんもですか?」

「えぇ」

「そうなんですね」

「ねぇ、せっかくだから一緒に食べない?」

「えっ・・・・・・」

「ダメかしら?」

「い、いえ、そんなことはないです。いいですよ」

「よかったわ」


 しかし、冴華はそんなことないらしく龍太と普通に接していた。

 

「何を食べようとしてたの?」

「迷い中です」

「どれで迷ってるの?」

「えっと、日替わり定食か冷やし中華です」


 今日の日替わり定食はハンバーグ定食で、龍太はハンバーグが大好きだった。

 もう一つ悩んでいた冷やし中華は今日から夏の間限定のメニューで、学食の冷やし中華は絶品だった。

 だから、龍太は悩んでいた。

 

「どっちも美味しいの?」

「ですね。今日の日替わりがハンバーグじゃなかったら、迷いなく冷やし中華を選ぶんですけどね」

「そうなのね」

「鷹瀬さんは何にするか決まりましたか?」

「決まったわ」

「何にします?」

「冷やし中華にしてみるわ」

「いいですね。俺はどうしようかな」

「ねぇ、私が冷やし中華を注文するから、天城はハンバーグ定食を注文して私と半分こにするっていうのはどうかしら?」

「それいいですね。鷹瀬さんがそれでいいなら、俺は大丈夫です」

「じゃあ、そうしましょう」


 そう言って、冴華が食券機の中にお金を入れて、ハンバーグ定食と冷やし中華の食券を購入した。

 

「あの、お金・・・・・・」

「大丈夫よ。この前のお礼ってことにしといて」

「いやいや、お礼なら・・・・・・」


 おっぱいを触らせてもらったじゃないですか、と言おうとして龍太はやめた。

 なぜなら、周りにたくさん人がいたからだ。

 

「ほら、行くわよ」

「は、はい」


 冴華は先に歩き出すと受付にいた食堂のおばちゃんにハンバーグ定食と冷やし中華の食券を渡した。


「あそこが空いてるわね」


 お昼時の学食はかなり混むが運良く席が空いていた。

 龍太たちはその空いていた席に座って料理が出来上がるのを待った。


「学食に来るの久しぶりだわ」

「そうなんですか?」

「えぇ、大学にほとんど来ないし、来たとしてもずっと研究室にいるからね」


 だからこの数日間、冴華に会うことができなかったのかと龍太は思った。


【クエスト内容】

 鷹瀬冴華にあ〜んをする


【クリア報酬】

 鷹瀬冴華の好感度+5% 

 50万円


【クエスト失敗時】

 鷹瀬冴華の好感度−5%


 クエストが発生した。  

(あ〜んをするってマジか・・・・・・)

 これが冴華以外のルナや梨花や香澄だったら(ルナはノリが良い。梨花や香澄はバイト仲間でそれなりの関係値を築けている)、何の迷いもなく行うことができるだろうけど、まだ会って二回目の冴華にまるで恋人のような行動をするのはさすがに少しだけ抵抗がある。

 だからって、それがクエストをしない理由にはならないので、龍太は覚悟を決めた。

 クリアすれば冴華の好感度が上がるのだから、少なくとも冴華に変な目で見られることはないだろ。


「そうなんですね。やっぱり、卒論って大変ですか?」

「そうね。といっても、私はまだ楽な方だけどね。週に二日くらいしか研究室に行かなくていいから。私の友達とかは毎日のように研究室で実験してるなんて子もいるわよ」

「マジですか? それは大変ですね」


 テーブルの上に置いていた料理が出来上がったことを知らせる呼び出し機がピピピっと鳴った。


「料理が出来たみたいね」

「俺が取ってきますよ」

「大丈夫? 二つ持てる?」

「大丈夫です。任せてください」

「じゃあ、お願いしようかしら」


 龍太は呼び出し機を持って受付に向かった。

 呼び出し機と料理を交換して、龍太はハンバーグ定食と冷やし中華の乗ったお盆を持った。

 バイト先で同時に二つの料理を運ぶということを日常的に行なっているので、龍太は何の問題もなく冴華の待つテーブルに料理を運び終えた。


「お待たせしました」

「ありがとう」


 龍太は冷やし中華を冴華の前に置いた。


「重たくなかった?」

「大丈夫ですよ。バイトで慣れてますから」

「何のバイトをしてるの?」

「カフェです」

「へぇ、そうなのね。ちなみにどこのカフェ?」

「Cafe Lumiereっていうところです。知ってますか?」

「ごめんなさい。知らないわ」

「そうですか。もし、時間があったら、卒論の息抜きにでも来てください。店長の作るカフェオレが絶品ですから」

「そうなのね。また、伺わせてもらうわ」

「ぜひ。それじゃあ、ご飯食べます?」

「そうね。食べましょうか」


 龍太たちは、いただきますをして食事を始めた。

(さて、どのタイミングでクエストをしよう)

 冴華が龍太のあ〜んを受け入れてくれないとクエストはクリアにはならないはずだ。

(受け入れてくれるわけねぇよな)

 冴華が龍太のあ〜ん受け入れてくれる姿が全く想像できなかったが、やるしかないと龍太は当たって砕けろの精神でいくことにした。


「鷹瀬さん。あ、あ〜ん」


 龍太はハンバーグを一口サイズに切り分けて、冴華にあ〜んと差し出すと、冴華は驚いた顔で目をパチパチとさせて固まった。

 

「す、すみません。いきなりこんなことされても困りますよね」


 さすがに無理があったかと思い差し出した手を引っ込めようとしたら、冴華は恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めて、龍太が差し出していたハンバーグをパクっと食べた。

 冴華が龍太のあ〜んを受け入れたことによりクエストをクリアした【現在の鷹瀬冴華の好感度25%】。

 まさか冴華が食べるとは思っていなかった。

 完全に予想外の展開に龍太は箸を差し出したまま固まった。


「男の人にこんなことされるの初めてだわ」

「まさか食べてくれるなんて思いませんでした」

「食べない方がよかった?」

「いえ、食べてもらえて嬉しいです」

「そう」


 冴華は満更でもない笑みを浮かべた。

 そして、龍太のハンバーグを一口サイズに切って、お返しと言わんばかりに龍太に向かって差し出した。


「お返しよ。あ~ん」

「い、いいんですか?」

「いいわよ」

「じゃ、じゃあ・・・・・・」


 龍太は冴華が差し出していたハンバーグを食べた。

 

「どう?」

「お、美味しいですね」


 初めてのあ〜んに龍太は何とも言えない気持ちになった。

 

「世の中の恋人たちはこんなことを日常的にしてるのね」

「そ、そうですね」


 とは言ったものの龍太も女性にあ〜んをするのは初めてのことだった。

 香奈子は恋人らしいことは何もさせてくれなかったから。


「あれ、冴華じゃん〜! 学食でご飯食べてるのなんて珍しいね〜! て、冴華が男の子と一緒にいる!?」


☆☆☆

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