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エピソード7:聖人君主に光あれ!!④

 12月25日、時刻は20時30分を過ぎた頃。

 『仙台支局』内に全員が戻ってきたところで、政宗が皆の前に立ち、改めて全体を見渡す。

「みんな、少し早いけど……1年間、本当にお疲れ様でした。今日は少しでも楽しんでもらえればと思ってます」

 そう語る彼の頭には、事前に調達していたサンタの帽子。スーツとの見た目のアンバランスさが面白いことになっているが、それも今日は全て御愛嬌だ。

 その手には、黒い炭酸飲料の入った紙コップが握られていた。そして、彼を見ている全員の手にも、お茶やジュースなどの飲み物が入った紙コップがある。

 全員に飲み物が行き渡ったことを確認した政宗は、満面の笑みで開会を告げた。


「まぁ、堅苦しい挨拶はこれくらいにして……寒い中お疲れさまっした!! 乾杯!!」


 その声を合図に、ユカも隣にいた統治と紙コップで乾杯を。すぐに里穂が割り込んできて「ケッカさん、うち兄、お疲れさまっすー!!」と、中身が零れそうな勢いでコップをぶつけてきた。

 普段は応接用のテーブルに、オードブルやサンドイッチ、巻き寿司、串団子、カップケーキといった料理が並んでいる。ユカがどれをもらおうかと真剣に思案していると、横から櫻子が紙皿を用意してくれた。

「ユカちゃん、これを使ってください」

「ありがとうございます。ちゃんと可愛いお皿ですね。これも櫻子さんが用意してくれたんですか?」

 ユカの手元にあるのは、クリスマスリースのイラストが描かれた紙皿。ユカはこの会の準備に一切携わっていなかったので、新鮮な気分でそれを見つめる。

 櫻子は「いいえ」と首を横に振ると、少し離れた場所で瑞希と環へサンタ帽を配布している政宗へと視線を向けた。

「佐藤さんですよ」

「へぇ……いつの間に」

 律儀だな、と、彼の方を見ながら呟くと、ユカの視線に気付いた政宗が、口元に笑みを浮かべて近づいてきた。

 そして。

「ケッカもコレ、被らないとだな」

 そう言って、ユカが被っているニット帽の上から、サンタ帽をかぶせる。

「えー!? あたし、既にニット帽被っとるやんねー」

「別にいいだろ? そんなに重たいもんでもないし。似合ってるぞー」

「ったく……」

 ユカがため息をつく横で、サンタ帽を受け取った櫻子がウキウキした表情でそれを被っていた。

「まぁ……いっか」

 今はこの楽しい雰囲気に流されることにして、とりあえずたまごサンド2つとからあげ3つ、フライドポテトを数本、紙皿の上にキープする。そして、サンドイッチを頬張りながら……ふと、気になることがあり、瞬きをして視界を切り替えた。

 すると……。


「クリパー!! マジクリパー!!」」

「若い子は元気でいいわねぇ……」


 視線を上げた先、頭上では、ミニスカートのサンタクロースの格好で缶ジュースを掲げる空と、ビールジョッキを片手に和服姿で悠然と漂う分町ママの姿があった。

 複数の気配を感じていたから、もしや……と、思っていた。こんなに和洋折衷の様相だとは思っていなかったけれど。

「分町ママ、お久しぶりです。来てたんですね」

 つい先月まで、『仙台支局』の親痕としてサポートをしてくれていた分町ママは、その役割を空へ譲り、今は名杙本家の親痕として、現当主の指示のもと、県内全域を見回ったり、お酒を飲んだり、宴会に参加したりしていると聞いていた。ユカもこうして会うのは久しぶりだ。

 もぐもぐと口を動かすユカを見やり、分町ママは悠然と口を開く。

「そりゃあ来るわよ、宴会だもの」

「んぐ……ですよね。川瀬さんも、色々とありがとうございました。本当に助かってますから」

 サンドイッチを飲み込んだユカが改めて謝辞を述べると、空は「そういうのマジでいいよー」と、どこか照れくさそうに目を細めて。

「アタシはほら、アレが見れるだけで満足だからさっ」

 そう言って、壁を指差す。そこには、ポストカードサイズのキャンパスに描かれたクリスマスツリーのイラストが、フォトフレームに収められて飾られていた。

 優しい色合いとタッチで描かれたそれは、政宗の友人で、生前の空とも知り合いだった青年・瀬川翼が描いたもの。絵手紙が得意な彼は、政宗との()()で、定期的に新作を描いて渡すことになっているのだ。

「アレがもう、マジでクリプレ。最高。尊い」

「それは良かったわねぇ。要するに……飲むしかないってことよねぇ」

「そーだね!! のまのまイェイ!!」

 そう言って持っていた飲み物を掲げる2人に、ユカはこれ以上何も言わず……唐揚げを口に入れた。

 櫻子が調達してきてくれた食事は、運ぶ作業を華蓮も手伝ったと聞いている。そんな華蓮は数メートル離れた場所で、政宗から強制的にサンタ帽を与えられていた。

「はい、片倉さんも。来年もよろしくね」

「……さっさと縁を切ってくださって構わないんですけど」

「それを決めるのは俺じゃないからさ。まぁ、伊達先生にでも進言しておけばいいんじゃないかな」

 政宗は適当にこう言うと、満足そうな表情で華蓮の側から離れていった。

 今の言葉を聞いて、ユカは今更、気付いたことがある。

「そういえば……伊達先生、()んかったんやね……」

 飛び入り参加するんじゃないかと思っていた聖人の姿が見当たらない。ユカは談笑している統治と櫻子の方へ近づき、ポテトをつまみながら問いかけた。

「ねぇ統治、伊達先生って今日は来んと?」

 ユカの質問に、統治がサンタ帽の位置を調整しながら「ああ」と頷いて。

「この時期は外来が忙しく、診療の終わりが19時近くになることもあるそうだ。そこから院内の消毒や清掃もあるから参加できないと、佐藤に連絡が入ったらしい」

「そうだったんやね……櫻子さんは抜けてきて大丈夫ですか?」

 同じ病院で働いている櫻子へ視線を向けると、彼女が「私は……」と、どこか申し訳無さそうな表情で事情を告げる。

「今日は実家の病院で小児病棟のクリスマス会に参加していたので、富谷のクリニックには行かなかったんです。以前から決まっていたことなんですけどね……」

「なるほど……富沢さんも忙しいんやろうね」

 師走の冬空の下、忙しいのは自分たちだけではないこと、それぞれの忙しさがあることを改めて実感していた。

 そして……。

「来年は……あたし、どこで何をしとるんやろうか……」

 もしも、夏明のいう『治療』が順調に進んでいるならば、来年の今頃の自分は、この姿ではないことになる。


 果たして――ここで、五体満足で笑っていられるのだろうか。


 ポツリと呟いた言葉から湧き上がった不安は、サンドイッチと一緒に飲み込むことにする。

 迷いは消えないし、不安は最後まで残るだろう。

 でも……。


「里穂ちゃんと仁義くんも、本当にありがとう。2人がいてくれなかったらと思うとゾッとするよ」

「そう言ってもらえてありがたいっす。私はむしろ、ケッカさんとさっさと結婚しない政さんにゾッとしてるっすよ」

「ヴッ!!」

「里穂!?」


 ……まぁ、大丈夫だろう。多分。

 里穂から辛辣な意見をぶつけられて絶句している政宗を横目で見やり、口の中に残ったサンドイッチをジュースできれいに飲み込んだ。


 その後、心愛が作ってくれた式次第に沿って、クリスマス会は滞りなく進み。


「じゃあそろそろ……お待ちかね、大抽選会タイムだ!!」


 政宗はそう言って自身の足元に用意しておいた、謎の大きな白い袋を背負う。これは先ほど、政宗と統治が近くの量販店で買ってきた謎のプレゼントが人数分入っていた。プレゼントには番号が割り振られており、瑞希が持っているくじ引きを引いて、同じ番号のものと引き換えるルールになっている。

 年齢が若い順番で引いていこう、ということで、環から始まり、心愛、華蓮、里穂、仁義、ユカ、瑞希、統治、政宗の順に、プレゼントの行先が決まっていく。

「……なんこれ」

 ラメ入りのラッピング用の袋から『ホヤの干物』『牡蠣の缶詰』『牛タンジャーキー』を取り出したユカが若干顔をしかめると、後ろからそれを覗き込んだ政宗が、オススメの食べ方を教えてくれた。

「それ、日本酒のアテにピッタリなんだよなー。いいなー」

 その一言で、これを選んだのが誰かを悟ったユカは、顔に嫌悪感をログインさせ、横目で政宗を見やる。

「あたし、お酒はノーサンキューなんやけど……」

「別に酒と一緒じゃなくても美味いぞ。年末にでも食べようぜ」

「ハイハイ……そういう政宗は何が当たったと?」

 振り向いて問いかけるユカに、政宗が掲げたのは……顔パック3種類セット。目を閉じた女性のパッケージと、『お肌が自ら若返る』という謎の宣伝文句が目についた。恐らく選んだのは統治だろう。

 女性の人数が多いことを考慮した一品だったのかもしれないが……引き当てたのは政宗だった。

 政宗はパッケージをしばし見つめた後、真顔でユカにこんなことを言う。

「来年は……スベスベ支局長を目指すべきなのかもしれないな」

 そんなことを言われて、返す言葉など……これしかない。ユカは真顔で返答した。

「ちょっと何言っとるか分からんね」

 

 一方その頃。里穂が立ち尽くす華蓮の脇から彼女が引き当てたプレゼントを見下ろし、目を見開く。

「片倉さん、可愛いぬいぐるみっすね!! 羨ましいっすー!!」

「……そうですか? あとこれ、抱き枕みたいですよ」

 華蓮が引き当てた番号は、両手で抱えるくらいの大きさの羊のぬいぐるみ。タグには『安眠抱き枕』と記載されており、肌触りも悪くない。

 とはいえ……中身は男子高校生(名波蓮)なので、可愛いぬいぐるみ的なものをもらっても、特段嬉しくはない。むしろ……。

「……心愛さんのひざ掛けの方が羨ましいです」

 そう言って心愛へ視線を向ける。心愛が引き当てた番号には、コンパクトに収納して持ち運びが出来る、フリース素材のひざ掛けが紐づいていた。柄はクリスマスの赤と緑のチェックだが、冬の間使うには問題なさそう。図書館での勉強は足元が冷えるため、ちょうどいいものを探していたところだった。

 とはいえ、交換して欲しいわけではなかった。思いついたことを何となく呟いた、それだけの言葉。

 しかし……それを聞き逃す里穂ではない。

「ココちゃーん、片倉さんがそれ、羨ましがってるっすよー」

「名倉さん……!?」

 華蓮が思わず非難じみた声をあげるが、全て後の祭り。里穂の声に近づいてきた心愛が、華蓮を見上げて首を傾げる。

「片倉さん、そうなんですか?」

「え、えぇ……まぁ、これよりは……」

「そうですか? じゃあ……」

 心愛は口元に笑みを浮かべると、小声でこんな提案をする。

「後で……交換してもらえませんか? 心愛、羊さんがいいです」

「え、と……交換して、いいんでしょうか……」

 華蓮が気まずそうに周囲を見渡すと、心愛が「だから」と右手の人差し指を立てて。

「帰り道に交換しましょ。お兄様が見ていないところで。どうですか?」

 そう言っていたずらっぽく笑う心愛の申し出を、断る理由はない。華蓮は肩をすくめて頷くと、ぬいぐるみをそっと、袋の中へ片付ける。

 白いぬいぐるみが汚れてしまったら、心愛に申し訳ないから。


 プレゼント抽選会も終わり、時計の針も22時に近くなってきて。

 政宗は改めて、全員が見える位置に陣取った。そして……それぞれの顔を見て、息を吐く。

「とりあえず、今日はもう夜も遅いからこの辺でお開きにするけど……みんな、本当にありがとう。1年前は、こんな景色、想像もしてなかった」

 こう言った政宗は、統治を見やる。『昨年』をよく知っている彼だけが、目尻を下げて頷いた。


 1年前のクリスマスイブは、政宗と統治、分町ママの3人で、事の対応にあたっていて。


「今年も2人でクリスマスなのー? いい年してつまんないわねー、女の子くらい呼べばいいじゃない」

 懸念事項を片付けて帰宅しようとコートを羽織る政宗の背中に分町ママが呟くが、彼は振り向かずに肩をすくめた。

「いやー、俺、騒がしいのは気心の知れた奴じゃないと無理っていう繊細な若者なんですよ。生憎、酒が飲めるのは統治だけだし……仁義君が20歳になるのを手ぐすね引いて待ってる最中ですね」

「結局男ばっかりじゃない……ま、君がそれでいいならいいけど」

 そう言ってグラスを傾ける分町ママに苦笑いを浮かべていると……不意に、コートのポケットに入れたスマートフォンが振動する。

 統治からの連絡かと思って取り出してみると、LINEが通知したのは意外な相手だった。


「ケッカ……?」


 今は遠く、福岡で働くかつての仲間。久しく会ってはいないけれど、こうして不定期で連絡を取り合っているので、互いの近況は何となくわかっているつもりだった、のだが……。

「……相変わらず、福岡は浮かれてるな」

 メッセージと共に送られた写真を見て、思わず、頬が緩む。

 そこは、サンタの帽子や衣装を着たケッカ――ユカが、同じくサンタの衣装を着たセレナと共に、フライドチキンにかぶりついているという写真だった。


 昨年は写真だけだったユカが、こうして今、『仙台支局』のメンバーとして肩を並べてくれて。

 里穂や仁義、心愛、環という若い才能も育ち、瑞希や空、華蓮という新たなサポートメンバーも加わり、櫻子という外部の協力者も巻き込んで……大変なことも今まで以上にあったけれど、確実に前へ進んでいる実感を得た、そんな1年だった。


 だからこそ。

 来年は今の先へ、掲げた目標の先へ向かいたい。


 政宗は静かに両手を握ると、改めて前を見据えた。


「まだ今年が終わったわけじゃないけど……来年はもっと発展できるように、みんなの力を貸して欲しいんだ。引き続き、よろしくお願いします」

 そう言って頭を下げる彼に、ユカは手を叩くことで同意を示す。統治と櫻子もそれに倣い、すぐに、部屋中に広がっていった。

 温かな音の中心にいる政宗は……顔を上げて、決意を改める。

 来年は必ず、己が最も望む結果を出してみせる、と。


 同時刻、場所は宮城県の中心に位置する大和町(たいわちょう)

 仕事を終え、スーパーで値引きシールの貼られたピザとグラタンを買ってきた聖人は、部屋の電気をつけ、白い息を吐く。主の帰還を待ちわびた部屋は、すっかり冷え込んでいた。

 後ろからついてきた彩衣は、リビングの手前にあるキッチンへ。冷蔵庫の前に立ち、袋の中に入っている要冷蔵の食品を片付ける。

 作業を終えて冷蔵庫の扉を閉め、聖人の方へ近づくと……ポストに入っていた郵便物の仕分けをしていた彼が、必要なものを、テレビ台に置いてあるメールボックス――という名の何でもボックス――へ、ぶち込んだところだった。

 その様子を見ていた彩衣が、「またか……」と言いたげな表情で彼を見つめ。

「……生命保険料控除のハガキ、分からなくなりますよ」

「大丈夫大丈夫」

 聖人がそう言って、箱を手に持って掲げてみせる。百均で購入した、ティッシュ箱ほどの大きさのプラスチックケースには、公的なお知らせから私的なやり取りまで、彼に対する便りが古い順番で積み重なっていた。

「ほら、ここに全部あ――」


 次の瞬間、彼の手元が狂い、中身が半分ほど床に散らばってしまう。


「あぁ~……」

「……」

 ほら見たことか、と、彩衣は視線で訴えつつ、散らばった郵便物を拾い上げ……1枚のハガキが目についたところで、手を止めた。


 彩衣がその葉書を初めて見たのは、もう大分前のこと。場所は今と異なり、利府の聖人の部屋のダイニングテーブルだった。

 目を引いたのは、白いウェディングドレスとグレーのタキシードに身を包み、幸せそうに微笑んでいる2人の写真。女性とは面識がないけれど、男性には彩衣も見覚えがあった。

 立ち止まってそれを見つめる彩衣に気付いた聖人が、手元の書類を整理しながら口を開く。

「万ちゃん、結婚したんだって。新居のお知らせのハガキだよ」

「……そうだったんですね」

 彼の言う『万ちゃん』とは、友人の茂庭万吏のことだ。石巻を中心に公認会計士として働いていたはず。医療従事者ではないので、あまり顔を合わせたことはないけれど……明るく、少し軽薄で飄々とした印象がある。一方、相手のことをしっかり観察した上で対応を決めるような慎重さも持ち合わせている人物だと思っている。

 そんな彼が伴侶に選んだ女性は、正直、意外だった。

 黒髪で穏やかな印象。優しそうな人だということが写真から伝わってくる。言ってしまえば、万吏とは正反対とも思えるような、そんな、女性。

 ハガキに記載された名前は、茂庭涼子。旧姓は『支倉』と書いてある。


 純白のウェディングドレスは、幸せの絶頂にある女性のみが着用を許される、最高の勝負服だ。

 少しはにかんだような、彼女の武器である笑顔を引き立てるヘアメイクに、計算された採光、角度、タイミング。最高の一瞬を切り取った1枚は、見ているだけで思わず頬が緩む。


 だからこそ。

 彩衣はふと、自分が着ている白い白衣を見下ろした。


 普段は看護師として働いているので、こんな白衣を着ることはない。

 この白衣は、聖人が以前――研修医の頃に着用していたもの、らしい。

 利府の部屋で助手をするようになって、ボールペンや付箋のゴミ、クリップ類などを持て余していた彩衣に、聖人が持ってきてくれたものだ。


 ――これ、ポケットが多くて便利だよ。彩衣さん、背が高いから、きっと似合うんじゃないかな。


 彼の親切に謝辞を述べてから、この白衣が、彩衣にとっての勝負服になった。


 だから――


「……おめでたいですね」

 彩衣の言葉に、聖人が「そうだね」と相槌を打つ。


 その時のことを思い出した彩衣に、聖人が「それ、最早懐かしいね」と、彼女が持っているハガキを見やり。

「彩衣さん、背が高いから……こういう服も、きっと似合うんじゃないかな」

 サラッと言ってのけた彼の言葉を聞いて、彩衣は静かに首を横に振ると……ハガキを箱の中へ戻した。

 そして。

「……私には、とても」

 ポツリと呟いた言葉が、静かな部屋に反響する。

 聖人は特に、何も言わない。

 数秒の沈黙の後、彩衣は再度息を吐くと……散らばった郵便物を全て片付けて立ち上がった。

「……時間も時間なので、食べましょう」

「そうだね。胃もたれ起こして休んだら駄目だよね」

「駄目ですね」

 聖人の言葉を一刀両断にした彩衣は、彼の半歩先を歩き、台所へと向かった。

 ボックスの一番上にあった、彩衣宛の『更新のお知らせ』は、見ないふりをして。


 今の彩衣に、これ以上の装備は必要ない。

 これ以上は……何も。

 仙台支局、1年前のクリスマスは、『エンコサイヨウ外伝集』の記念すべき第1話でした。(https://ncode.syosetu.com/n9925dq/1)


 ……短いなぁ!!

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